【中学受験】2026年度入試「中学過去問出庫状況の前年比較(共学校・後編)」過去問が売れてる今年の人気校、そしてねらい目校はどこ?※2025年11月時点
出典:声教チャンネル(声の教育社)
記事:metasc
後編では、共学校の中から…
「過去問の出庫率が昨年より減っている=もしかすると“ねらい目”かもしれない学校」
をご紹介していきます。
学校の先生方にとっては、あまり取り上げられたくない話題かもしれませんが、受験生にとっては “ねらい目校がある” と少し前向きになれる部分でもありますよね。
その気持ち、とてもよく分かります。
【出庫率が下がった学校(前年度比)】
東京大学教育学部附属 69.0%
法政大学第二 82.4%
東京学芸大学付属竹早 88.1%
青山学院 83.6%
東京都立小石川 84.1%
横浜国立大学附属横浜・鎌倉 84.2%
中央大学附属横浜 85.1%
お茶の水女子大学附属 85.5%
横浜創英 85.8%
千葉日本大学第一 86.1%
▼出庫率からねらい目になるかも知れない学校
□東京大学教育学部附属
昨年は「増えてきましたね」というお話をしていましたが、今年は一転して大きく減少しました。
前年比では約70%と、大きく数字が下がっています。
一昨年も大きく下がった年があったため、“隔年現象” とも言える動きではありますが、今年は特に減少幅が大きい印象です。
□法政大学第二
神奈川の大学附属校は例年人気が高いのですが…今年は、
“減少傾向”
が目立っています。法政第二は前年比82.4%。前年117%だったことを考えると、隔年現象とも考えられますが、かなり大きな変動です。
□中央大学附属横浜
約15%減少しており、こちらも影響が大きいですね。
同じ神奈川の人気附属校である 青山学院横浜英和 も、前年比89.9%と1割ほど減っています。
大学附属校全体が “人気ゆえに少し敬遠されている”
と見ることもできそうです。
しかし、神奈川は共学校の大学附属が人気だったはずなのです。神奈川大学附属は前年比99.2%と大きな変動はありません。ただ昨年が111.2%だったことを思うと、落ち着いた動きと言えるかもしれません。
“神奈川エリアの学校全体の出庫率は 前年比94.9% と、地域全体としてやや減少傾向”
が見られます。
目立った増加校としては…
・日本大学:105%
・横浜富士見丘:104.4%
特に日本大学は都内からも受験しやすく、このあたりも影響していそうです。
神奈川の他の共学校の出庫率を見てみると…
・桐蔭学園:94.3%と減少
・山手学院:96.2%と微減
・関東学院:90.6%と減少
・森村学園:95.9%と減少
・桐光学園:96.3%と微減
全体的に下がり気味で、逆にいえば 神奈川の学校を受験する受験生にはチャンスが広がっている とも言えます。
東京の受験生にとっても、選択肢が広がる一年になりそうですね。
なお、慶應義塾湘南藤沢(SFC)は前年比99.4%と、ほぼ横ばいでした。
□横浜創英
出庫率は 85.8% と、今年は“ねらい目校”としてランクインしています。これまで「ぐんぐん伸びている」という印象が強かった学校だけに、今年の数字は少し意外ですね。
ただ、その分 受験生にとってはチャンスが広がっている とも言えます。
神奈川全体の動きと合わせて見ても、今年はねらいどころが多い年になりそうです。
□東京学芸大学附属竹早
国立・都立は最近“頭打ち傾向”と言われることもありますが、今年もその流れが続いているようです。
一覧を見ると、
・東京都立小石川
・横浜国立大学附属横浜
・横浜国立大学附属鎌倉
・お茶の水女子大学附属
といった学校も、出庫率が減少したグループに入っています。国立・公立はどうしても受験者数が減り続けている傾向にあり、
「声の教育社は今後もこのあたりの過去問を出し続けられるのか…?」と思ってしまいますね。
□青山学院
昨年は“プチサンデーショック”の影響で大きく伸びましたが、今年はその反動で減少しています。
・2025年度は入試日が 2月3日
・今年は再び 2月2日 に戻す
ため、動きが落ち着くのは自然な流れです。ただし、2026年度はサンデーショック本番。
2月2日の入試は他校との日程重複もあり、受験生が分散する見込みです。つまり…
“昨年よりはだいぶ気持ち的に受けやすくなる”
と予想できます。青山学院を志望するご家庭にとっては追い風になるかもしれませんね。
□千葉日本大学第一
こちらは、ここ数年ずっと出庫率が100%を下回っています。そのため、今年も “穴場” 的な位置づけになる可能性があります。高校は難関校として知られており、
・前受け
・東京の受験生の併願
として毎年安定して受験者が集まる学校です。
ちょっとしたエピソードですが…
数年前、会社近くのお肉屋さんで買い物をしていた際、帰り道の交差点で声をかけられ、
「千葉日本第一で合格をいただきました!声教チャンネル見ています!」
と教えてくださった方がいました。こうした実際の声を聞けるのは本当に励みになりますね。
「出庫率から見てねらい目になるかも知れない学校」は、全体として見ると…
“公立校はやはりやや人気が落ち着き気味”
という印象があります。さらに、これまで人気が高まっていた 、
“神奈川の大学附属系の共学校も、今年は出庫率が下がっている”
という興味深い動きが見られます。
出庫率の数字だけで判断すると、「今年は“ねらい目”になる学校が出てくるかもしれない」
そんな可能性も感じられますね。受験生にとっては、しっかり情報を見極めながら戦略を立てられる、チャンスの年とも言えそうです。
▼前・後編まとめ
前編でご紹介した上位校も含め、全体の傾向を振り返ってみると、
女子校:サンデーショックの影響もありつつ、隔年現象で「昨年増えていたので今年は減る」という動きが目立ちました。
共学校:上位校は、隔年現象がほとんど見られず、右肩上がりで出庫率が伸び続けている学校ばかりです。
1位〜10位はすべて昨年も伸びており、さらに今年も増加。
“安定して人気を伸ばし続けている学校がトップ10を占めている”ということになります。
過去問を制作する立場としては、前年にたくさん売れると「翌年はもっと多く刷らなければ」と思う一方で、「隔年現象を気にしなくて大丈夫かな?」とつい考えてしまうのです。しかし、今年に関しては全く隔年現象は関係ないような結果です。
20位まで見ても同じ傾向で、3年連続で出庫率が増えている学校も少なくありません。
たとえば日本工業大学駒場は、なんと8〜9年連続で増加しています。これは本当にすごいことです。
こうした動きからも、
•併願校選びの際、「安全校志向」よりも「面倒見の良さ」を求める家庭が増えている
•その結果、“手厚い学校=支持され続ける”という構図が強くなっている
という流れがより鮮明になってきたように感じます。
明治大学付属世田谷のように、今年人気が急上昇して入試が厳しくなる学校は、次年度には出庫率が落ち着く可能性もありますが、共学校全体としては隔年現象が当てはまらないケースが多いのも今年の特徴です。
▼サンデーショックの影響について
サンデーショック、あるいは“ラッキーサンデー”とも言われますが、今年は女子校を中心に追加合格(繰り上げ合格)が増える可能性があります。その影響は共学校にも少なからず広がるだろうと考えられます。
たとえば青山学院は、今年の出庫率が象徴的に減少しており…
“第一志望の受験生が増える=手続き率が上がる”
ことが予想されます。そうなると、意外にも追加合格があまり動かない、というパターンもあり得ます。
一方で、女子の上位校で繰り上げが多く動けば、その波は当然共学校にも及び、いつも以上に追加合格を出さざるを得ない状況になる可能性があります。
その際、学校が追加合格を誰に出すかを考えると、やはり…
“本当にその学校を熱望している受験生”を優先したくなるのは自然です。
1回だけ受けている受験生だと、電話をしても「ありがとうございます。でも辞退します」となるリスクが高く、学校側としても慎重になります。
そのため、複数回受験している生徒のほうが、追加合格通知を出したときに入学してくれる可能性が高いため、結果的に優先されやすいのです。
これは今年に限った話ではなく、学校側が「優遇措置はありません」と公表している場合でも、合格判定会議の実際の話を聞くと、ボーダーライン上では複数回受験者が先に合格するケースは確かにあります。入試は一時的に厳しく見えることがあっても、最終的に学校が合格者として迎える人数は大きく変わりません。ですので、途中で落ち込む場面があっても…
最後にはちゃんと“収まるべきところに収まる”
というのが入試です。どうか諦めず、受験を続けていってください。応援しています。
▼次回に向けて
「出庫率」についてのお話はここで一段落し、次は「出庫“数”の上位校」について取り上げていきます。また、12月ということで「出庫率直前版」もお届けする予定です。
入試まであと2か月。体調管理は本当に大切です。もしもインフルエンザなどにかかってしまった場合も、「受験本番ではなくて、今でよかった」と前向きに切り替えていただければと思います。