【中学受験】2026年度入試「中学過去問出庫状況の前年比較(直前まとめ)」※2025年12月時点
出典:声教チャンネル(声の教育社)
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いよいよ「直前版の出庫率」についてのお話です。今回はこれまでのように男子校・女子校と分けるのではなく、全校まとめてお伝えしていきます。直前の時期ですので、ここはテンポよく、要点を押さえて見ていきましょう。
今回の直前版で、これまでと大きく違うポイントがあります。
それは、11月時点の順位と比べて今回順位が上がっている学校についてです。
この場合、「直前になってから購入されている」
・・・つまり併願校として多く選ばれている可能性が高いと考えられます。後から選ばれている、という点がポイントですね。
一方で、前回より順位が下がっている学校は、
「すでに早い段階で購入されていたケースが多い」
・・・つまり直近では大きな動きが少ないと見ることができます。こうした学校は、第一志望として考えている受験生が多いのではないか、という推測も成り立ちます。ぜひ、こうした視点も意識しながら、出庫率のデータを見てみてください。
【出庫率上位校(6%~増加)】※(カッコ内)は11月調査時の順位
1位 川口市立 122.1%(1位)
2位 明治大学付属世田谷 116.8%(3位)
3位 安田学園 115.6%(5位)
3位 立教女学院 115.6%(6位)
5位 文教大学付属 115.4%(2位)
6位 開智・開智所沢 115.0%(13位)
7位 女子学院 114.4%(7位)
8位 桜丘 113.1%(4位)
9位 成蹊 112.1%(9位)
10位 北里大学附属順天 111.2%(8位)
11位 西武学園文理 110.4%(15位)
12位 カリタス女子 109.8%(22位)
13位 駒込 109.5%(14位)
14位 日本大学第二 109.3%(21位)
15位 帝京大学 109.0%(12位)
16位 横浜共立学園 108.5%(20位)
16位 東京都市大学付属 108.5%(34位)
18位 藤村女子 108.2%(31位)
18位 明治大学付属八王子 108.2%(19位)
20位 雙葉 108.0%(23位)
21位 恵泉女学園 107.1%(11位)
21位 佼成学園 107.1%(32位)
23位 土浦日本大学 107.0%(35位)
23位 江戸川学園取手 107.0%(40位)
25位 八王子学園八王子 106.8%(25位)
26位 桜蔭 106.3%(26位)
27位 山脇学園 106.1%(16位)
27位 茨城県立 106.1%(18位)
【出庫率から見てねらい目?校】
東京大学教育学部附属 67.7%
東京女学館 80.7%
千葉日本大学第一 82.5%
横浜国立大学附属横浜・鎌倉 82.9%
栄東(A・東大Ⅰ) 83.5%
青山学院 83.8%
白百合学園 83.8%
法政大学第二 83.8%
鎌倉女学院 84.4%
東京学芸大学附属竹早 85.4%
多摩大学附属聖ヶ丘 86.3%
中央大学附属横浜 86.4%
千代田区立九段 86.6%
東京学芸大学附属世田谷 87.1%
大宮開成 87.1%
▼昨対比6%以上~21位
今回は上位20位からお話ししようかとも考えたのですが、ここでは増加率が6%以上の学校に絞ってご紹介していきます。5%台からランキングを追っていくと学校数がかなり多くなってしまうため、今回は6%以上増加している学校を基準にしました。6%以上で区切って見てみると、順位が赤字になっている学校は品切れになっています。その中で、品切れになっていないのは・・・
・八王子学園八王子
・桜蔭
の2校です。
□23位 土浦日本大学
□23位 江戸川学園取手
□27位 茨城県立
土浦日本大学、江戸川学園取手、茨城県立といった学校を見ると、茨城エリアでも中学受験がかなり盛り上がってきていることが伝わってきます。今まさに勢いを感じるところです。
□27位 山脇学園
山脇学園は、11月時点では16位でしたが、今回27位となっています。
ただ、これは過去問がすでに品切れている影響もあると考えられます。早い段階で売れているということは、・・・
「山脇学園を第一志望にしている受験生が多い」
という見方もできますね。まさにその傾向が表れているといえそうです。もちろん、単純に発行部数が足りなかった可能性も否定はできませんが……。それでも、山脇学園の人気の強さは間違いなく感じられますね。
▼昨対比11位~20位
出庫率が11位から20位の学校は、品切れになっているのは駒込くらいで、全体的にはまだ余裕がありますね。
□16位 東京都市大学付属
11月時点では34位でしたが、今回は16位まで上がっています。かなり大きく順位を伸ばしていますね。
やはり、併願校として選ばれている印象が強くあります。
□18位 藤村女子
11月時点では31位でしたが、今回は18位です。こちらも順位をしっかり上げていますね。藤村女子については以前もお話ししましたが、
「共学化を見据えて先に合格を確保しておこう」
という考え方をしているご家庭もあるのかもしれません。そういった背景もあって、併願校として選ばれるようになってきていると考えられます。
□12位 カリタス女子
藤村女子と同様に、併願校として選ばれるようになったという点で見ると、カリタス女子も22位から12位へと順位を上げています。神奈川の学校はあまり多くご紹介できていないのですが、その中でもカリタス女子は、過去問の出庫率がかなり伸びている学校だと感じますね。
□16位 横浜共立学園
こちらも神奈川の女子校ですが、この学校の出庫率の伸びは、いわゆる「サンデーショック」の影響と考えられそうです。
・26位:桜蔭
・20位:雙葉
なども、同じくサンデーショックの影響が出ていると見られます。
□14位 日本大学第二
日本大学系列の学校の中でも、特によく話題に上がる学校ですね。
□11位 西武学園文理
11月時点では15位でしたが、今回は11位となっています。やはり・・・
・マルケス校長先生の人気が非常に高い
・人気がしっかり維持されている
という印象を受けますね。
▼昨対比4位~10位
ここからは4位までのランキングについて見ていきます。
なお、5位となっているのは、3位・2位・1位に同率の学校があったためです。それだけ拮抗している学校が多いということですね。そしてやはり、このゾーンは品切れの学校がかなり多いのが特徴です。
□10位 北里大学附属順天
やはり強いですね。昨年も出庫率は上がっていましたが、今年もとても良い伸び方をしています。
急激に伸びているというよりは、じわじわと安定して上がっている印象です。
あまりに極端に伸びると、翌年に敬遠されることもありますが、2025年2月の入試では、倍率が急激に跳ね上がったというわけではありませんでした。もちろん前年よりは上がっていますし、学校説明会でも前年に比べると、参加者が増えているという話は聞いています。現在は品切れになっていますが、
このように・・・
極端ではない伸び方だからこそ、今後も同じペースでじわじわと伸びていく可能性
を感じますね。安定感のある上昇傾向が、はっきりとうかがえます。
なお、学校名の変更は2026年4月からになる予定です。
□9位 成蹊
11月時点でも9位でしたので、やはり安定した人気がありますね。ちなみに、学校から「サメの解剖を見に来ませんか」というユニークなお誘いもあります。
□8位 桜丘
11月時点では4位でしたが、今回は順位を下げています。ただ、品切れになっている点を考えると、
併願校として選ぶ受験生よりも・・・
「第一志望として選ぶ受験生が増えている可能性」
も考えられます。
「桜丘だから入りたい」という受験生が、確実に増えてきているのかもしれませんね。
□7位 女子学院
こちらはサンデーショックの影響が大きいと考えられます。
現在、女子学院も過去問は品薄状態ですが、ここからさらに直前期に大きく売れるかというと、
そこまでではないでしょう。それでもこの順位にいるということは、やはり人気の高さを示していると言えますね。
・女子学院のようなレベルの学校は直前期の販売順位がもう少し下がっても不思議ではない
・直前期の出庫率が伸び、上位に入っている
このことから、女子学院の安定した支持の強さがうかがえます。
□6位 開智・開智所沢
11月時点では13位でしたが、今回は6位まで上がっています。これはもう・・・
「併願校として、前受けの受験生が12月に入ってからも購入している」
という動きですね。
2025年の1月入試、2月入試については、これまで「やや難しめ」というイメージを持たれていた部分もあったと思います。ただ、今年は「合格者数をもう少し増やしますよ」という発表がありましたので、その点が影響している可能性もありそうです。
□5位 文教大学付属
こちらは品切れになっているので、ある意味仕方ない面もありますが、それでも11月時点の2位から5位という位置です。やはり・・・
「志望順位の高い受験生が多い学校」
だということですね。余談ですが、先日、神戸校長先生にお会いしたときに、
「声教の動画で、いつも星がキラキラしていてすみません」とお話ししたら、
「いや、次はぜひ花火をあげてください」と言われて、
実際に花火もあげました(笑)。
それはさておき、本当に中堅校の人気は強いですね。その理由は・・・
・「安全志向だから」という思考ではない
・その学校に入りたいからと選んでいる受験生が多い
という点が大きいと思います。先ほどの桜丘も、まさに同じ流れですよね。「積極的に選ばれる学校」として、評価が確実に上がってきていると感じます。
ここで改めてお伝えしたいのは、
・「偏差値だけを見るとそこまで高く見えなくても、倍率が非常に高くなるケースがある」
・「後半日程では、高倍率になる傾向が顕著」
なのです。先日、ネット記事で私(後藤)が・・・
「偏差値を5下げたとしても、倍率が10倍、20倍になれば、決して安全とは言えませんよ」
とお話ししたところ、コメント欄に「ネガティブなことを言わないでほしい」という声があり、正直、少し傷つきました。ネガティブな発言を控えてほしいという気持ちは、とてもよく分かります。
ただ、それでも現実として、後半日程では中堅校であっても倍率が10倍、20倍になることは決して珍しくありません。
ですから・・・
「警戒しすぎるくらいでちょうどいい」
そのくらいの意識で臨んでほしい、ということは、ぜひお伝えしておきたいと思います。
▼昨対比1位~3位
□3位 安田学園
数字を見ても、本当に安田学園の人気が高まっているとがよく分かりますね。
・エリアとしての人気
・駅から近いという立地の良さ、
・大学合格実績が大きく伸びている
これらの点が、人気校である理由だと思います。
もともと「シラバスが非常に充実している学校」ですが、このシラバスを作られたのは、確か元・開智の先生だったはずです。今はもう退職されて、確か陶芸などをされていると聞いていますが、その方の講演を、以前あるセミナーで拝聴したことがあります。
そのとき、私も少しセミナーのお手伝いをしていたのですが、参加していた先生方、80人ほどが全員アンケートを提出していたのです。
「何かを書きたくて仕方がない」
というほど、先生方皆さんがセミナーのお話に感銘を受けて、積極的にアンケートを書いていたのがとても印象的でした。
当時は今のようにスマートフォンもなかった頃で、もう10年ほど前の話だと思います。本当にすごいセミナーでした。ああいう光景は、なかなか見られるものではありません。先生方が励まされ、納得し、
「明日からまた頑張ろう」と思えたことが、空気感から伝わってきました。
具体的な内容までは覚えていませんが、その強烈な印象だけは、今でもはっきり残っています。
そう考えると、安田学園は・・・
・魅力ある先生によって、学校の柱となるものがしっかり作られている
・今も柱がしっかりと受け継がれている
学校なのだと思います。そしてそれが、現在の進学実績にもつながっているのでしょう。実際、今年の進学実績は、6年前に入学した生徒たちの成果ですからね。
□3位 立教女学院
安田学園と同率3位です。
ここまで人気が高まってくると、立教女学院の先生方も・・・
「倍率をどのくらいに設定すればよいのか」
と頭を悩ませているのではないでしょうか。倍率の考え方には、大きく分けて2つあると思います。
➀ 最初から合格者を絞り気味にして、あとは繰り上げ合格で調整する方法
・・・これは、学校運営の面を考えると、やむを得ない部分もあります。生徒数が一気に増えて、学校がパンクしてしまっては困りますからね。
② 受験生が増えている分、最初から合格者数を多めに出す
どちらを選ぶかは、学校ごとの判断になると思います。
ただ、先生方には、個人的には合格者はやや多めに出した方が良いのではとお伝えしたいですね。
というのも・・・
後から追加合格を出しても、以前ほど手続きをする受験生が多くないと感じるのです。
「少し多めに合格を出して、取りすぎたらごめんなさい」くらいでも、意外と成り立つのではないかと思います。
□2位 明治大学付属世田谷
11月時点より順位をひとつ上げて、今回は2位です。しかも、この学校はまだ品切れになっていません。
そういう意味では、明治大学付属世田谷については「しっかり売れることを見越して過去問が準備されていた」ということが言えそうですね。
他校では、需要を見越していても品切れになってしまうケースが多い中で、この点は大きな違いです。
それでもなお出庫率が上がってきているということは・・・
「併願校として受験を考えているご家庭が多いという証拠」
でしょう。また、明治大学付属八王子も18位で108.2%なっています。エリア的に併願しやすいとは言えない面もありますが、それでもこうした数字を見ると・・・
「明治大学付属」というブランド全体への注目度が高まっている
そんな印象を受けますね。
□1位 川口市立
今年の声教の過去問は、全体的に見ると「昨年比で一気にドーンと伸びた学校」があまり多くありません。その中で、川口市立だけは最後まで2割以上の増加を続けているのが、とても印象的です。理由については前回もお話ししましたが、やはり校舎が立派で新しいという点は大きいですね。
公立一貫校全体では、やや受験者数が減っている傾向がある中で、川口市立は「校舎がきれい」という点が、明確なアドバンテージになっていると感じます。
国立校の人気が以前ほど高くない理由の一つとして、校舎があまり新しくない学校が多いという点もあるかもしれません。
さらに、先日もお話ししましたが、学区域が広がったことによって・・・
「埼玉県内で、川口市立ならワンチャンスあるかもしれない」
と考えるご家庭が増えている可能性も高そうですね。
・・・ここで、少し補足のお話です。
今回の結果一覧を見ながら、前回と今回の順位差を確認していたところ、「あれ?」と思う学校がありました。11月の出庫率では10位だった芝国際が、今回のランキングでは20位台後半まで見ても見当たらないのです。実は、芝国際は、今回31位となっています。しかし、過去問はしっかり売り切れているのです。つまり、本来はもっと売れていてもおかしくなかったということです。
前回10位だった芝国際を受験されるご家庭も、このお話をご覧になっているかもしれませんので、
あえてお話ししましたが・・・
「今回ランキングに出てこないのは、人気が下がったからではありません」
昨年比は105.4%ですから、見方によっては、志望順位が上がっているとも考えられます。
実際、いろいろなお話を聞いていても、芝国際は「併願」というより、しっかり志望校として考えているご家庭が多い印象がありますね。
▼出庫率からねらい目かも知れない学校
ここからは・・・
「このランキングに出てきてほしい・出てくれたらいいのに」
そう感じているご家庭も多いのではないでしょうか。
今回は、出庫率の動きから見て“ねらい目かもしれない学校”についてお話しします。全体を見ていると、やはり国公立校の減少が目立つという印象がありますね。
私(後藤)は神奈川に住んでいることもあって、法政大学第二と中央大学附属横浜の出庫率が大きく下がっている点が、少し気になっています。
ただし、だからといって「入試が簡単になるか」というと、そこまで単純ではないように思います。
もともと神奈川では、大学附属校の人気が長く続いている状況があります。その影響もあって・・・
「女子校の入試はやや緩やかになってきている」
という印象を持っています。そうした中で・・・
「大学附属校はこれから少し難度が上がりそうだ」
と感じて、受験を敬遠するご家庭が出てきている可能性の方が高いのではないでしょうか。そういう視点で考えると、鎌倉女学院は、ひょっとするとねらい目の学校になってくるのではないか、そんな気がしています。
□白百合学園
やはり2026年はねらい目になりそうですね。まさにサンデーチャンスの年です。これはぜひ、受験校の一つとして検討してみてもよいと思います。
□青山学院
2025年入試では、試験日が2月2日・3日でしたが、2026年入試では2月2日のみに戻ります。
ただし・・・
「2026年は2月2日がサンデーショックの影響を受けるため、この日は人気校が集中し激戦」
になると考えられます。その結果、受験生が分散する可能性が高いですね。
そういう意味でも、「2025年度入試と2026年度入試では、状況が大きく異なる」と見ておいたほうがよさそうです。
□千葉日本大学第一
こちらは、ここしばらく出庫率がやや下がり続けています。ただ、その前は長く上昇傾向が続いていた学校でもあります。ですので、これはもしかすると声の教育社の過去問に限った動きなのかもしれません。確実なことは言えませんが、競合する他社の過去問のほうが売れているなど、別の要因がある可能性も考えられます。
実際、千葉日本大学第一そのものの人気が下がっているような印象は、あまり受けません。
「うちの過去問が売れていないだけかもしれない」という可能性も、正直あると思っています。
つまり、
「千葉日本大学第一の学校としての人気が落ちているわけではない」
ということですね。
他社の過去問もありますので、はっきりと断定はできず、こちらとしても反省すべき点があるかもしれません。ですから、
「出庫率が下がっている=学校の評価が低い」
と考える必要はありませんし、必ずしも「穴場になる」とも言い切れない、その点はぜひ押さえておいていただければと思います。
▼まとめ
いかがでしたでしょうか。これで出庫率についてのお話はすべて終了となります。全体を振り返ってみると・・・
・極端に出庫率が低い学校
・極端に高い学校
が、以前よりも少なくなってきている印象があります。
どの学校も、かなり拮抗したパーセンテージになってきていますよね。そういう意味では、志向が分散しながらも、その中で「やや出庫率が高めの状態が続いている学校がある」
そんな状況だと感じます。
ですから・・・
「まったくチャンスがない」というわけでもありません。
かといって「ものすごく難しくなる」わけでもありません。
そして「急にやさしくなる」わけでもない。
最終的には、全体的にバランスが取れてきている。
そんな結論になるのかなと思います。
それぞれのご家庭で、「本当に行きたい学校」が少しずつ多様化してきている、その影響も大きいのかもしれませんね。
さて、少し話題が変わりますが、
1月の「幸せな受験ラジオ」コラボ企画のお知らせです。1月23日に、スクールFCの松島先生とのコラボを予定しています。
今回はラジオだけでなく、動画でも配信されるため、音声だけでなく、映像の収録もあるようです。
その中でも、またいろいろなお話をしていく予定ですので、よろしければ、ぜひご視聴ください。
受験生のみなさん、そして保護者の方々を励ます内容でお話ししたいと思っていますので、お時間が合いましたら、ご覧いただければ幸いです。