【中学受験】2025年度どうだったのか?~2月入試 共学校・後編~2科・午後・特は超!高倍率!
出典:声教チャンネル(声の教育社)
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共学校編の後半です。2025年度入試における共学校の高実倍率校の結果を振り返っていきます。本当に…厳しい入試でしたね。まさに「激戦」という言葉がぴったりの試験ばかりでした。
今振り返ってみても、あの戦いぶりは本当に大変だったなと思います。
【2025年度入試 共学校 受験者高実倍率校(10倍以上)】
開智日本橋学園 2/4 2科:49.0倍
日本工業大学駒場 2/2AM得意2科:31.8倍・2/2PM得意2科:13.0倍・2/2プレゼン:13.0倍
2/3得意2科:19.0倍・2/5得意2科:13.2倍・2/5 4科:10.6倍
芝浦工業大学附属 2/2PM英語:15.0倍
芝国際 2/5PM本科:18.8倍
かえつ有明 2/1PM:15.0倍・2/3PM AL思考力特待:35.5倍
駒込 2/2特待国語:11.0倍
広尾学園 2/5インターSG:15.4倍(4.2倍)
広尾学園小石川 2/6PM本:15.7倍・2/6PMインターナショナルSG22.3倍(12.2倍)
明治大学付属八王子 2/5PM B:12.7倍
明星 2/3PM2科:25.0倍(11.1倍)
淑徳巣鴨 2/3AMスーパー選抜2科:10.6倍
関東学院 2/5PM:10.2倍
森村学園 2/4:10.0倍
▼高実倍率校①~⑧東京
□開智日本橋学園
毎年、本当に競争の激しい入試ですね。
2月4日には、開智と開智所沢との併願が可能な入試も実施されていますが、それを踏まえてもやはり難関です。特に2科入試は非常に厳しく、今年は…
98人が受験して
2名の合格、
倍率49倍という結果でした。
2科・4科の選択制入試の場合、どうしても2科の方が倍率が高くなる傾向にあります。
今回ご紹介する“高倍率の入試回”も、ほとんどが2科といってよいでしょう。
また、英語を含む試験も意外に倍率が高く、こちらも厳しさが増している印象です。
・国、算、英の試験では9.3倍
・2月2日午後の2科試験では9.6倍
非常に高い数字が並びました。まさに今年も、難関校らしい厳しい入試だったと言えるでしょう。
開智日本橋学園は、規模としてはそれほど大きな学校ではないため、定員を大幅に超えて合格を出すことが難しいという事情もあります。
また、開智グループの本部を将来的に日本橋に置く予定があるそうで、塾対象の説明会でもそのようなお話があったと伺っています。
学園全体として、これからさらに発展していくことが期待されますね。
□日本工業大学駒場
ここ数年で人気が急上昇している学校です。
なんとこの7年間で志願者数が700%以上に増加しているというから驚きです。
それに伴い、今年も各試験で非常に高い倍率となり、4科目でも5倍を超える回が出ました。
おそらく学校側としても、あまりに多くの受験生が集まったため…
「合格者を増やしすぎると混乱してしまう」と判断し、合格者数を絞った
のだと思われます。
ただ実際には、想定よりも入学手続きを行う受験生が少なかったようで、その結果…68名の繰り上げ合格が出たとのことです。なお、すでに発表されていますが、
・2026年度入試からは定員を40名増員
・その分をすべて2月1日午前の試験に集約し、募集定員を60名から100名に拡大
するそうです。
これにより、学校としては第1志望の受験生をより大切にする方針を明確にしているといえます。
受験生にとっても、よりチャンスが広がる入試となりそうですね。
□芝浦工業大学附属
特に2月2日午後の入試は、非常に高倍率となりました。
この回が最終の試験回だったこともあり、特色ある入試方式に人気が集中したようです。
「言語探究型」と「英語型」のどちらも、算数は必修という形式ですが、
・言語・探究型は6.0倍
・英語型は15.0倍
という結果になりました。
英語型ではわずか2名の合格という非常に狭き門です。
この入試方式には、すでに2月1日などで4科型を受け終えた受験生が多く挑戦しているのかもしれません。それだけ、芝浦工大附属の特色ある教育に魅力を感じている受験生が多いということですね。
□芝国際
芝国際は、引き続き高い人気を維持しています。特に2科入試では非常に高倍率となり、昨年度から志願者数が大きく増加しました。
模試の動向を見ても、来年度もさらに受験者が増える可能性がありそうです。グローバル教育に力を入れる学校としての評価が定着し、「グローバル教育の人気校」というポジションを確立したと言えるでしょう。今後もその人気は続きそうですね。
□かえつ有明
2月1日午後の入試で15倍という非常に高い倍率を記録しました。
ただ、全体としては2024年度ほどの高倍率ではなく、やや落ち着いた印象です。
とはいえ、これだけ高倍率であっても受験者数自体は減少しているという点を考えると、2024年度入試がいかに厳しかったかが分かりますね。特に2科入試では、合格者が一桁台という回も珍しくありません。
かえつ有明については毎年お伝えしていますが…
・偏差値の高さというよりも、合格者数をかなり絞っている
・定員そのものが少ないため、結果的に超高倍率になりやすい
印象があります。
特に2科入試は日程的に受けやすい分、油断せずしっかり対策を立てることが大切です。
「受けやすい=受かりやすい」ではないという点を意識して、慎重に受験計画を立てましょう。
□駒込
今年も非常に人気の高い入試となりました。
特待入試でスライド合格がないという点もあり、
・算数1科目
・国語1科目
で挑むスタイルは毎年注目を集めています。
その結果、倍率はおよそ10倍前後と、やはり高い水準を維持しています。
□渋谷教育学園渋谷・法政大学・中央大学附属・慶應義塾中等部
これらの学校はいずれも4科目入試ですが、
いずれも高い人気を誇るため、やはり高倍率の傾向が続いています。
難関校としてのブランド力と安定した教育実績が、受験生を惹きつけているようです。
□桜丘
こちらも2科入試が採用されているため、全体的に倍率が上昇しています。受験者数自体も増えており、競争の激しさがうかがえます。今後も注目すべき学校のひとつです。
□広尾学園・広尾学園小石川
いずれも広尾グループとして知られる人気校で、
特に広尾学園は、もはや「言うまでもなく」受験生が最も多く集まる学校のひとつです。
その影響もあり、同グループの広尾学園小石川にも高い関心が集まっています。
今年の広尾学園では、全体として10倍は超えていないものの、
・インターSGに関しては15.4倍
で特に注目すべき結果が出ています。ただし、(カッコ)して書いてあるのが、スライド合格を含めた人数というところですので、インターSGについては15.4倍だけれども、本科へのスライド合格を含めると4.2倍ということです。
このように、コースごとに倍率に差はありますが、依然として非常に高い人気を保っています。
なお、今回の分析では、非常に高倍率の試験回でも、スライド合格によって実質倍率が5倍を下回るケースや、受験者数が極端に少ない学校(例:5人中1人合格など)については一部割愛しています。
その点はご理解いただければと思います。
また、今年の広尾学園は東京大学への合格者数が大幅に増加したことでも話題になりました。 その影響もあり、来年度はさらに志願者が増える可能性もありますね。
広尾学園小石川に関しても、2月6日午後のインターナショナルSG入試が大変注目されました。
こちらは…
・22.3倍という驚異的な倍率
・スライド合格込みで12.2倍
となっており、まさに「狭き門」と呼ぶにふさわしい入試だったといえるでしょう。
□文教大学付属
おなじみの神戸校長先生のもとで知られる文教大学付属。毎年人気が高く、今年も例外ではありませんでした。
特に2月2日の2科入試は、午前・午後ともに5倍以上という非常に高い倍率でした。
2月2日という日程にも関わらずこの数字というのは、
「とりあえず2月2日の文教大学付属で合格を取っておこう」という考えの受験生も多かったかもしれませんね。とはいえ、その後の入試を見据えて受け続ける受験生も多く、最終的には複数回の受験でしっかり結果を出しているケースもあります。やはり、複数回受験でチャンスを広げる戦略は大切だといえるでしょう。
□明治大学付属八王子
毎年のように高倍率で知られる明大八王子ですが、今年もやはり難関校らしい人気ぶりを見せました。
同じ明治大学系列の明治大学付属明治よりも高倍率という点は、少し意外に感じる方も多いかもしれません。一般的に大学付属校は女子人気が高い傾向にありますが、明大八王子は男子のほうが倍率が高いのが特徴です。
その理由の一つは…
恵まれたキャンパス環境。広い校庭には野球場・サッカー場がそれぞれ整備されていること。
スポーツが好きな男子生徒にとっては心惹かれる環境といえるでしょう。
さらに、校内でヤギを飼育していることも話題の一つです。
秋に開催された説明会に伺いましたが、参加者はやや落ち着いた印象でした。今年これほど倍率が高かったこともあり、チャレンジ層がやや減った可能性も考えられます。
また、
・B方式についてはこれまでの総合型(科目横断型)から、完全に科目別(例:大問1が国語・大問2が算数)に変更
されました。この点では、より受けやすくなった印象です。
そして注目は、明治大学系列である日本学園が「明治大学付属世田谷」へと名称変更されたこと。
今後どのような影響が出るか、非常に注目されますね。
首都圏模試センターが11月から実施する明治大学付属中模試も、予想以上に受験希望者が集まっているそうです。特に女子受験生にとっては日本学園は新しい試験となるため、関心が高いのでしょう。
この模試の結果、ぜひ公表してもらいたいですね。
□明星
明星は
・2科入試のみ
・定員の減少
という2つの理由から、どうしても倍率が高くなりやすい傾向にあります。定員の減少は新たに誕生する「明星 Institution」の開校に伴うものですが、その分、注目度もより高まっています。ここ数年で人気が上昇している学校でもあり、今後の動向にも目が離せません。
□安田学園
もはや説明の必要もないほどの安定した人気校ですね。毎年、後半日程では安定して高倍率となるのが特徴です。受験生や保護者からの信頼が厚く、その実績の確かさを感じさせます。
□淑徳巣鴨
2月3日午後の2科入試は特に高倍率となりました。やはり2科入試は例年厳しい戦いになります。
もし2科でチャレンジを続ける場合は、他校でしっかり合格を確保したうえで臨むのが安心ですね。
戦略的に受験スケジュールを立てることが大切です。
□サレジアン国際世田谷中学校
同系列の赤羽のサレジアン国際学園に比べると、世田谷校のほうがやや高い倍率となりました。
サレジアン国際学園の方は落ち着いた倍率に対し、世田谷校は引き続き高い人気を維持しています。立地や校風の魅力もあって、注目度の高さがうかがえます。
□三田国際科学学園
・4科入試でも高倍率
・英語入試では6.9倍
国際系の学校だと、
「英語入試なら少し有利かも」と感じる方もいるかもしれませんが、実際にはそう簡単ではありません。
それだけ人気と実力が集まる、国際教育のトップ校らしい結果といえます。
□東京都市大学等々力
英語入試で三田国際科学学園と同じような傾向が見られます。
2月4日の入試は
・英語
・アクティブラーニング
のふたつという特色ある入試形式のため、受験者数自体は多くないものの、倍率は非常に高い水準です。独自の教育方針に共感する受験生が多く集まっており、高い志を持つ生徒たちにとって魅力的な舞台になっています。
□東京農業大学第一
後半日程では4科目入試でも7倍を超えるという厳しい結果になりました。
東京農業大学第一を複数回挑戦し続けてきた受験生の皆さんが、少しでも合格を手にできていればと願わずにはいられません。本当に努力の積み重ねが感じられる入試でしたね。
思わず胸が熱くなるような、そんな厳しくも切ない結果です。
□和光
少し意外に思われるかもしれませんが、2月11日実施の入試で6倍の倍率というのは、非常に健闘した結果です。この時期まで頑張り抜いた受験生の姿を思うと、「もう全員合格にしてあげたい!」という気持ちにもなりますね。
とはいえ、やはり後半日程の入試を実施している学校は限られており、倍率が低くなるわけではありません。
▼高実倍率校⑨神奈川
□関東学院
関東学院の最終入試回は、なんと10倍を超える高倍率となりました。本当にすごい人気ですね。
もはや…
「後半日程で受けても合格を狙える学校」
という段階ではなくなりました。
先日、学校を訪問させていただいた際にも、その勢いを強く感じました。校内の雰囲気も非常に前向きで、今後さらに人気が高まりそうな印象です。受験生のレベルも年々上がってきており、学校全体の注目度が高まっています。関東学院を志望される方は、ぜひ早めの日程から受験しておくのがおすすめです。
□森村学園
・2月4日の入試では倍率10倍
・わずか3名の合格
という厳しい結果となりました。本当に狭き門ですね。新しい校長先生は女性の岡先生です。岡先生は生え抜きの方でして、とても明るく素敵な先生です。是非説明会等でもお話を聞いてみていただけたらいいと思います。
□日本大学
共学校は、神奈川エリアの中でも特に人気が高いのですが、その中でも人気の学校の一つです。
今年の2月5日入試では10倍近い高倍率となりました。
以前はコース間でスライド合格の制度がありましたが、現在はそれが完全になくなっています。
そのため今後は…
・「偏差値が高いから上位コースをとりあえず受ける」という考え方ではなく
・それぞれのコースの特徴を理解したうえで受験することが重要
どのコースを選ぶかで入学後のカリキュラムも変わってくるため、コース選択は非常に重要です。
塾の先生や学校説明会などでしっかり情報を集め、納得したうえで出願することをおすすめします。
□神奈川大学附属
今年は非常に多くの受験生が集まりました。特に2月4日の入試では約8倍という高倍率を記録。
おそらく、前日や同日の入試回と連続して受けている受験生も多かったと思われます。
□神奈川エリアその他
・日本大学藤沢:今年も約7倍という高い倍率
・湘南学園:6倍
・桐蔭学園:5倍
・青山学院横浜英和:5.3倍
を超えるなど、神奈川の人気校はいずれも高倍率が続いています。
▼2025年度入試について
意外に思われるかもしれませんが、
今年のランキングには…
・法政大学第二
・中央大学附属横浜
・日本大学第一・第二
・ドルトン東京学園
は今回はランクインしていません。こうして見ると、入試の人気傾向に少し変化が見られますね。
特に今年の神奈川では、共学校への人気が一層集中した印象です。
この流れを見ると、やはり午後日程の入試は高倍率になっています。
午後入試でも本気で第一志望として挑む受験生が増えており、合格を取るのが難しくなっているのです。
以前は…
「午後入試=お試し受験」
という雰囲気があり、
学校側も「実際には手続きしないだろう」と考えて多めに合格を出していた時期もありました。
しかし、今では状況がすっかり変わっています。
実際、「午後入試ではもう簡単には受からない」という声が、塾の先生方からも聞かれるほどです。
こうした状況を踏まえると、偏差値で受験日程を決めつけないで、やはり最初の試験回でしっかり合格をつかむことが大切ですね。
▼まとめ
2025年度入試は「10倍を超える高倍率校」が多く見えるかもしれませんが、実際には2024年度入試と比べると、全体としてはやや減少傾向にあります。もちろん、毎年のように10倍を超える人気校もあります。たとえば
・広尾学園
・かえつ有明
などが代表的ですが、
やはり前年の倍率が高い学校は、翌年に少し落ち着くという隔年現象があります。
受験生・保護者の皆さんも、前年の動向をしっかりチェックして、少しでもチャンスをつかめる可能性のある学校を選ぶように工夫されているようです。
繰り返しになりますが、
・2科入試/英語入試(資格入試含む)
・後半日程
いずれも依然として合格が難しい高倍率の学校が多く見られます。
今年ご紹介していない学校でも、来年度には中堅校で倍率が急上昇するケースが出てくる可能性がありますので、今のうちからぜひ注意しておきたいところです。
また、先ほども触れた午後入試についてですが、「近年は合格者数をやや絞る傾向」があります。
特に神奈川では、最近の模試の結果などから見ても、共学校人気がまだしばらく続きそうです。
以前からお話ししているように、
神奈川エリアの女子受験生は、女子校との併願も選択肢に加えることで、受験の幅を広げることができます。特に後半日程では、柔軟に選択肢を持つことが大きな安心につながります。
また、多摩地区でも共学校や大学附属校の人気が高まっています。
多摩地区の女子受験生も、同様に女子校を視野に入れて併願を検討してみるのがおすすめです。
地理的にも神奈川の学校は通いやすいケースが多いため、
エリアを広げて考えることで、より多くのチャンスを得られるでしょう。
▼2026年度入試に向けて
これまでも繰り返しお話ししてきましたが、
2026年度入試は…
「サンデーショック」の影響
が注目されています。女子校に限らず、共学校にも間接的な影響が出てくると考えられます。
また…
・新設校の登場
・募集体系の変更
など、各校でさまざまな動きが見られます。
こうした変化にも、しっかりと目を向けていきたいですね。
□特待入試を受ける場合の注意点
「特待入試を受けよう」と考えている方は、まず、学校がどのタイプの方式を採用しているかを確認しましょう。特待入試には大きく分けて次の2つのパターンがあります。
1.特待生としてのみ合格を出す学校
2.特待で届かなくても、一般合格として合格を出す学校
どちらの形式なのかによって、受験戦略が大きく変わります。
「そこで必ず合格を取りに行くのか」「チャレンジとして受けるのか」――その目的を明確にしたうえで受験校を選ぶことが大切です。
また、スライド合格制度についても要チェックです。
・コース間のスライドが無い学校
・スライド合格がある学校
両方あるので、出願前に必ず確認しておきましょう。学校ごとに制度や基準が異なりますので、
『声の教育社』**新刊「合格資料集」**
をご活用ください。最新の入試情報をまとめて確認できる、とても頼もしい一冊です。
共学校のお話は今回で一区切りです。
次回以降は…
・2025年度1月入試校の状況
・現在の過去問出庫率
についてご紹介していきます。
すでに2026年度入試の過去問の売れている・売れていない状況が少しずつ見え始めており、
「受験が差し迫っている」と実感される方も多いのではないでしょうか。過去問の売れ行きや出庫率から見えてくる人気動向にも、ぜひご注目ください。どうぞお楽しみに!