【中学受験】2026年度入試「中学過去問出庫状況の前年比較(共学校・前編)」過去問が売れてる今年の人気校、そしてねらい目校はどこ?※2025年11月時点
出典:声教チャンネル(声の教育社)
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▼はじめに・出庫率増加校一覧
「声の教育社の過去問出庫率・共学校」のお話です。今年の共学校の状況ですが、情報量がとても多いため、前後編に分けてお伝えします。
・前編では、過去問出庫率が上位1位〜20位までの学校について
・後編では、昨年よりも過去問の出庫が伸びておらず、“ねらい目になりそうな学校”
をご紹介します。男女別学校では、これまでも出庫率20位から1位までを紹介したあとに、
「前年より過去問が売れていない学校=ねらい目校」を続けて扱っていましたが、
今回は共学校ということで、その部分を後編に分けています。
【出庫率が増加した学校上位20校(前年度比)】
- 川口市立 122.1%
- 文教大学付属 121.9%
- 明治大学付属世田谷 121.4%
- 桜丘 120.0%
- 安田学園 119.3%
- 北里大学附属順天 113.6%
- 成蹊 112.6%
- 芝国際 111.9%
- 帝京大学 111.5%
- 開智・開智所沢 110.7%
- 駒込 109.9%
- 西武学園文理 109.4%
- 日本工業大学駒場 109.0%
- 茨城県立 108.5%
- 明治大学付属八王子 108.2%
- 日本大学第二 108.1%
- 芝浦工業大学柏 107.8%
- 八王子学園八王子 107.4%
- 東京電機大学 106.7%
- 三田国際科学学園 106.3%
12月に入り、東邦大学付属東邦の第一志望(推薦)入試がスタートしましたね。
12月2日に合格発表も行われ、すでに受験を終えた6年生もいらっしゃる状況です。
本格的に受験シーズンが近づいてきたことを実感します。
少し余談になりますが、先日メガネを新調しました。お店で「このメガネが一番お似合いです」と言われ、そのまま購入してしまいました。受験真っ只中に何をしているのかという気もしますが…
そして、もう一つご報告があります。
私・後藤は本を出版することになりました!2026年のゴールデンウィーク後あたりに発売予定で、次年度以降の受験生向けの内容になります。
2026年度受験の皆さまには少し先の話になってしまうかもしれませんが、もしよろしければ手に取っていただけると嬉しいです。
なお、今回の本は声の教育社ではなく、プレジデント社からの刊行となります。
宣伝ばかりしている場合ではありませんが、ご報告までに…。
▼2025年度の出庫状況について
昨年度はこのような状況でした。特に青山学院が注目されましたし、芝国際も大きく伸びていました。
そして何より、2025年度は城西大学付属城西の動きが非常に大きな話題となりました。
▼出庫率が増加した学校11位~20位
□20位:三田国際科学学園
この学校は、本当に毎年出庫数が増え続けています。
学校販売用の過去問も取り扱っていただいており、そちらの販売数も伸びている状況です。なお、学校販売分は今回のランキングには含まれていないため、それを加味すると実際の伸びはさらに大きいと言えます。
三田国際科学学園の志望者層は…
・広尾学園
・渋谷教育学園渋谷
を併願候補にする受験生と重なりますが、今回の上位20校には広尾学園・渋谷教育学園渋谷は入っていません。また、前年より出庫率が減った“ねらい目校”にも出てきません。
実際の数字を見ると…
・渋谷教育学園渋谷103.7%
・広尾学園97%と減少傾向
・広尾学園小石川は100.3%とほぼ横ばい
・渋谷教育学園幕張は105.1%と大きな伸び
こうした動きを踏まえると、広尾学園を志望していた受験生の一部が三田国際科学学園に流れている可能性があります。
新たに建設された“ラボ棟”をはじめ、科学教育に特化した魅力が学校名とも相まって評価されているのでしょう。偏差値では広尾学園の方がわずかに上ですが、三田国際科学学園は近年ずっと人気が上昇しています。
□19位:東京電機大学
今年も安定した人気が続いています。
昨年のこの時期はやや減少傾向でしたが、最終的にはしっかり受験生が集まりました。多摩地区において信頼度の高い学校のひとつといえます。
□18位:八王子学園八王子
こちらも非常に人気が高く、過去問は出版社の在庫がすでに品切れという状況です。
多摩地区は広大な敷地の学校が多い分、最寄駅から距離があることも珍しくありませんが、八王子学園は駅から近く、このアクセスの良さが人気の大きな理由になっていると思われます。
□17位:芝浦工業大学柏
受験生が年々増加しており、こちらも人気が続いている学校です。
・柏エリアはもともと受験人口が増えている地域
・「芝浦工業大学」のブランド自体が東京側でも高く評価されている
これらの点も人気を押し上げている要因でしょう。
□16位:日本大学第二
日本大学系列の中でも特に人気があり、難関校として知られています。
ここ数年は出庫率が減少傾向にありましたが、今年は再び人気が戻ってきた印象です。
□15位:明治大学付属八王子
学校でも過去問を販売していただいており、先生方からは「後半の説明会では参加者数が少し減ってきている」というお話もうかがいました。説明会では比較的低学年の参加者が増えている印象もあり、2026年度の受験生の動向を心配されていたようです。
しかし、今回の出庫率を見る限りでは、受験生はむしろ増加しそうな流れに見えます。
明治大学付属といえば、明治大学付属世田谷がどの順位に入ってくるのかも注目点です。明治大学の付属校の出庫率については、後ほどあらためてまとめてお話しする予定です。
□14位:茨城県立
こちらはすでに出版社在庫が品切れです。茨城県は公立一貫校の人気が非常に高く、10校以上が一斉に新設された時期もあり、県全体で中学受験が盛り上がっています。
その影響もあってか、茨城県内の私立校でも出庫率が上がっている学校が多いようです。茨城の中学受験熱の高まりを感じますね。
□13位:日本工業大学駒場
こちらも出版社で過去問が品切れとなっており非常に人気があります。学校販売分も増えているとのことで、出庫数の勢いはさらに強い状況です。偏差値帯も上昇しつつあり、定員増により今後さらに人気が高まりそうです。
ただ、併願戦略としては悩ましい面もあります。
「定員が増えるのは 2月1日の午前入試のみ、60名から100名への大幅増」
となる見込みですが、第一志望ではないものの定員の多さを理由に2月1日午前に受けるべきかどうか、検討中のご家庭も多いのではないでしょうか。
それにしても2年連続で過去問が売り切れというのはすごいことですね。
□12位:西武学園文理
マルクス校長先生の学校です。自由や自主性を重視する学校の姿勢が受験生・保護者の支持を集めているのかもしれません。制服をはじめ、学校生活全体の見直しも進んでおり、より開かれた印象になっています。人気は埼玉県内にとどまらず、東京方面の受験生にも広がっているように感じます。
□11位:駒込
こちらも人気が着実に伸びています。
先日、創立100周年記念式典に参加させていただきましたが、最後の余興として歌舞伎役者でもある卒業生の方が「越後獅子」を披露されました。とても迫力のある素晴らしい舞でした。歌舞伎が好きなこともあり、帰宅後に調べて応援したくなるほど感動しました。
▼出庫率が増加した学校4位~10位
□10位:開智・開智所沢
出庫率はさらに1割増加しています。昨年はなんと約5割増という驚異的な伸びを見せましたが、そこからさらに1割増えるとは、本当に勢いがありますね。
学校の先生方からは「合格者数を増やす予定」とのお話も伺っており、そうした期待感も人気上昇につながっている印象です。
□9位:帝京大学
こちらも1割増の伸びとなっています。安定した人気を感じますね。
□8位:芝国際
新刊発売後、2年連続で出庫率が増加したのは今回が初めてだと思います。初年度はさまざまな話題もありましたが、2年を経て学校としての認知が進み…
「安定した国際系の共学校」
として評価され始めているように感じます。
□7位:成蹊
成蹊は、理科室をはじめとする設備の充実が本当に素晴らしい学校です。
主要5科目以外の教育環境も魅力で、美術では絵を描くだけでなく工芸なども本格的に学べます。音楽を含む情操教育の環境も整っており、学びの幅が非常に広い点が際立っています。
□6位:北里大学附属順天
現在は「順天」ですが、2026年4月から「北里大学附属順天」に校名変更となります。
医学部を持つ大学の付属校になることで、今後さらに注目度が高まるでしょう。昨年同様しっかりと伸びており、来年は大きな動きがありそうです。
□5位:安田学園
こちらは出版社在庫がすでに品切れとなっています。
大学合格実績も高く、安定した人気校として定着している印象です。
□4位:桜丘
安田学園と同じように、桜丘も非常に人気が高く、過去問は品切れとなっています。
「もっと刷っておけばよかった…」と感じるほどの需要の高さです。
こうして見ると、やはり共学校の人気が非常に強いですね。受験生のボリュームゾーンでも男子校・女子校より共学校を志向する傾向が見えてきます。
▼出庫率が増加した学校1位~3位
□3位:明治大学付属世田谷
ついにランクインしましたね。話題の学校ではありますが、意外にも1位ではありませんでした。それでも出庫率は約2割増と、この偏差値帯でこれだけ伸びるのはかなり厳しいです。
明治大学付属世田谷は、明治大学付属明治と入試日程が完全にずれているため、両校を併願できるようになっています。学校側もそのように配慮されたのではないかと思われます。
具体的には…
・世田谷は 2月1日・4日
・明治は 2月2日・3日
に実施されます。
一方で、明治大学付属明治は出庫率が約5%減っており、併願可能とはいえ若干受験生が分散した印象があります。
また、明治大学付属八王子は出庫率が増加しており、地域性の違いも関係していそうです。23区内の付属校は世田谷のみで、共学校としては他に中野もありますが、こちらは約4%減少しています。
世田谷が共学校化することで男子が敬遠して中野へ流れるのでは…とも予想されましたが、出庫率を見る限り、その動きはそれほど大きくなさそうです。
ここにも「共学校志向」という要因が関係しているのかもしれません。
□2位:文教大学付属
神戸校長先生のリーダーシップもあり、こちらは出版社在庫がすでに品切れになるほどの人気です。
・いわゆる“ボリュームゾーン”と呼ばれる層からの支持が厚い
・共学志向の流れにも合致
・学内予備校などのサポート体制も充実
・「すべてを学校に任せられる」という安心感がある点も魅力
この傾向は、桜丘・日本工業大学駒場・安田学園などにも共通して見られ、保護者のニーズが…
・学校への安心感
・一貫したサポート
に向かっていることを感じます。また、目白研心・淑徳巣鴨・文化学園大学杉並なども同様の傾向が見られますね。
□1位:川口市立
堂々の1位で、2割以上の大幅増です。
今年から学区が拡大され、川口市外からも通学可能になったことが大きな理由です。
また、同じ埼玉県内でも、さいたま市立大宮国際とさいたま市立浦和は倍率が非常に高いため、
「川口市立の方がチャンスがあるのでは?」と考えた近隣地域の受験生が、川口市外から受験している可能性があります。その影響で、出願者数が増えていると見てよいのではないかと思います。
ただし…
・さいたま市立浦和:89.4%
・さいたま市立大宮国際:93%
と出庫率が下がっていることから、川口市立の受験を考えるご家庭が増えた可能性があり、こうして受験生が増えると川口市立の入試も難しくなってしまう可能性もあります。
川口市立は校舎がとてもきれいで設備も充実しており、「公立とは思えない」と感じる受験生も多いようです。
近年、公立一貫校は全体的に人気がやや落ち着いていて、特に都内では私学と比べると校舎の老朽化が目立つこともありますが、埼玉の伝統校でも同じ傾向があります。
その中で川口市立を訪れると、その魅力がより際立ち、「ここなら通わせたい」と感じるご家庭も多く、人気が上がっている面もあると思います。
結果として、私立との併願も増え、選択肢としての注目度がさらに上がっているように感じます。
▼まとめ・次回に向けて
今回ご紹介したのは…
「過去問の出庫率という観点から見た“売れている共学校・上位20校”」
ここまでが前半のお話になります。
後編では…
「過去問の出庫率を見る限り、もしかすると“ねらい目”かもしれない学校」
を取り上げていきます。
志望校が“ねらい目校”に入っていてほしい…と思っている方もいるかもしれませんね。
共学校は、とにかく数字の動きが大きいのが特徴です。
増え幅も大きい一方で、減り幅も目立つため、いかに注目が集まっているかがよくわかります。
全体としては“共学志向”が強まっている印象ですが、その裏で男子校・女子校にも“ねらい目”が出てくる可能性は十分ありそうです。
ただし男子校については、人気が高く厳しい戦いになる傾向が強いため、やむなく共学校を選択するケースも多いのではないかと思います。
ぜひ今回の内容を受験校選びの参考にしてください。
それでは、この続きは後編でお伝えします。