【中学受験】2025年度どうだったのか?~2月入試 女子校編~最新の過去問品薄情報も!
出典:声教チャンネル(声の教育社)
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2025年度入試について、今回は女子校についてお話します!
今年の入試状況を振り返りながら、来年度はどのような傾向になるのかを見ていきましょう。
【2024年度入試 女子校 応募者数最多校(前年比)】
- 淑徳与野 3,022人(121.9%)
- 山脇学園 2,836人(96.2%)
- 実践女子学園 2,752人(112.4%)
- 豊島岡女子学園 2,751人(109.3%)
- 浦和明の星女子 2,149人(93.3%)
- 跡見学園 2,086人(119.3%)
- 横浜女学院 1,758人(66.6%)
- 三輪田学園 1,664人(86.5%)
- 恵泉女学園 1,651人(112.5%)
- 大妻 1,649人 (98.2%)
- 吉祥女子 1,607人(99.8%)
- 十文字 1,604人(130.7%)
- 共立女子 1,152人(100.0%)
- 大妻中野 1,517人(90.0%)
- 東京女学館 1,365人(105.7%)
- 和洋国府台女子 1,362人(114.0%)
- 洗足学園 1,321人(85.3%)
- 鷗友学園女子 1,315人(109.4%)
- 品川女子学院 1,312人(94.5%)
- 富士見 1,302人(101.6%)
- 国府台女子学院 1,291人(97.2%)
- 田園調布学園 1,242人(93.9%)
- 普連土学園 1,147人(101.3%)
- 中村 1,141人(119.7%)
【2025年度入試 女子校 受験者高実倍率校】
横浜女学院 特別奨学生 Ⅰ2/1PM:80.5倍・Ⅱ2/3PM:11.4倍
佼成学園女子 S特待 2/1PM:41.0倍・2/3PM:13.0倍
女子美術大学付属 2回2/2:11.6倍・3回2/3:11.3倍
富士見丘 一般 2/4AM(2科):8.0倍
三輪田学園 1回2/1AM(2科):7.3倍・3回2/3(2科):6.1倍 / 3回2/3(4科):6.1倍
豊島岡女子学園 1回2/2(算英):5.9倍・2回2/3(4科):5.6倍 /2回2/3(算英):6.4倍・3回2/4(算英):5.7倍
山脇学園 一般C 2/4(4科):7.2倍 / 理数探究 2/3PM(算理):5.3倍
東京家政大学附属女子 4回2/2PM(Standard):7.0倍
▼応募者数最多校
女子校について、応募者数最多の学校についてお話ししていきます。
□淑徳与野
埼玉の女子校が首都圏全体で最も多くの受験生を集めたのは、おそらく初めてのことではないでしょうか。これまでの流れを振り返ると…
豊島岡女子学園が不動の1位を守り
その後は山脇学園が躍進
そして今年、ついに淑徳与野がトップに立ったのです。
注目を集めた理由のひとつは、新設された医進コースです。これまで埼玉の女子校で最も多くの受験生を集めていた浦和明の星女子を抜き、首都圏全体で1位になりました。

また、学校説明会では先輩たちが手作りしたお守りを受験生が選んで受け取れるといった取り組みもあり、こうした温かみのある工夫も人気につながっていると考えられます。

□山脇学園
志願者数は昨年よりやや減少しましたが、入試の難度そのものはほとんど変わらず、むしろ偏差値のレベルでいえば少し高まっている可能性もあります。リケジョ(理系女子)の育成にも力を入れており、これからの伸びが期待できる学校です。そうした点からも、山脇学園の安定した人気ぶりがよく分かります。
□実践女子学園
ここ数年は毎年志願者数が増加し、今年も1割以上増えました。さすがに来年は減るのではと思われましたが、入試広報部長の先生によると「実際に人数が減っています」とのことでした。ただ、これは大幅な減少ではなく…
これまで挑戦していたチャレンジ層が抜けた印象で、依然として高い人気を誇っているといえます。
□豊島岡女子学園
志願者数が1割近く増加しました。しかし、実践女子学園との差はわずか1人で、結果として実践女子が豊島岡女子を上回る形になりました。豊島岡女子がこれほど増えたにもかかわらず実践女子がさらに人気を集めている点は非常に印象的です。
豊島岡女子の人気を支えている要素のひとつに英語資格入試がありますが、この制度も志願者数増加に大きく寄与したと考えられます。

□浦和明の星女子
淑徳与野にこれまでの受験生が少し流れた印象もあるかもしれません。
淑徳与野は医進コースの新設によって募集機会そのものを増やしており、それが浦和明の星女子の志願者数減少につながった要因とも考えられます。
一方で、浦和明の星女子は本当に対照的な学校です。
淑徳与野が「進学実績」を前面に出して埼玉らしい路線を打ち出している浦和明の星女子はそうしたことを強調しません。埼玉の中でも独自の存在感があり、特色を持ったとても良い学校だといえます。
□跡見学園
今年ブレイクした学校のひとつです。周年記念があったことも追い風になったでしょう。
『ハイカラさんが通る』のモデル校
としても知られています。ただし、来年さらに志願者が増えるかどうかは微妙かもしれません。

□横浜女学院
今年は…
志願者数の減少が目立ち、最大級の減少幅
といえるほどでした。その一方で、共学校である神奈川学園の志願者数は増加しています。2026年度入試に向けては、横浜女学院を併願校として組み入れるのも有効ではないでしょうか。
入試制度も変わり、1科目入試など新しい取り組みが始まりますので、その点で志願者が戻る可能性もあります。説明会に参加して平間校長先生の話を聞けば、きっと感銘を受けると思います。


□三輪田学園
これまで順調に志願者を伸ばしてきましたが、さすがに今年は厳しくなった印象です。
完全に「チャレンジ層」が抜けた形といえるでしょう。

□恵泉女学園
今年は大きく志願者数を伸ばし、順位もかなり上昇しました。
数年前にも一度人気が急上昇
その後はチャレンジ層が抜けて一時的に志願者が減少
しかし再び志願者が戻ってきた
…という経緯があります。今年の三輪田学園の状況と似ています。
午後入試を設定していることも、志願者増加の大きな理由のひとつです。
□大妻
志願者数に大きな変化は見られず、例年通り安定した状況が続いています。安定感のある人気校といえるでしょう。
□吉祥女子
7月の一部の模試で志願者が大幅に増加しました。算数の入試形式が一部変更され、豊島岡女子学園のような答えのみを記入する形式の問題が増えたことが影響しています。2025年度の形式変更後の翌年となる2026年度入試は、受験生が安心して挑めるため、志願者がさらに増える可能性があります。

2026年度入試は「サンデーショック」と呼ばれる日程の影響が注目されていますが、その中で吉祥女子は人気を伸ばしている点が特徴的です。四谷大塚やサピックスでの模試結果からも、志願者増加が確認されています。2月1日入試を受験するケースが多いと予想されますが、1回目・2回目の両日とも模試の判定校として志望者が増加している状況です。サンデーショックの影響は完全には無視できないものの、それを上回る人気があるといえるでしょう。
□十文字
今年の大きなトピックのひとつで、志願者数は3割以上増加しました。これは注目すべき伸びです。
理由のひとつに…
「私立女子中学校フェスタ」の会場校となったことが挙げられます。
このイベントが受験生や保護者の目に留まるきっかけとなり、人気上昇に結びついた可能性もあります。


□共立女子
大きな変化はなく、安定した状況が続いています。
2026年度入試については「サンデーショック」の影響がどう出るかが注目されます。
7月の首都模試では、私(三谷)は共立講堂で初めて講演会をしましたが、非常に多くの参加者が集まり驚かされました。その場でも「共立女子に行きたい」という相談を数多く受け、熱気を感じました。過去問もよく売れており、その盛り上がりを踏まえると来年の志願者数が増える可能性もありそうです。
特に2月1日入試に関しては応募者増加の期待が持てますが、サンデーショックの影響もあるため、動向は読みづらい状況です。

□大妻中野
志願者数は前年比で1割減少しました。人気が続いている印象だっただけに意外ですが、それでも1,500人近い受験生を集めており、依然として注目度の高い学校です。
□東京女学館
志願者数が増加を続けており、伝統ある女子校としてじわじわと人気が高まっています。渡部校長先生が積極的に説明会などで発信されていることも影響しているでしょう。
「学校も変わっていかなければならない」
というメッセージが受験生や保護者に伝わり、ニーズにマッチしていることが人気上昇の理由のひとつと考えられます。

□和洋国府台女子
今年は埼玉と同様、千葉の学校全体が増加傾向にありますが、その中でも和洋国府台女子は伸びが見られます。受験生がコロナ禍前の水準に戻ってきたことに加え、学校としての実績も支持を集めている要因といえるでしょう。
□洗足学園
志願者数は減少しましたが…
難化が進んでいることが大きな要因です。
もはや「他校との併願で安全に合格を取っておく」といったレベルではなく、非常にハイレベルな学校になっています。さらに、これまで年3回行われていた試験が2回に減るため今後は一層難化することが予想されます。
ただし…
試験回数が減った分、2月1日の定員は増加します。
そのため、第一志望で洗足学園を目指す受験生にとっては、2月1日入試での合格チャンスが広がることになります。
試験回数を減らす背景には…
「合格者数を単純に増やす」というよりも、「第一志望の受験生が受験しやすくする」
という狙いがあると考えられます。それでも難易度は非常に高く、超ハイレベル校であることは変わりません

□鷗友学園女子
志願者数は1割増加しました。背景には大学合格実績の向上があると考えられます。また、吉祥女子や豊島岡女子学園と対象的なのは算数の評価方法です。鷗友学園女子では・・・
「答えが合っているか」だけでなく、解法の過程や思考の流れを丁寧に見ています。
さらに国語をはじめとする他教科でも記述問題が豊富で、単純に点数だけでなく答案内容から
「この子には伸びしろがある」と判断して合否を決めるなど、きめ細かい評価をしている学校です。

□品川女子学院
来年は志願者数が増えるのではないかと予想されます。新築された校舎が大きな魅力であり、11月の首都模試では新校舎を会場として私(三谷)は講演をします。その際に配布される冊子『shuTOMO』には、声の教育社による品川女子学院の入試特集記事も掲載される予定で、学校の魅力がたっぷり紹介されています。

ただ、入試日程に関しては以前、声教チャンネルで「11年前のサンデーショックほど大きな影響はないのでは」と話しましたが、品川女子学院の平川先生から「とんでもない影響があると思う」と伺いました。

2026年度のサンデーショックは…
品川女子学院に限らず全体的に前年の数字があてにならないケースが出てくる可能性があります。
そのため2026年度入試は出願状況が大きく動くため、驚かないよう心構えをしておく必要があると平川先生からも助言をいただきました。

模試の結果を見ても女子の受験生は全体的に増えそうな傾向があります。
一方で男子はやや減少するかもしれません。
最終的にどうなるかはまだ不透明ですが、2026年度入試は特に動向が読みづらい状況になると予想されます。
□富士見
志願者数は大きく変わりませんでしたが、校長先生が新しく外部から招かれたことが話題になっています。富士見は「探究型教育」を大きな特色として打ち出している学校で、その方針が新体制でも生かされており、一定の効果を上げているように思われます。
□国府台女子学院
志願者数はやや減少しましたが、大きな変化ではなく、おおむね安定した状況といえるでしょう。
□田園調布学園
今年は減少しましたが、これまで志願者を伸ばし続けてきた学校です。
そのため、三輪田学園と同じように…
「チャレンジ層が抜けたことによる減少」と捉えるのが妥当でしょう。基盤の人気は依然として高い印象です。

□普連土学園
志願者数は変わらず。以前に一気に増えた後、減少に転じることなく、そのまま高い水準を維持しています。安定感のある状況です。
□中村
注目度が高まっており、「中村」という学校名を耳にする機会が増えています。先日、取材で訪問した際には学校内の足湯に入ることもできました。そうしたユニークな取り組みや、生徒たちの雰囲気の良さが大きな魅力です。学校見学で先輩たちの姿に触れ、「この学校に入りたい」と感じる受験生が多いことが、志願者数の増加につながっているのではないでしょうか。

▼受験者高実倍率校
高実倍率校を見ていくと、このような状況になっています。

特に超高倍率となっているのは、
・奨学生
・特待制度
を対象とした入試です。これらはスライド合格を出さないため、結果として非常に高い倍率になっています。男子校でも同様の傾向が見られましたが、やはり「特別奨学生入試」は例外的に倍率が高いものだと考えてよいでしょう。
ただし、横浜女学院や佼成学園女子の入試について、すべての試験回が難しいわけではありません。入試回によっては比較的受けやすいものもあります。
あくまでも奨学金を目指して受験する場合に限って、簡単には合格できない試験となっているのです。
実際に合格している人数もかなり少なく、狭き門であることがわかります。
□富士見丘
富士見丘は2科入試を採用しているため、高倍率になりやすいという特徴があります。特に合格者数が少ない点が注目されます。これまであまり紹介されてこなかったかもしれませんが、近年は人気が上昇している学校です。
「2科だから受かりやすい」というわけではなく、むしろ難度は高めです。
さらに、富士見丘を第一志望とする受験生に向けて「WILL入試」という特別な入試方式も用意されています。

□女子美術大学付属
こちらは相変わらずの高い人気を誇っています。特に2回目・3回目の入試に関しては倍率が高くなるのは避けられず、現実的には1回目の入試で合格を目指さないと厳しい状況といえるでしょう。

その他の高実倍率校はやはり人気校が続いていますが、特に…
・2科入試
・後半日程
・午後日程
は難易度が高いです。これは男子校の状況ともよく似ています。
確かに後半日程の試験は併願で組みやすいというメリットはありますが、出願の際には必ず倍率をしっかり確認する必要があります。

また、合格者数がわずか1人や2人といった入試の場合、単純に人数を絞っているのではなく…
「一定の基準を超えているかどうか」で合否を判断している
と考えられます。そのため、基準を満たせば合格できますが、そうでなければ合格は難しいという仕組みです。数字だけを見ると「こんなに厳しいの?」という印象を受けますが、実際には基準に達しているかどうかが重要なポイントといえるでしょう。

□豊島岡女子学園
新たに算数と英語資格入試を導入しました。そのうち英語資格入試は応募が集中し、倍率が5倍を超える回も出ています。この結果を踏まえると、「やはり英語ではなく算数がポイントだったかも」と感じる受験生も多かったのではないでしょうか。

□東京家政大学附属
全体の受験生数は減少していますが、特定の試験回については合格者がわずか1人という非常に厳しい状況でした。志願者数の動きと、入試回ごとの難易度には大きな差があるといえます。
▼2026年度入試に向けて
2026年度入試は「サンデーショック」の影響があります。
先ほども触れましたが…
・受験生全体の数が増えそう
・特にチャレンジ志向が強まっている様子
がうかがえます。

最新の情報としては、サンデーショックで日程変更のある女子学院の過去問がすでに品薄になっています。これは声の教育社の想定以上にサンデーショックの影響が大きく出ていることを示していると考えられます。

女子校を中心に検討している受験生やご家庭は、模試の志願者数や出願状況をしっかり確認しながら、無理のない併願日程を工夫して組むことが重要です。 ――ということで、次回は共学校について見ていきましょう。
