【中学受験】2025年度どうだったのか?~1月入試 千葉・埼玉編~本命?前受け?
出典:声教チャンネル(声の教育社)
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【2025年度1月入試 千葉・埼玉 応募者数最多校(前年比)】
- 開智所沢 16,535人(199.7%)
- 開智 15,551人(192.8%)
- 栄東 14,423人(102.9%)
- 埼玉栄 5,226人(96.2%)
- 大宮開成 4,132人(84.5%)
- 東邦大学付属東邦 3,326人(99.4%)
- 市川 3,318人(99.1%)
- 淑徳与野 3,022人(121.9%)
- 専修大学松戸 2,918人(92.9%)
- 浦和実業学園 2,858人(101.3%)
- 渋谷教育学園幕張 2,584人(93.4%)
- 昭和学院秀英 2,555人(111.5%)
- 芝浦工業大学柏 2,403人(103.7%)
- 獨協埼玉 2,320人(96.0%)
- 星野学園 2,304人(85.3%)
- 麗澤 2,236人(93.3%)
- 浦和明の星女子 2,149人(93.3%)
- 春日部共栄 2,020人(95.4%)
- 立教新座 2,002人(99.4%)
- 西武学園文理 1907人(83.8%)
- 昭和学院 1,394人(97.3%)
【2025年度1月入試 高実倍率校】
◆千葉
- 成田高等学校付属
- 西武台千葉
- 千葉明徳
- 光英VERITAS
- 昭和学院
- 芝浦工業大学柏
- 麗澤
◆埼玉
- 細田学園
- 青山学院浦和ルーテル学院
- 開智所沢
- 開智
- 昌平
【2025年度2月入試 高実倍率校】
◆千葉
- 流通経済大学柏
- 昭和学院秀英
- 渋谷教育学園幕張
- 芝浦工業大学柏
- 東邦大学付属東邦
- 市川
- 専修大学松戸
◆埼玉
- 淑徳与野
- 立教新座
- 細田学園
【2025年度 千葉・埼玉公立 高実倍率校】
- 千葉県立東葛飾
- さいたま市立浦和
- 千葉県立千葉
1月入試の千葉・埼玉についてのお話です。「2025年度どうだったのか」シリーズの中では、これが最後の回になります。
今年は昨年度よりも動画の公開が遅くなってしまいました。例年であれば、そろそろ過去問の出庫率について取り上げる時期で、問い合わせも増えている頃です。
それでは、1月に行われた千葉・埼玉の入試を振り返っていきましょう。
▼応募者数最多校
□開智所沢・開智
言わずもがなですが、やはり今年も開智グループの勢いが際立っていました。
例年であれば、最も応募者が集まるのは栄東でしたが、今年は開智所沢と開智がそれを上回る結果となりました。
昨年の同時期の報告では「栄東がついに1.4万人を超えた」と話題になっていたのに、今年は開智所沢が1.6万人を突破したわけです。これは本当に大きな変化です。
その背景としては・・・
・開智所沢・開智は複数回受験しても受験料が同じである
・受験のたびに加点がつく
・両校へ同時出願できる仕組み
が受験生に支持された点が挙げられます。
さらに開智所沢については、昨年に新校舎が完成したばかりで、まさに「できたて」の校舎を見られることが人気の要因になったようです。施設が完全に整っていない部分もあったものの、逆に・・・
「一緒に学校を作っていきましょう!」
という前向きなメッセージにつながり、好印象を与えたとも考えられます。
実際、開智所沢は開校2年目にして一気に人気が高まりました。初年度から注目されていましたが、今年はさらにその勢いが増しました。しっかりした校舎が整ったことも大きな理由でしょう。
□栄東
応募者数としては過去最多の状況でした。
また、実際に受験した人数(実受験者数)を見ると開智所沢・開智よりも栄東の方が上回っています。
この点から見ても、やはり栄東の強さは健在だと言えます。
□埼玉栄
栄東と同じ、佐藤栄学園グループのひとつである埼玉栄も
応募者数は5,000人台とはいえ、全体では4位
につけています。埼玉栄は栄東とセットで出願すると受験料が割安になる制度がありますが、ここ2年ほどはそれを利用せず、「埼玉栄を第1志望として受ける」受験生が増えているようです。
スポーツのイメージが強い学校ですが、大学合格実績も伸びており、評価が変わってきていることがうかがえます。
□大宮開成
開智所沢・開智や栄東の人気が上昇している流れを受け、大宮開成に志願者が増えても良さそうなものですが、実際にはむしろ減少している状況です。
これまで大宮開成を受けていた層も、開智所沢・開智や栄東に流れている可能性があります。
ただ、2026年度入試では受験生が戻ってくる可能性も十分にあります。
□東邦大学付属東邦
□市川
ようやく6番目で千葉の学校が登場する形ですね。昨年と大きくは変わらない状況ですが、東邦大付属東邦も市川も、近年また人気がぐっと高まってきている印象があります。
特に東邦大付属東邦は・・・
・千葉県内からの受験生が多い
・12月には第1志望入試を実施している
こともあって、その分の受験者数が積み上がっています。
ただし、例年倍率が高くなる2月入試と12月入試で見てみると、今年はやや人数が減った様子も見られました。とはいえ、全体として見るとほとんど大きな変化はありません。
□淑徳与野
医進コースの人気が非常に大きく、これが2年連続で志願者増につながっています。
応募者が3,000人を超えたのは本当にすごいことで、
「首都圏の女子校の中で応募者数が1位、さらに男女別学全体でも1位」
という状況です。
この流れが2026年度入試でどう影響するか気になりますね。偏差値も上がって難易度も高くなってきています。
□専修大学松戸
昨年度と比べると、今年は応募者がやや減少したようです。
難易度が上がり、受験生から「以前より難しくなった」という印象を持たれている可能性もあります。
□浦和実業学園
現在、生徒数がかなり多く、すでに1クラス分オーバーしている状況のようです。
そのため、来年度はあまり多くの合格を出せないのでは…という見方があります。
□渋谷教育学園幕張
応募者数は減少していますが、後ほど紹介する2月入試は非常に厳しい状況です。これについては、
いわゆるチャレンジ層が抜けたことが主な理由・・・
で学校としてのレベルはむしろ確実に上がっています。
先日、渋谷教育学園幕張の創立100周年記念式典に参加しました。
会場は東京国際フォーラムで、生徒全員が参加していたようで、開演前は会場がとても賑やかでした。ところが式典が始まると一転、まるでそこに誰もいないかのように静寂に包まれました。
生徒たちは一言も話さず、動く音すらほとんどしない。寝ている様子もない。
本当に優秀な生徒が集まっているのだなと実感しました。
記念講演は東京大学の総長によるもので、1時間ほどありましたが、生徒たちは終始静かに聞き入っていました。東大を目指す生徒が多いこともあり、集中度が違うように思いました。
あまりの姿勢の良さと学びへの姿勢に、心から驚き、
「日本の未来を担う子どもたちがここにいる」と強く感じさせられました。
□昭和学院秀英
近年、人気が高まっている印象があります。
渋谷教育学園幕張と同じエリアにあるため、渋幕が難しいと感じる受験生が流れてきている可能性もあるのではないかと思います。
□芝浦工業大学柏
こちらも人気があり、志願者が増えている状況です。
□獨協埼玉
応募者数はやや減少しましたが、それでも全体で14位に位置しています。
□星野学園
開智所沢の影響を多少受けたのかもしれません。個人的には、星野学園を受験するのはとても良い選択だと思います。2026年度入試では応募者が増えそうな印象があります。
□麗澤
先日訪問してきました。鹿には出会いませんでしたが、「馬注意」の標識がありました。野生の馬がいるわけではなく、大学に馬術部があるためです。
また、広大なゴルフ場があり、保護者は割安で利用できるそうです。
□浦和明の星女子
淑徳与野に受験生が少し流れたことで、応募者が減った印象です。ただし、校長先生が交代されたので、今年は応募者が増える可能性もありそうです。
□春日部共栄
埼玉県東部の学校は全体的に応募者がやや減少気味で、その意味では、逆に狙い目とも言える状況です。
□立教新座
志願者数はほとんど変わらず、例年並みです。
今年は、三輪田学園から塩見校長先生が赴任して初めての年度であり、今後の発信次第では応募者が増える可能性が十分にあると考えられます。
□西武学園文理
これまでずっと高い人気を保っていましたが、今年は志願者数がやや減少しました。
とはいえ、依然として人気校であることに変わりはありません。
□昭和学院
増えているかと思いきや、実際には応募者が減少していました。
それでも倍率が高い試験回もあるため、引き続き注目すべき学校です。
▼高実倍率校1月
【千葉】
今年は全体的に実倍率が上昇しています。昨年のデータを見ると、千葉で実倍率が高かったのは・・・
・昭和学院
・麗澤
の2校のみでした。それが今年は一気に増えて、なんと7校も高実倍率校として挙がっています。
しかも、そのうち複数の学校で実倍率が10倍を超えている状況です。
□成田高等学校付属
スカラシップ入試の倍率が非常に高い状況です。スカラシップは2科入試で難度が高いため、
「すでに合格を持っていても、改めてスカラシップに挑戦できる仕組み」
になっています。そのため・・・
「合格は確保しているけれど、スカラシップにもチャレンジしたい」
という受験生が多く受験するわけです。
1月の千葉の高実倍率校の結果を見ると・・・
・特待入試
・2科入試
は、やはり厳しいということが分かります。
□千葉明徳
ここ数年、非常に人気のある学校です。
卒業生が若くして教員として戻ってくるケースも多く、説明会にも登壇しています。
「学校が好きで、この学校で働きたい」という思いが感じられるアピールがなされており、そうした点も人気につながっている印象です。
□光英VERITAS
特待入試の倍率は10倍前後と非常に厳しい状況です。
特待だからといってスライド合格がないという点には注意が必要で、これが重要なポイントです。
□昭和学院
「アドバンストチャレンジ」という、特待に近い入試方式があります。ここも例年倍率が高めで、昨年も取り上げた注目の学校です。
□芝浦工業大学柏
倍率は5倍を超えています。
これは千葉の後半日程、つまり1月中の入試ですが、1月27日なので・・・
“前受け”というより“本命校”
として受ける受験生が多いはずです。
本命で倍率5倍超えというのは、やはり相当厳しいですね。
□麗澤
昨年に続き、今年も人気が続いています。
・芝浦工業大学柏
・流通経済大学柏
・麗澤
は、いずれも流山エリアに近い学校で、流山市の人口増加という背景も影響していると考えられます。
そのため、来年も高倍率が続くのではないかと予測されます。
流山周辺は、近年特に注目度の高い地域ですね。
【埼玉】
1月の高実倍率校を見てみると、去年と同じような状況です。
□細田学園
特待の合格者数は本当にわずかで・・・
学校の定める基準を超えない限り合格を出さない方針
だと思われます。ここが特に注意しておきたい点です。つまり、募集人数が15名あったとしても、基準に届かなければ合格は出ない――そういうタイプの特待入試ということですね。
□青山学院浦和ルーテル学院
人気の高い付属校であるため、倍率は非常に高くなります。実際、合格者数も一桁しか出ていません。
□開智所沢
□開智
やはり特待入試の回が非常に高倍率です。倍率が高いのは、いずれも特待入試に集中しています。
□昌平
午後の算数1科入試が特に高倍率となっています。
1科目入試はやはり難易度が高く、厳しい戦いになるのが特徴ですね。
▼高実倍率校2月
【千葉】
2月の千葉の入試日程になると、すでに首都圏全体では入試が本格的に始まっています。
そのため、この時期の千葉の入試を受ける受験生は「本命校」として挑むケースがほとんどだと考えてよいでしょう。
千葉の2月入試は非常に厳しい状況にあります。
難関校である・・・
・渋谷教育学園幕張
・東邦大学付属東邦
・市川
さらに・・・
・(2科+面接という独自の方式をとる)専修大学松戸
・昭和学院秀英
・流通経済大学柏
・芝浦工業大学柏
が高実倍率校にランクインしています。
こうして見ると、千葉の難関校や人気校に受験生が集中し、絞られている印象があります。
また、千葉では2月の入試自体をやめる方向に動いている学校もあります。
今回のランキングに麗澤が入っていないのは、麗澤が2月入試日程を廃止したためです。
こうした動きを踏まえると、今後千葉でも、埼玉と同様に2月入試が減っていく可能性が考えられます。
□注目校
このランキングの中で、特に注目したいのが渋谷教育学園幕張の2月2日入試です。 2026年度入試では、サンデーショックの影響が大きく出るのではないかと予想しています。
プレジデントファミリーのセミナーでも触れるつもりですが、
“例年であれば2月2日に渋幕を受験していた層が、女子学院を受ける可能性”
そうなると、渋幕は女子学院に合格者が流れることを想定し、1月中の合格者数を2025年度と同程度、やや多めに出すのではないかという懸念も出てきます。
一方で逆のパターン、つまり、
“1月で渋幕に合格した受験生が女子学院を受けずに渋幕へ進む可能性”
もあります。
そのため、2026年の渋幕2月2日入試は、前回とは違い、サンデーショックの影響を大きく受けるであろう重要なポイントになると感じています。今回の視点はなかなかのポイントと言えます。
【埼玉】
埼玉の2月入試の特徴として・・・
・2月入試は依然として厳しい倍率ではある
・高実倍率となる学校は減少
・2月入試自体を実施する学校も少なくなっている
このランキングに浦和明の星が入っていないのは、実倍率が5倍に届かなかったためです。
浦和明の星は、そもそも高倍率を望んでいないように見える面があります。
大学合格実績も「どこの大学に何人入ったか」という形で大きく公表することはありません。
「あなたの存在そのものが価値を持つ」というキリスト教校らしいポリシーを大切にし、「あなたはそのままでいい」というメッセージを打ち出す学校です。
そうした姿勢が支持されているという点で、埼玉の中でも特別な存在感があります。
実際、桜蔭に合格しながら浦和明の星に進学したお嬢さんを知っているのですが、多様な価値観によって選ばれる学校で、そのような教育理念の学校があるのは本当に素晴らしいことですね。
□注目校
埼玉の高実倍率校の中でも、特に注目すべきは立教新座です。
“補欠合格者を多く出す学校のため、補欠を含めると最終的な倍率は下がる傾向”
があります。
2025年度は補欠合格者が合計113名いたため、2026年度にどれだけ繰り上がるのか、非常に気になるところです。
▼高実倍率校 千葉・埼玉公立
全体的に倍率はやや下がっています。
2024年の時にもお伝えしましたが、首都圏の公立校や公立一貫校は、全体的に倍率が下がる傾向が続いていると言えます。
▼2025年度 千葉・埼玉入試まとめ
埼玉については応募者数が増加しましたが、これはやはり
・開智所沢
・開智
・淑徳与野
の人気の高まりが大きな要因だと思われます。
また、埼玉入試後に実際に手続きを行う受験生も増えており、「前受け」「お試し」と言われる埼玉の私立中学校であっても、合格した場合に進学先として選ばれる学校が増えてきたと感じています。
一方、千葉では高実倍率校が増えています。
特に流山周辺の人口増加の影響が大きいように思います。例えば都内で言えば豊洲エリアのように、中学受験者の多い地域からアクセスしやすい有楽町線沿線の学校に応募者が集まりやすくなる傾向がありますが、それと似たような現象として、流山方面から通いやすい学校が応募者を増やしている状況です。
この傾向はおそらく来年以降も続くと思われるため、その地域の学校を志望する受験生は注意が必要です。
今回は1月入試でも倍率が高かった学校をご紹介しましたが、こうした状況は来年度以降もしばらく続くと予想されます。
実際、千葉の模試結果でも受験者数の増加が見られています。
繰り返しにはなりますが!
“特待合格を目指す場合、スライド合格の有無には特に気をつけてください”
また、首都圏入試と同じで、
・2科入試
・算数1科入試
・英語資格入試
などは、必ずしも倍率が低いわけではありません。
チャレンジするのであれば、相当厳しい戦いになることを理解したうえで臨んでいただきたいと思います。
▼2026年度 千葉・埼玉入試に向けて
昨年も同様の話をしましたが、入試は回を追うごとに倍率が上がる傾向があるため、その点にはしっかり注意しておく必要があります。
2025年度入試は倍率以上に、実際に受けた感触として難度が高かった印象があります。
なかでも開智所沢は難しさが目立ちましたが、2026年度入試では募集定員を増やし、昨年よりも多めに合格を出す予定だと学校側から説明がありました。
とはいえ、2025年度の状況を振り返ると、学力的にやや届かない受験生には合格が厳しい場面が多く見られました。こうした厳しさがどこまで緩和されるかは、実際に2026年度入試が行われてみないと分かりません。
そのため、なかなか合格が取れない状況が続く場合は、深追いしない方が良いケースも出てくるかもしれません。
1月中は比較的早い段階で合格を確保しておきたい時期ですが、もし1月入試で合格を得ても進学の意思がないのであれば、結果が振るわなかった場合は「こういうこともある」と気持ちを切り替え、むしろ「油断するな」というサインとして受け止め、気持ちを切り替えて2月入試に臨むのもひとつの考え方です。
“無理に「1月で1つ合格を取ってから2月1日を迎えないといけない」と思う必要はありません。”
深追いしすぎて不合格が続くと、親子ともに心が折れてしまい、2月の入試にチャレンジできなくなる可能性があります。そのため、ときには深追いしない判断も大切です。
□注目校
注目したいのは、先ほど挙げた柏周辺の3校・・・
・芝浦工業大学柏
・流通経済大学柏
・麗澤
そして・・・
・昭和学院
です。
どちらも10月の模試の状況を見る限り、来年度以降さらに応募者が増えそうな雰囲気があります。
特に昭和学院は今年の時点でも応募者が増えそうな兆しが見られ、流通経済大学柏も同様に応募者増が予想されます。
また、
・栄東:入試日程を1日減らすため、その影響で倍率がどう変化するのか注視すべきポイント
・埼玉栄:模試の受験者数が増えていることから、本番の応募者増が期待される
・西武学園文理:同様に増加傾向があり、マルケス校長先生就任後、学校イメージの向上が応募者増に結びついている
・獨協埼玉:ここ数年は受験者数が減少傾向にありましたが、10月の模試では大きく増えており、こちらも応募者増が見込まれる注目校
▼次回に向けて
2025年度入試については、これで全て振り返り終えました。
次はいよいよ、「声の教育社の過去問題集の出庫状況」についてお話しすることになります。
どうか健康第一で、引き続き頑張ってください。
6年生のみなさんは、今が最もつらい時期だと思いますが、ぜひ最後まで踏ん張ってほしいと思います。