【中学受験】2026年度 「新規開校・共学化まとめ」+後藤からヒトコト
出典:声教チャンネル(声の教育社)
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今年は、
新規開校や注目の共学化
を迎える学校が本当にたくさんあります。
「うちはそういう学校は受けないから関係ない」と思っていても、実はその開校や共学化によって、受験を予定している学校に少なからず影響が出る可能性があるのです。
今回は、新規校と共学化の学校を紹介しつつ、入試への影響についてもお話ししていきたいと思います。

▼新規開校
羽田国際中学校
かつての「蒲田女子高校」ですね。高校の方はすでに2024年から共学化されていますが、中学校は当初2025年4月に開校予定だったものの、諸事情により1年延期され、2026年の開校となりました。
入試は全体で6回ほど実施される予定です。蒲田周辺には活発な学校が多いため、この新校も注目を集めることになりそうです。
ただし注意したいのは・・・
試験回数が多い分、併願に組み込みやすい一方で、後半の試験では定員が5名や10名と少なくなることがあります。その場合、見た目以上に倍率が跳ね上がり、10倍以上になる可能性もあるのです。一見合格しやすそうに思えても、実際はかなり厳しいケースもあるので、その点はしっかり意識しておく必要があります。

明星Institution中等教育部
今年大きな話題となっているのが、明星Institution中等教育部(通称MI)です。
正式名称はやや発音しにくいため、「MI」と呼ばれることも多いですね。
校長には、渋谷教育学園幕張で校長補佐兼進路部長を務めていた井上先生が就任されます。
母体は府中にある明星学園で、その中に新たに明星Institutionが設立される形となります。
そして井上先生は、明星学園と明星Institution両方の統括校長を兼ねられる予定です。
井上先生が渋谷教育学園幕張で培ってきた進学指導のノウハウを取り入れ、
多摩地区で「難関大学に強い進学校」をつくる
という意気込みでのスタートとなります。なお、従来の明星学園も引き続き生徒募集は行われますが、明星Institutionとは完全に別枠であり、
・明星Institutionから明星学園へのスライド合格はありません
・同じ法人・同じ敷地内にありますが、実質的には独立した学校
として考えてよいでしょう。
一方で、従来の明星学園の定員は男女それぞれ約70名に縮小される見込みです。
昨年も多摩地区で人気を集めた学校だけに、この変化は塾の先生方にとっても悩ましいところでしょう。
また、多摩地区周辺は意外と共学校が少なく、男子であれば桐朋、女子であれば近隣ではないものの吉祥女子が選択肢となる程度です。そうした中で、明星Institutionは地域的に
「難関大学を目指す進学校」
として新たな存在感を示す可能性があります。
入試問題については、渋谷教育学園幕張や渋谷教育学園渋谷のような最難関レベルにはならず、従来の明星よりは難しい設定になる見込みです。つまり、いきなりハイレベルすぎることはないものの、一定の難度を持たせる方向と考えられています。
受験生がどの程度集まるのか、今後大きな注目を集める学校の一つとなりそうです。

浦和学院中学校
浦和学院は
・新しい校舎が完成
・定員は100名
受験生にとって非常に魅力的な環境となっています。で、定員は埼玉の学校としては比較的多めの募集規模です。
ただし、1月入試は受験生の出願数は多いものの、実際に入学手続きに至る割合は東京や神奈川と比べると低くなりがちです。そのため、学校側は定員100名を確保するため、合格者をある程度多めに出す必要があり、結果として「穴場」になる可能性もあります。
埼玉エリア全体を見ると・・・
・浦和実業は2025年度入試で人気が集中し、2026年度は定員超過が難しい
・大宮開成の2025年度入試は若干緩めではあったが人気を維持
・開智/開智所沢の入試は競争率高くて厳しい
・栄東も例年フル稼働状態
どの学校も競争が激しくなっています。そういう意味では埼玉の中学も手続き者数が増えており、結構難しくなっている雰囲気があります。また、東京からアクセスしやすい学校はますます人気が高まり、武南も志願者数を伸ばしています。
そうした状況の中で、浦和学院は
「まずは合格を確保したい」という受験生にとって選択肢となりやすい学校
といえるでしょう。今後も一定数の受験生が流れてくる可能性があり、注目される存在となりそうです。

▼校名変更・共学化
英明フロンティア中学校
東京女子学院が校名を「英明フロンティア」と改め、さらに共学化を進めています。高校ではすでに先行して共学化されており、中学でもその流れが続く形です。
これまで学校規模は大きくなかったため、高校募集で極端に志願者が増えることはありませんでしたが、地元の都立高校から一定数の受験生が流れる動きも見られました。
学校側は「楽しい共学校」というコンセプトを積極的に打ち出しており、その姿勢が中学募集でもどのように受け止められるかが注目されます。
もともと東京女子学院時代から「少人数できめ細やかな指導」が評価されており、女子校としても人気が上昇傾向にありました。共学化によって女子の志願者が減るのではと懸念された時期もありましたが、実際には受験生数は減らず、学校全体の評価がむしろ高まっている印象です。
募集定員は「105名+若干名」とされています。確実に定員を満たそうとすれば合格ラインがやや緩和される可能性もありますが、一方で一定の基準で線を引く運用を行う可能性も考えられます。
校舎は近年大きく改装され、新しく美しい環境に生まれ変わりました。訪問した際には先生方から「ぜひ見学に来てください」とお声かけいただいたほどで、カフェテリアなども魅力的な施設の一つとなっています。

明治大学付属世田谷中学校
今年、最も相談を受けた学校の一つが「明治大学付属世田谷」です。相談者の男女比は圧倒的に女子受験生保護者からのご相談が多く、「受験を考えているのですが…」という声をよく耳にしました。
ただし、相談されたからといって「いいですね!」と簡単に勧められる学校ではありません。合格は容易ではなく、難度はかなり高いからです。明治大学付属明治を受験する女子生徒のレベルが非常に高いことを考えると、世田谷も同様にハードルは高めといえます。
明治大学付属世田谷は・・・
・高校入試では成績順の合格判定
・中学入試は男女別の定員制での合格判定
となっています。そのため「男女どちらが有利か」という視点が生まれます。一般的に成績順では女子の方が優位に立ちやすい傾向があり、その分「男子の人数をしっかり確保したい」という学校側の意図もあるのではと推測されます。
一方で、共学化に伴い男子の定員はこれまでの半分になります。そのため男子の応募者数は減少傾向が予想されますが、とはいえ単純に「半分」まで減るわけではありません。一定の志願者数は維持されると考えられます。
いずれにしても、共学化によって入試難度が上がるという見方が広まっており、受験生にとっては引き続き厳しい挑戦となりそうです。

鎌倉国際文理中学校
神奈川の「鎌倉国際文理中」は・・・
・鎌倉女子大学中から校名を変更し、共学化した学校
・新しい校舎が整備されており、環境面でも大きな魅力
があります。
募集定員は120名と大規模。女子校時代のままでは志願者確保に限界がありますが、近年は女子も共学志向が強く、共学化することで男女ともに幅広く受験生を集められると見込んでの定員設定といえるでしょう。
立地は、かつて松竹の撮影所があった場所で、広い敷地と良好な環境が魅力です。新校舎を見学したご家庭の中には、「ここなら」と感じる方も多いのではないでしょうか。
教育面では、英語教育や探究型学習など以前から工夫が凝らされていたものの、その良さが外部に十分に伝わりきれていないという課題もありました。今回の校名変更と共学化によって、学校がもともと持つ教育の強みがより明確に打ち出され、評価向上につながる可能性があります。
また、新しい校名には「国際」という言葉が含まれています。近年、校名に「国際」を冠にする学校が増えており、しかもカタカナや英語表記を取り入れるケースも多く、まさに時代を映したネーミングといえるでしょう。

▼お知らせとまとめ
私・後藤は、9月28日(日)にプレジデントファミリーのセミナーで、サピックスの広野先生や聖光学院の工藤先生の登壇前にお話しさせていただく予定です。そこで少し面白いエピソードがあるのでご紹介します。
声の教育社のキャッチコピーに
「過去問はラスボスじゃない」
というものがあるのですが、これは私のお気に入りなのです。資料作成の際にAIに「過去問がラスボスのイラストを描いて」と依頼したら、本当に迫力満点のラスボスが出てきました(笑)。

でも実際には、
「過去問はラスボスではなく、お助けアイテムなのだ」
ということを伝えたいのです。そこで今度は「お助けアイテム風のキャラクター」をAIに描いてもらい、セミナーで紹介しようと思っています。

ちなみに、「未来の声の教育社の過去問の表紙を描いて」とお願いしたところ、とてもユニークなデザインが出てきました。

最後に・・・新規開校校についてですが、
・募集状況や応募者数はまだ読めない部分も多い
・明治大学付属世田谷を除けば、穴場になる可能性も十分にある
と考えています。