【中学受験】2026年度入試「中学過去問出庫状況の前年比較(女子校編)」過去問が売れてる今年の人気校、そしてねらい目校はどこ?※2025年11月時点
出典:声教チャンネル(声の教育社)
記事:metasc
声の教育社の「過去問が昨年と比較してどのくらい売れているのか、売れていないのか」女子校について出庫状況を見ていきたいと思います。
【出庫率が増加した学校トップ10(前年度比)】
- 立教女学院 117.2%
- 女子学院 115.8%
- 恵泉女学園 111.6%
- 山脇学園 109.3%
- 横浜共立学園 108.2%
- カリタス女子 108.1%
- 雙葉 108.0%
- 桜蔭 107.2%
- 頌栄女子学院 106.7%
- 藤村女子 106.1%
- 神奈川学園 105.9%
- 江戸川女子 105.2%
- 横浜富士見丘学園 104.4%
- 京華女子 104.2%
- 中村 102.7%
【出庫率が3%以上減少した学校(前年度比)】
東京女学館 80.7%
白百合学園 83.8%
鎌倉女学院 84.6%
大妻多摩 87.8%
香蘭女学校 89.4%
文京学院大学女子 89.6%
実践女子学園 90.0%
豊島岡女子学園 90.2%
大妻 90.4%
共立女子第二 90.4%
▼2025年度の出庫状況について
昨年の同じ時期の出庫率を振り返ると、
・淑徳与野
・神奈川学園
・実践女子学園
の3校は、ほんとうに驚くほど、実際の入試応募者数と過去問の出庫状況がしっかりリンクしていました。
▼出庫率が増加した学校11位~15位
では、昨年の状況を踏まえて 2026年度入試がどう動きそうか を見ていきましょう。
男子校は、全体として大きな変化は見られませんでしたが、女子校はサンデーショックの影響もあって動きがかなり目立っています。
過去問がよく売れている学校が多いため、過去問出庫率のトップ10だけでなく、
「まもなくトップ10入りしそうな学校」
にも注目してみました。まずは上位10位に入らなかった11位~15位の学校です。
□11位:神奈川学園
全体的に出庫率の伸びが極端に高いわけではないものの、やはり 神奈川学園の人気は神奈川の女子校の中で安定して続いています。
昨年は対前年比124.4%
今年はそこからさらに105.9%
と、勢いが衰えていません。
「昨年あれだけ人気だったなら他校に分散するかな?」と予想していたのですが、むしろ引き続き大人気ですね。
学校でも過去問を扱っていただいている分の 追加依頼が入るほどの人気ぶりだそうです。
しかも、学校販売分の過去問の売上は、この出庫率の数字にカウントされていません。
つまり、実際には掲載されている以上に神奈川学園の過去問は売れているということになります。この点はかなり目立つポイントですね。
□15位:中村
非常に好調で、ずっと前年度の出庫数を上回り続けています。
▼出庫率が増加した学校4位~10位
□10位:藤村女子
現在、新校舎の建設が進んでいて・・・
・2027年度からは共学化
・校名「吉祥寺湧水」へと変更予定
今回の出庫率の数字を見ると、すでに「新校舎」や「共学化」への期待から、人気が上昇している可能性も考えられます。
先日、初めて学校に伺ってお話をうかがい、入試問題も確認してきました。校名変更や共学化と同じタイミングで、入試問題を一気に変える学校もありますよね。
たとえば三田国際も、戸板女子から校名変更した際に、出題が大きく変わりました。
ところが藤村女子は、まだ校名が変わる前の段階にもかかわらず、すでに入試問題が刷新されていたのです。良質な問題が多く、「これは楽しみだな」と感じました。
先生方も・・・
「2年後を待たずにもう変えていく!」
という意識が強く、前向きな空気が伝わってきました。
つまり、校名が変わったあとに過去問を買うとしても、「藤村女子」時代の問題も普通に有効 ということになりますね。
ちなみに、三田国際の過去問は校名変更のタイミングで「使いにくい」という声もありました。
また、今年は日本学園も校名変更があり、過去問が使えないかも…という話が一部では出ています。
ただ日本学園の場合は、難度は上がるものの方向性は大きく変わらないとのことで、過去問も一定は活用できるようです。(日本学園については共学校の回でまた触れます。)
藤村女子については、本当に2年後を見据えて変化が始まっているのかは、もう少し様子見ですね。
ただ、学校への期待感が高まっていることが、出庫率の増加につながっているように思います。
□頌栄女子学院
昨年は出庫率が下がった分、今年はしっかり増えましたね。
・2026年度から面接がなくなる
ことは受験しやすさにつながっているのかもしれません。
2026年の2月1日が日曜日になる関係で、午後入試を受けやすくするために面接を廃止した、という背景があるようです
頌栄女子の面接は「重い」という印象を持つ受験生も多かったので、それがなくなる影響はかなり大きそうです。
□8位:桜蔭
□7位:雙葉
「頌栄女子学院・桜蔭・雙葉」の3校は、女子学院が試験日を2月1日から2日に動かした影響で、出庫率が増えている可能性が高いと考えています。
この周辺の難関女子校は、ここ数年「繰り上げ合格があまり動かない」というイメージがありました。
つまり「合格者数をしっかり読み切って出し、繰り上げは少ない」という形ですね。
ただ今年はサンデーショックの影響で、
•合格者数を増やす
•繰り上げ合格を増やす
といった動きが出る可能性もあります。
模試の状況を見ても、
「女子学院の入試日が動いたことを“サンデーチャンス”ととらえて、強気にチャレンジしよう」
としている受験生が一定数いる印象です。
特に桜蔭は今年 107.2% と大きく増えています。御三家は男子も女子も近年やや減少傾向があったものの、「少し増えるだろう」とは予想していましたが、まさか昨対比7%以上も上がるとは思いませんでした。それだけ、積極的に挑戦していく受験生が増えているということですね。
□6位:カリタス女子
ここも本当に勢いがありますね。
学校のシンボルツリーの葉っぱがハート型になっていて、校長先生が「お守りに持って帰ってくださいね」と声をかけてくださるほど、あたたかい校風が魅力的です。
さらに、神奈川エリアの女子校の中でも 洗足学園と並んで元気のある学校 という印象です。
立地もよく、東京の受験生でも通いやすい点も人気につながっているのでしょうね。
□5位:横浜共立学園
ここも サンデーショックの影響 がはっきり出ています。
これまで2月1日だった試験日が2月2日に移動するのですが、神奈川で日程が動くのは横浜共立学園だけです。
そのため、
「フェリス女学院+横浜雙葉との併願で横浜共立学園を受ける受験生が増える」
と見られます。
また洗足学園が・・・
・これまで2月3日に行っていた3回目の入試廃止
・2月1日・2月2日の2回に集約
・1回目の定員を増やしている
これらは直接の関係ではないにせよ、このタイミングで動いていることに意図を感じます。
つまり、洗足学園は入試回数を減らし、2月3日の定員分を2月1日にシフトする形ですね。第一志望の受験生には有利にも見えますが、ここまで難度が上がってくるとなかなか簡単ではなさそうです。
ちなみに、洗足学園の今年の出庫率は 91.4%と昨年より減少 しています。
これは入試が3回から2回になり・・・
後半日程を受ける受験生が減ったため、過去問購入も減少した
というわけです。
もちろん、試験が難しくなっている影響もあるでしょうが、受験機会が減ったことの方が大きいと考えられます。
□4位:山脇学園
今年も圧巻です。出版元ではすでに在庫ゼロになるほどの人気ぶりで、山脇学園の勢いは相変わらずですね。
▼出庫率が増加した学校1位~3位
□3位:恵泉女学園
2025年度入試でも大きな人気を集めましたが、今年も勢いが続いていますね。
ただ、やはりここも 午後入試であることから、サンデーショックの影響を受けている可能性は高いです。併願プランにも組み込みやすい学校ですし、こちらも 出版元では品切れになっています。
声の教育社の発行部数を決める会議は、毎年見通しが難しいですね…11月下旬の売り切れは、さすがに勘弁してほしいところです。
なお「品切れ」はあくまで 出版元での在庫ゼロ のことで、書店にはまだ置いてある場合もあります。
必要なご家庭は早めのご購入がおすすめ、という意味ですね。
□2位:女子学院
出版元では数冊を残すのみの、ほぼ品切れ状態です。
とはいえ、女子学院の場合はおそらく書店にはまだ在庫があり、またこの時期から新たに過去問を買うケースも多くないでしょう。
女子学院は、まさに サンデーショックの影響を最も強く受ける学校の一つです。
前にもお話ししましたが、近年は繰り上げ合格をあまり出していないため・・・
「1クラスの人数が多少減っても問題ない」
という判断をしているのかなと想像しています。
今の時代背景的にも、そうした方向性はあるかもしれないので、そうするとそんなに合格者数増やさないのでは?という気もしないではないですね。
一方で、桜蔭などの出庫率が増えていることを考えると・・・
「女子学院も合格者数をまったく増やさないわけにはいかない」
という見方もあります。
特に女子学院は桜蔭よりも、国際系カリキュラムの関係で渋谷教育学園渋谷との併願 が一定数ある印象です。その意味でも、どれくらい合格者を出すのか注目ですね。
□1位:立教女学院
学校の先生方も、この結果には喜んでいらっしゃるかもしれません。
ただ同時に・・・
「どれを基準にどのくらい合格を出すか」
という悩ましさもあると思います。これは立教女学院に限らず、他校でも同じですね。
過去問はすでに 品薄で、残り数冊 という状況。女子学院と似ています。1位〜4位まで軒並み「品切れ・品薄」というのはさすがにすごいですね。
最初は「今回はサンデーショックの影響はそれほど大きくないかも」と思っていたのですが、実際には 2月1日が日曜日になることの影響はかなり大きいと感じています。
しかも、前回のサンデーショック(10年前)よりも、
・立教女学院の人気はさらに高まっている
・受験生の層も広がっている
印象がありますね。
1位が立教女学院という結果にも納得感がありますし、付属校人気の流れとも重なっているのではないかと思います。
▼出庫率が減少した学校(ねらい目校)
出庫率から見ると昨年よりもあまり売れてないので、もしかすると「ねらい目」かも知れないという学校のご紹介です。
□東京女学館
少し意外ですが、出庫率は2割減となりました。昨年大きく伸びたとはいえ、今回はかなりのダウンですね。
ただ、これはサンデーショックの影響というより・・・
「今年は強気にチャレンジする受験生が増えていること」
が要因かもしれません。
その流れの中で、東京女学館の志望順位が少し下がっている可能性もあります。
ですので、東京女学館を第一志望にしている受験生にとっては、むしろ追い風になるかもしれませんね。
□白百合学園
ここは完全に サンデーショックによる影響ですね。試験日が2月2日ということで、前回のサンデーショックの時も同様に動きが見られました。
白百合学園は「サンデーチャンス」として受けるのも十分アリだと思います。
逆に、現段階で受験を決めている方々は志望度が高い層だと思われるので、歩留まりも高くなると考えています。
□鎌倉女学院
ここ数年、出庫率が少しずつ下がり続けています。
2月3日の午後入試の影響もあってか、1日・2日は模試でも応募者数が減っている状況です。
そのため、第一志望の受験生にとってはチャンスが広がる可能性もありますね。
「入りやすくなるかもしれない」という印象を受けます。
□香蘭女学校
傾向としては東京女学館と近い印象があります。
立教女学院が出庫率1位となるほど人気を集めていますが、香蘭女学校も・・・
「立教大学への推薦枠は定員分確保されている」
にもかかわらず、この差は少し不思議に感じます。
学校の雰囲気もどこか似ている面があるので、出庫率の数字だけで言うと、
「立教大学への進学を本気で考えているなら、立教女学院よりも香蘭女学校のほうがむしろ“ねらい目”なのでは?」と思えるほど、今回は対照的な結果ですね。
本当の倍率や実際の受験生の流れは別として、出庫率の昨対比で1割以上の減少は本当に久しぶりです。複数回入試が始まってからはずっと人気上昇が続き、人気の反動で多少の減りはあったものの、ここまでの減少はあまり記憶にありません。
もしかすると、ここにもサンデーショックの影響があるのかもしれません。
いわゆる “穴場” と言える状況 かもしれませんね。
□実践女子学園
ここでついに出庫率が下がりましたね。
・これまでずっと人気が右肩上がり
・入試難易度も急上昇
・受験生が少し敬遠しはじめた可能性
があります。
2025年度入試でも女子校トップ10に入るほど受験生が集まり、後半日程でもしっかり人気でした。
ただ、出庫率が下がったので「入試が易しくなるのか?」と言われると、それはまだわからないところです。
人気が続いたことで偏差値が上がりきり・・・
・これまで挑戦していた層が抜けた可能性
・偏差値帯がひと段上がってしまった印象
があります。
そのため、後半日程でチャンスが広がるかというと、そこまで楽観的ではないかもしれないですね。
□豊島岡女子学園
こちらはもう、はっきりとサンデーショックの影響が見られます。
隔年現象もあると思いますが、2月2日に受験できる学校が増えたことで、女子学院に流れる受験生が増えたのではないかと考えています。
2025年度入試では「英語資格入試」が注目されましたが、実際には決して倍率が低くなかったため、やや敬遠された可能性もあります。
「英語でワンチャンねらう」というのはやはり厳しそうで、結局のところ算数がしっかりできないと突破は難しいという認識が広がったのかもしれません。
□大妻
ここは少し意外な印象がありますね。
先生に2025年度入試問題を見せていただいた際、なんと2月の時点で、今年のノーベル賞受賞テーマを取り上げていたのです。まさか受賞前にこの題材を扱っていたとは…本当に驚きました。
さらに、その問題を「ぜひ知ってほしい」とコピーまでしてくださったことがとても嬉しかったです。
大妻の作問を担当されている先生方のレベルの高さと、常に先を見据えて問題を作っている姿勢を強く感じました。どの学校の先生も作問は本当に大変だと思いますが、大妻はその中でも特に熱意とこだわりが伝わってきましたね。
▼まとめ・次回に向けて
出庫率が増えている学校については・・・
声の教育社が想定していた以上にサンデーショックの影響が大きかった
という印象があります。先ほども触れたとおり、
•立教女学院
•女子学院
•恵泉女学園
•横浜共立学園
•雙葉
•桜蔭
•頌栄女子学院
といった学校の出庫率が上がったのは、サンデーショックが大きく関係していると考えています。
また、昨年は増えて今年は減るという 隔年現象 もあり、今年はその差がとても大きく出ています。
東京女学館のように、今年下がった学校は “ねらい目” としておすすめできる場合もありますし、こうした学校を志望している受験生にとっては、むしろ朗報でありチャンスと捉えることもできると思います。
これから「受験校をどうしようか」と検討されるご家庭は、ぜひこのあたりの動向も参考にしつつ、早めに過去問を準備されると安心かと思います。女子校の出庫率のお話はここまでです。
次回は 共学校編 になりますが、こちらもトピックスが盛りだくさんですので、どうぞお楽しみに!
では、今回の動画は以上です。ありがとうございました。