【中学受験】2026年度入試「中学過去問出庫状況の前年比較(男子校編)」過去問が売れてる今年の人気校、そしてねらい目校はどこ?※2025年11月
出典:声教チャンネル(声の教育社)
記事:metasc
「声の教育社の過去問出庫率・男子校」のお話です。
過去問の出庫状況というテーマは声の教育社の過去問題集が…
・昨年よりどれくらい売れているのか
・実際にどれだけ出庫されているか
の視点でのお話です。売れていれば自然と出庫数も増えていくので、販売数と出庫数にはある程度の相関があるはずです。その動きを手がかりに、次の入試がどうなりそうかを予測していこう、というわけです。
余談ですが。この動画を撮る前に「英明フロンティア」へ行ってきました!
練馬区にある共学化された学校の話にはなりますが…
・とにかく校舎がきれいで雰囲気も良い
・カフェテリアも充実
しており、「結構おすすめだな」と思いました。
【出庫率が増加した学校トップ10(昨年度比)】
1,芝 107.1%
2,佼成学園 106.0%
3,東京都市大学付属 105.8%
4,攻玉社 105.2%
5,埼玉城北 104.5%
6,武蔵 103.9%
6,足立学園 103.9%
8,本郷 103.2%
9,早稲田大学高等学院 101.4%
10,京華 101.2%
【出庫率が5%以上減少した学校(前年度比)】
灘 87.8%
世田谷学園 91.9%
獨協 92.0%
聖光学院 92.2%
鎌倉学園 93.1%
麻布 94.0%
聖学院 94.5%
慶應義塾普通部 94.6%
浅野 94.6%
ラサール 94.6%
サレジオ学院 94.8%
開成 95.0%
▼2025年度の出庫状況について
今回は男子校編ということで、「この3年間の出庫率を、すべて昨年度対比の数字でご紹介」していきます。
まず昨年の参考データですが、このような結果になっていました。
・佼成学園:特に勢いがあり、まさに“景気がいい”と言えるほどの伸び
・足立学園:同じく好調
・日本学園:明治大学の付属となった日本学園も上位にランクイン
・獨協:約12%増加しており、しっかりと伸びを見せる
…というような動きがありました。
日本学園は今年共学化されたので、男子校のランキングでは載っていません。
神奈川の学校も強く、聖光学院・慶應普通部・サレジオ学院といった学校が並んでいる状況でした。
▼出庫率の全体状況について
今年の全体的な出庫状況についてですが、「今年は増えるかな?」と期待していたものの、実際にはほぼ横ばいで、全体の出庫率は昨年対比では100%を少し下回る結果となりました。
7月頃には「出庫の勢いがとても良い」という話も出ていましたがどうやら過去問の購入時期が年々早まっているようです。
最終的には昨年対比で100%に届く可能性はあるものの、購入時期が前倒しになっているのは、受験に対する皆さんの関心の高さの表れだと思います。
また、最近は…
「確実に合格できる学校を目指す」
というご家庭が増えており、無理なチャレンジを控える傾向も見られます。
そのため、受験生1人あたりが購入する過去問冊数は、大きく増えていないという見方もできるかもしれません。
▼昨年よりも出庫率が増加した学校トップ10
男子校の出庫率上位について、トップ10をご紹介します。
昨年の出庫率一覧と比べてみると、数字自体はほとんど変化がなく、全体的に安定している印象です。
□10位 京華
10位ですが、昨年度対比で101.2%なので、実際には昨年とほぼ同じ数値で、大きな変動はありません。
1~2%程度の増加であれば、誤差の範囲といえるレベルですね。
□6位 本郷
10位~4位の中では、本郷がひときわ目を引きますね。
昨年の2025年度入試、男女別学の中でもっとも売れていたのが本郷でしたし、その勢いは今年も健在です。
昨年に続きさらに伸びているところを見ると、本当にすごい学校だなと感じます。
過去問出庫数の全体のランキングは後でまとめて別の動画でお話しますのでお楽しみに!
□6位 足立学園
足立学園も素晴らしいですね。昨年に続き、今年も出庫率が増加しています。
3年連続で伸び続けているというのは本当に立派で、安定した人気の高さがうかがえます。
□6位 武藏
御三家の中で唯一ランクインしているのが武蔵です。
ここ2年ほどは減少傾向でしたが、今年は数字が戻ってきており、持ち直した印象があります。
□5位 城北埼玉
城北埼玉も同様で、ここ数年は減っていたものの、今年は回復してきているように見えます。
出庫率の動きに活気が戻ってきた印象です。
□4位 攻玉社
ここ数年は出庫率が下がっていた学校のひとつですが、今年は好調という声をよく耳にします。
模試の志望校欄でも、攻玉社を選ぶ受験生が増えているようで、名前を聞く機会が本当に多いです。
その一方で、攻玉社が伸びている分、世田谷学園の出庫率が少し落ち込んでいるようにも感じられます。
隔年で人気が入れ替わるような動きなのかもしれませんね。
□3位 東京都市大付属
3位の東京都市大付属ですが、ここ数年は少し減少傾向が見られました。
2月1日の入試日程に参入した際には受験生が増えたものの、その後は勢いが少し落ち着いた印象があります。
ただ、2026年度入試からは…
「Ⅰ類・Ⅱ類制度が廃止され、コース区分に関係なく高い目標に挑戦する」
という方針に変わり、
そのため、人気が上昇するのはむしろ自然な流れと言えるでしょう。制度が一本化されたことで出願しやすくなった、という要因もありそうです。
□2位 佼成学園
佼成学園は本当にすごいです。
昨年の出庫率は128.3%で、途中で売り切れてしまったほどの人気でした。在庫数があれば、もっと売れていた可能性もあるほどです。そして今年は、昨年売り切れた数をさらに上回る勢いで出庫が伸びています。
9月に佼成学園の南井教頭先生にお会いした際、「今年は減っていて心配です」とおっしゃっていましたが、出庫率を見る限り、実際には減っていません。むしろ志望順位が上がっているのではないかと思われます。第1志望・第2志望に位置づける受験生が増えたことで、過去問が早い時期に購入されている印象があります。
今回の数字は11月時点の出庫率なので、12月の動きでまた変わる可能性もあります。
12月に「過去問出庫率の直前版」もお話しますけれど、ただ、現時点で出庫割合が高く出ている学校は、
“比較的志望順位の高い受験生が早めに過去問を購入している”
という見方もできるでしょう。
南井教頭先生によると、
“説明会の参加人数や模試で佼成学園を志望校に記入する受験生は減っている”
とのことでしたが、出庫率を見る限り、人気が大きく落ちたという印象はまったくありません。
□1位 芝
男子校1位は芝です。
芝といえば武藤校長先生のお話が印象的で、その魅力に惹かれて「芝に行きたい!」と思う受験生は少なくありません。
今回の増加は、隔年現象に近い動きなのかもしれません。
ここ数年、芝を受けやすいと判断したご家庭が増え、やや“穴場”と見られていた可能性もあります。
ただ、芝そのものは…
・学校としてしっかりと軸がぶれていない
・入試問題も一定の難度を保っている
ことは魅力と言えます。
・2025:前年度比93%
・2026:前年度比107%
と戻してきていますが、この増加がそのまま劇的な難化につながるかというと、そこまで大きな変化にはならないと思われます。昨年の佼成学園や日本学園のような急激な動きではない、という印象です。
全体として、男子校は難化傾向が広く知られるようになり、
その分、男子校全体の出庫率の動きも大きな上下が出にくくなっているのだと感じます。
▼昨年よりも出庫率が5%以上減少した学校
男子校の出庫率を踏まえ、今年“ねらい目かもしれない”学校をご紹介します。
ここで取り上げるのは、“昨年から出庫率が5%以上減少している学校”です。
□灘
灘については、関西受験ツアーのような取り組みも、今も行われているかもしれませんが、ここまで出庫率が下がっていると、もはや声の教育社の過去問は不要な可能性もあります。
灘はほかの学校とは異なる独特の動きをするので、単純に判断しずらいところがあります。
□世田谷学園
世田谷学園は、少し出庫率が落ちています。
近年、入試が難しくなったことが影響しているのかもしれません。
□獨協
獨協については、模試の志願者数を見る限り、大きく減った印象はありません。
むしろ…
・人気は安定している
・昨年は出庫率ランキング4位に入っていた
それだけに、今年の控えめな出庫率は“隔年現象”に近い動きかもしれません。
実は、この一覧に載っていて、紫色の枠に囲まれている数字の学校は、昨年の出庫率が100%以上と高かった学校ばかりなのです。つまり全体的に隔年現象が起きている印象です。
つまり、今年控えめに見える学校は、一時的な揺り戻しである可能性が高いと感じます。
出庫率だけで人気の上下を判断するのは難しそうですね。
一方で、模試の結果を見ると、獨協は全日程で志願者が増えており、昨年度比1割以上プラスとなっています。
それなのに出庫率が伸びていないのは…
・模試の志願者の数
・過去問の出庫率
は別の動きに見えます。
ただ、過去問を買わないということは考えにくいので、例えば「獨協の全4回の入試をすべて受ける」という受験生が増えているのかもしれません。その場合、必要な過去問は1冊で済むため、模試の志願者は増えているのに出庫率は伸びない──という現象が起きます。
となると、獨協を併願校としてではなく、第1志望として考える受験生が増えている可能性もあります。
説明会の参加者数が大きく減っているという話は聞きませんし、
坂東校長先生の存在感もあり、学校としての勢いはしっかり感じられます。
□聖光学院
昨年は “東大合格者100名” という大きな話題で一気に注目が集まり、かなり盛り上がりましたよね。
その反動もあってか、今年の出庫率は少し落ち着いており、隔年現象のようにも見えます。ただ、単に盛り上がりの熱が落ち着いただけ、という可能性もありそうです。
注目すべきは、聖光学院に限らず、
・鎌倉学園
・慶應義塾普通部
・浅野
・サレジオ学院
というように、神奈川の上位男子校が軒並み5%以上出庫率を下げているという点です。
一方で、栄光学園はランクインしていないものの…
・栄光学園:98.5%と微減
・藤嶺学園藤沢:100.2%でほぼ横ばい
という状況です。
こうして見ると、神奈川の男子校は全体的に出庫率が下がっている状況です。
昨年は女子の「共学校志向」が強く見られましたが、
もしかすると、
・今年は男子にも共学校志向が広がっている
・神奈川の受験生が東京の学校に流れている可能性
も考えられますね。
いずれにしても、人気が落ちたというよりは、共学校を視野に入れているご家庭は増えています。
「男子校が難しくなってきたため、他の選択肢を検討している家庭が増えている」
という状況の方が実態に近いと感じます。
昨年は多くの学校が出庫率を大きく伸ばしていたため、今年はその反動もあるでしょう。
□麻布
灘・ラサールの特別な動きを除けば、3年連続で5%以上出庫率が減っている男子校は麻布だけです。
東大合格者数が大幅に増えたにもかかわらず、出庫率は下がっているというのは興味深いところです。
この状況を見ると、来年度入試では少し受けやすくなる可能性すらあります。
“「麻布を受けたいけど迷っている」という受験生にとっては、むしろ前向きに考えられる材料”
かもしれません。チャレンジしてみる価値がある状況と言えるでしょう。
学校自体の教育方針は大きく変わりませんが、受験生の志望動向は毎年のように変化します。
渋谷教育学園渋谷のような共学校に志望が流れている可能性もありますね。
麻布から海城へのシフトはさほど見られず、出庫率は100.7%と昨年とほぼ同じ。
となると、やはり共学校の方へ流れている動きが強いのかもしれません。
□慶應義塾普通部
慶應普通部は…
“入試での合格目安となる得点情報を公表したこと”
で志願者が増えた、という流れがありました。
今年に関しては、その影響が定着しつつあるようにも見えますが、
だからといって今回の動きが今後もずっと続くかというと、必ずしもそうではなさそうです。
男子校全体としては出庫率の変動が小さいため、大きな変化が起きているというよりは、例年通り落ち着いた動きだと感じます。
□開成
開成も少し出庫率が減少しています。
やはり難関校に対する“敬遠傾向”が、今年は全体的に強めなのかもしれません。
とはいえ、出庫率が下がったからといって、
「じゃあ開成の入試が易しくなるの?」というと、それはまた別の話です。
昨年の開成は出庫率が伸びていましたし、難易度に大きな変化が出る可能性は低そうです。
一方で、麻布については、出庫率の動きから考えるとワンチャンスあり得る、という見方は十分できそうですね。
・・・毎年この時期になり、出庫率のお話をすると「この学校はどうですか?」と多くお問い合わせをいただきますが、個別の学校についてお答えすることは難しいため、動画では全体の傾向に絞ってお伝えしています。今回…
・出庫率上位に入っていない学校
・5%以上減ったねらい目校
に入っていない学校については、「特別大きな変化はなかった」と見ていただいて大丈夫です。
実際、上位10校の10位ですら 101.2% と、ほぼ横ばい。
つまり、今年の男子校は全体的に出庫率の差がとても小さく、ほとんどの学校が 出庫率昨年度対比95%〜101% の間に収まっています。
そのため…
“「今年は男子校の動きが大きく変わった」という印象はあまりなく、例年通りの範囲内”
と考えて良さそうです。
▼まとめ
男子校については、来年もあまり大きな変化はなさそうです。その一方で、次回取り上げる女子校は大きく動きます。
サンデーショックによる日程変更の影響もあり、女子校はかなりダイナミックな変化が出ています。
共学校・女子校の動きに比べると、男子校はまさに“凪”の状態ですね。
ということで!
次回は 女子校編 をお届けしますので、ぜひご期待ください。
男子校の話は動きが少ない分、今日の内容は少しおとなしい内容だったかもしれません。
しかし、受験生にとっては大きく揺れ動かない方が、むしろ安心材料になることもあります。
そう捉えていただければ嬉しいです。
それでは、今回は以上です。