【中学受験】2026年度 「変更点・サンデーショックまとめ」サンデーショックで合格者数は増える?繰り上げはどうなる?
出典:声教チャンネル(声の教育社)
記事:metasc
「受験なんでも相談会」にご来場いただいた方々ありがとうございました。

今回は「2026年度の入試における変更点」についてお話しします。今年は例年以上にさまざまな変化があります。
特に大きなポイントとしては、やはり「サンデーショック」があるということです。
さらに、別の動画で詳しくご紹介しますが新しい学校が開校する予定もあります。
さて、今回の内容の中心になるのは、やはり「サンデーショック」です。
これまでのサンデーショックやプチ・サンデーショックは、主に女子に大きな影響がありましたが、
2025年度入試のプチ・サンデーショックでは、青山学院に人気が集中し、特に男子の受験生に大きな影響が見られました。
2026年度入試の本格的なサンデーショックでは、実際に日程変更があるのは女子校が中心ですが、
共学校との関係性の中で、男子にも波及するかもしれないという点には注意が必要です。

▼2026年度のサンデーショックについて
2026年度入試では、2月1日が日曜日にあたるため、いわゆる「サンデーショック」が発生します。
この影響で、
〇 女子学院
〇 東洋英和女学院
〇 立教女学院
〇 横浜共立学園
といった有力女子校が、
2月1日から2月2日へ入試日を変更することになりました。
一方で、例年のサンデーショックであれば日曜日の2月1日には日程をずらしていた
〇 フェリス女学院
〇 横浜雙葉
今回は日程を変更せず、2月1日に実施する予定です。
これは例年とは異なる動きです。

▼日程変更による影響
<2月1日の影響>…入試日変更により選択肢が減少
2月1日に入試を行う学校が一部減るため、残っている学校に受験生が集中し、倍率が上がる可能性があります。特に、人気校を第一志望とする受験生が一層集中しやすくなるでしょう。
<2月2日の影響>…日程をずらす学校が増えることで選択肢が拡大
一方、2月2日に入試を行う学校が増えることで、受験生が分散し、相対的に倍率が下がる可能性もあります。ただし、女子学院のように日程を2日に移した学校には、これまで日程の都合で受験できなかった受験生が新たに挑戦できるようになります。
その結果、女子学院などの学校には新たな層の受験生が加わり、受験者数が増える可能性もあるのです。たとえば、女子学院が2月2日になることで、これまで日程的に併願が難しかった桜蔭と女子学院の両方を受験できるようになります。
そのため、校風は異なりますが、両方に出願し、合格する受験生が増える可能性があります。しかし、当然ながら入学するのは1校だけです。結果的に、学校側は辞退者を見越して合格者数を増やさざるを得なくなるかもしれません。

▼サンデーショックと合格実績の関係
サンデーショックの年には、有名進学塾の合格実績で「御三家」の合格者数が増える傾向があります。
これはつまり、各学校が例年よりも多くの合格者を出すことを意味します。
学校側の対応としては、主に2つのタイプがあります。
•最初から多めに合格者を出す学校
•やや控えめに合格者を出し、その後繰り上げ合格で調整する学校
どちらを選ぶかは学校の方針によりますが、サンデーショックの年は合格者数が全体的に増加する傾向があります。
▼過去の例と志望傾向の変化
前回のサンデーショック(2015年)では、桜蔭と女子学院の両方を受験した受験生が多かったと考えられます。ところが、この10年で志望校の組み合わせに変化が見られるようになりました。
最近では、最上位層の女子が以下のようなパターンで併願するケースも出てきています。
•渋谷教育学園渋谷と女子学院
•広尾学園と女子学院
つまり、かつては男女別学の御三家が王道だった最上位層も、共学校や新興校を組み合わせる傾向が強まっているのです。このような流れは、男子の受験にも波及する可能性があります。
10年前には想像できなかったような変化です。

今回のサンデーショックに対して、
「ラッキーサンデー」や「サンデーチャンス」という前向きな表現を使う人もいます。
なぜなら、上位校も合格者数を増やさざるを得ない状況になり、
その分、例年よりも合格のチャンスが広がる可能性があるからです。
「緩くなる」とまでは言えないかもしれませんが、
合格ラインにわずかに届かなかった層にもチャンスが巡ってくる年とも言えるでしょう。
「サンデーショック」と聞くとネガティブに受け止めがちですが、
うまく日程変更を活用すれば、むしろ受験生にとって有利に働くこともあるので、状況を冷静に見極めて、柔軟な受験戦略を立てることが大切です。
▼面接廃止と狙い目校の動き
今回のサンデーショックに関連して、「狙い目校」についてもお話ししておきたいと思います。
特に注目したいのが、白百合学園です。
この背景にサンデーショックの影響があるかは明言されていませんが、今年度、白百合学園は…
面接試験を廃止するという大きな変更
を打ち出しました。
2月1日が日曜日である今年、入試日程そのものは変えない学校であっても、併願しやすくするために面接を廃止するという戦略が見えてきます。例えば、白百合学園以外にも
•頌栄女子学院
•フェリス女学院
この2校も、長らく面接に重きを置いていた学校でありながら、今年度は面接を行わない方針に転換しています。
これは驚きの展開です。以前なら考えにくかった動きですね。学校側の意図はともかく、受験生にとっては受けやすくなるのは間違いありません。

▼洗足学園の変更とその影響
少し関連する話として、洗足学園の入試日程変更にも触れておきます。これまで洗足学園は2月5日に3回目の試験を実施していました。
この日は、洗足学園・頌栄女子学院・大妻の3校が並ぶ、上位層にとっての大きなチャンスでした。
ところが、今年は洗足学園が3回目の試験を廃止することが発表されました。
つまり、2月5日は頌栄女子学院と大妻のみとなり、選択肢が1つ減ることになります。

その分、洗足学園は2月1日の入試定員を増やすと見られています。これにより、2月1日に洗足学園を志望する受験生が増える可能性が高いのです。
この動きによって、フェリス女学院から洗足学園へ受験生が流れるのではないかという見方もあります。だからこそ、フェリスも面接を廃止して受験しやすくする戦略に出たのかもしれません。

▼サンデーショックと繰り上げ合格の関係
多くの中堅校では、入試日程に大幅な変更は見られないのが実情です。ただし、上位校が入試日程を動かすことによって、繰り上げ合格の動きが活発になる可能性があります。
全体の入試スケジュールに波紋が広がることで、結果的に中堅校にも影響が及ぶケースは十分に考えられます。
ここ数年、特に都内の女子校では繰り上げ合格があまり出ない傾向が続いてきました。
たとえば女子学院では、慶應中等部の合格発表後も繰り上げが出た様子が見られない、という状況が数年続いていたのです。
しかし、2026年度のように入試日が日曜日にあたる年には、女子学院を含む上位校でも、さすがに繰り上げ合格の枠を増やすのではないかと予想されています。
とはいえ、これはあくまで予測であり、実際には「予想が外れて緩くならない」可能性も十分にあるため、注意が必要です。

今年は特に、どの学校も
•どのくらい合格者を出すべきか
•合格ラインをどこに設定すべきか
といった判断が非常に難しい状況にあります。これまでのデータや慣例が通用しにくくなっており、学校側も頭を悩ませているはずです。
こうした不確実な状況だからこそ、私たち声の教育社としては、学校にお願いしたいことがあります。
それは、もし合格者数の調整で悩んでいるのであれば・・・
―繰り上げを前提とするのではなく!
―最初から少し多めに合格者を出す判断をしていただきたい!
ということです。
もちろん、繰り上げ合格を視野に入れていらっしゃる学校も多いとは思います。
ですが、後から繰り上げで調整するよりも、最初から合格の枠を広げていただく方が、受験生や保護者にとって安心感あるかと思います。
▼慶應義塾高校の面接試験廃止
面接を廃止する学校が増えている流れの中で、少し異なる話かもしれませんが、
「高校入試において慶應義塾高校が面接を廃止する」
というのは非常に大きなニュースです。2次試験そのものがなくなるという意味で、受験界にとっては大きなインパクトがあります。
この動きが、慶應中等部や慶應湘南藤沢といった中学入試にも影響を及ぼすのではないかと感じています。つまり、高校側で面接をなくしてもしっかりと選抜ができているという実績が出れば、それが中学側の面接廃止につながる可能性もあるのでは?と気になります。もし本当に慶應の中学入試でも面接が廃止されるようなことがあれば、それは非常に大きな変化です。
もちろん、慶應義塾高校は男子校なので、中学入試での女子受験には直接関係しないかもしれませんが、入試日程や形式の変更が他校に与える影響は小さくありません。特に、慶應義塾高校の2次試験は、他校がその日程を非常に意識していて、実施日がいつになるのか毎年注目されています。これまでは2月10日が高校の試験日で、2次の面接が11日以降に設定されることで、他の学校との併願に一定の制約がありました。
しかし、面接がなくなれば
・11日以降に受験可能な学校が増え
・国立志望者などの選択肢が一気に広がる
ことになります。こうした流れが、中学入試にも波及すれば、慶應中等部や湘南藤沢を受ける受験生にも影響が出てきます。たとえば、1回の試験で合否が決まるのであれば、その後に他の学校の入試にチャレンジすることが可能になるなど、全体的な受験戦略にも変化が出てくるはずです。
今年の入試変更は、面接に関連した動きが非常に重要なポイントになります。慶應義塾高校の動向はもちろん、それに追随する学校が出てくるかどうかも含めて、要注目です。

▼埼玉の入試について
◇栄東
今年度から入試回数を5回から4回に減らし、1月18日の試験がなくなります。
試験回数が1回減ったからといって、受験生の総数が簡単に減るわけではありません。むしろ、回を追うごとに受験者の歩留まり(合格後の入学率)は高まっていく傾向があると考えられます。その一方で、倍率が一気に上がるのでは?と思われるかもしれませんが、全体としてそれほど大きく倍率が跳ね上がる印象はないかもしれません。

◇開智・開智所沢
栄東とは対照的な動きを見せています。これまで実施していた「複数回受験優遇」において、
・特待選抜に関しては加点を廃止する
・1月10日の第1回入試を受験すると、1月12日の第2回試験で30点加点されるという新ルール
が導入されました。
この制度により、受験生側としては「両方の回に出願しないと不利になる」という認識になりやすく、実質的に2回出願が必須という状況になりそうです。
ただ、今年の開智・開智所沢の合格ラインは非常に高めに設定されている印象があり、その一方で、入試後の繰り上げ合格がなかなか止まらない様子も見受けられました。これを踏まえると、「もうこれ以上入学者を増やせない」栄東の動きとは真逆の動きであるとも言えます。
つまり、開智・開智所沢は今まさに成長中の学校であり、今後さらに実績を積み上げていこうという段階。一方の栄東は、すでに一定のレベルに到達し、「敬遠されすぎないように」「合格者数を適切にコントロールしたい」という意図のもとで最終回の試験を削減し、全体の出願を少し絞る方向に舵を切ったのではないでしょうか。
特に開智所沢は新設校で、まだ卒業生を輩出していないこともあり、学校側としては「できるだけ高いレベルの受験生を集め、ブランド価値を築いていきたい」という思いがあると推察されます。

▼その他の変更
◇東京都市大学付属
これまで設けられていた
「Ⅰ類・Ⅱ類」の区分が撤廃される
というニュースには、少し驚きとともに疑問を感じました。
Ⅱ類は、いわゆる東大コースとして知られ、難易度もⅠ類より高い位置づけでした。ところが、実際にはⅠ類からも東大合格者が出ているという実績があり、それを踏まえたうえで、「もはや区分を設ける必要はない」と判断されたようです。
受験生側としては、これまで「Ⅰ類とⅡ類、どちらに出願した方が有利だろう?」「もし別の方に出していれば合格していたかもしれない…」といった迷いや後悔を感じることもあったと思います。そうした意味では、今回の変更により仕組みがシンプルになり、受験生にとっても前向きな改編といえるのではないでしょうか。
さらに、
第2回入試では従来の「算数・国語」型に加え、「算数・理科」の選択も可能
になります。最近ではこうした柔軟な選択肢を設ける学校が増えています。
◇芝浦工業大学附属
これまで「算数・理科・国語」の3科入試を実施していましたが、
今年は再び4科入試に戻す方針です。
やはり、中学受験では4科で受験する生徒が主流であり、成績上位層の受験生が4科型に集中する傾向があることが背景にあると考えられます。
◇東京都市大学等々力
試験時間を短縮し、開始時間を遅らせるという変更が行われます。
これにより、他校との併願がしやすくなり、受験生にとってもより受けやすい入試スケジュールとなりそうです。

▼まとめ
今回はここまでとなりますが、今後、新設校や共学化の動きなどについては、追って別の動画で詳しくお話しする予定です。
今年は新しい学校の開校もありますし、共学化の発表も続いているので、そちらも注目ですね。
さて、今年最も相談が多かった学校のひとつが、明治大学付属世田谷です。
合同相談会などでも、
「志望校として考えているのですが、どうでしょうか?」といったご相談を本当にたくさんいただきました。
特定の学校名というよりも、サンデーショック全体に関するご質問も多かった印象です。
ただ、過度に心配する必要はないと思います。
というのも、2015年のサンデーショックの時ほど極端な変化や混乱は、今年は起きないのではという見方もあるからです。
その一方で、最近の動きとして、立教女学院の過去問が非常に売れているという話が出ています。
また、都内の女子校の過去問が軒並み複数の書店で売れているという情報もあり、最初は「神奈川の女子校の過去問も売れているのかな?」と思いましたが、どうやらこの動きは東京エリアに限られたもののようです。
そう考えると、今年は神奈川の女子校はやや穴場になるかもしれません。
強気に出願するチャンスとも言えそうです。
また、書店では芝や高輪の過去問も非常に好調のようです。

こうした販売状況も、今後の出願動向に影響してくるかもしれませんね。
なお、過去問の売れ行きや人気の傾向についても、今後改めて詳しくお伝えしたいと思います。
次回の動画では、新設校の紹介や、追加で判明した入試変更点などがあれば取り上げていきますので、ぜひご期待ください。
まだまだ暑い時期が続きますが、体調には十分気をつけて、引き続き受験勉強がんばってくださいね。
