【中学受験】2025年度 総まとめ「結果と繰り上げ情報」※2025年2月13日時点
出典:声教チャンネル(声の教育社)
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▼2025年度入試概況
このお話が2025年度入試に向けた最後となります。まずは、受験を終えた皆さん、本当にお疲れ様でした!
今年も大変な入試となりましたが、まだ繰り上げ合格を待っている方や、すでに通知を受け取った方もいるかもしれません。とはいえ、入学試験自体はこれで一区切りとなります。最後まで頑張った皆さんに心から拍手を送りたいと思います。

首都圏模試センターの速報データによると、今年の受験者総数は・・・
昨年:52,400人
今年:52,300人
とほぼ横ばい。依然として厳しい入試が続いており、過去最高水準の受験者数が維持されています。
さらに・・・
出願校数も増加
多くの受験生が慎重に学校選びをしていたことが伺えます。
また、注目される学校の傾向も変化しており・・・
偏差値の高い学校や大学付属校だけでなく、多様な選択肢が注目を集めた1年となりました。
こうした動きを見ても、受験生やご家庭の価値観がより多様化していることを改めて実感します。

地域ごとの受験者数を見ると・・・
・埼玉の受験者が大幅に増加(←開智所沢の影響)
・神奈川は受験者が減少
・東京・千葉等は昨年とほぼ同じ水準
という結果に。今年の大きな特徴のひとつですね。
神奈川に関しては、過去問の出庫率は高かったものの、実際の受験者数は減少しました。
特に共学校の競争が激しく、女子校を選んだ受験生にとっては比較的スムーズな入試だった可能性が高いです。
さらに詳しくデータを分析し、受験生にとっての影響を掘り下げていきたいと思います。

▼都立一貫校入学辞退者数
今回は繰り上げ合格を中心にお話ししていきます。まずは、直近で合格発表が行われた都立中高一貫校の状況を見ていきましょう。
最も手続きをしなかった人数が多かったのは・・・
都立小石川中等教育学校
で、昨年の16人から今年は25人に増加しました。この分がそのまま繰り上げ合格となっていると考えられます。
続いて・・・
武蔵:19人
桜修館:17人
と、こちらも比較的多くの繰り上げ合格が発生しています。昨年は武蔵の入学辞退者が1番多かったため注目されましたが、今年は例年通りの傾向に戻った印象です。
都立中高一貫校全体の繰り上げ合格人数は約100人前後で、例年と大きな変化はなし。ただし、小石川に関しては25人が手続きをしなかったということは、繰り上げ辞退者も含めると25人以上が恐らく繰り上げ合格となっているかと思います。もともと併願者が多く、特に開成などの難関校との併願が目立つため、辞退者が出る可能性が高いのです。
実際に塾の合格実績を見ても、小石川の合格者数が増え続けているため、今後さらに繰り上げが発生する可能性があります。

▼男子校繰り上げ状況
都立中高一貫校の動向を踏まえ、男子校の繰り上げ合格はどうなっているのかも見ていきましょう。
□芝
第2回入試で問題不成立が発覚し、その影響で繰り上げ合格が発生しました。正式な人数は公表されていませんが、2桁台の繰り上げ合格が出ているようです。
芝の繰り上げ合格が出ると、他校にも影響を及ぼす可能性が高いですが、一方ですでに手続きを済ませた受験生が増え、少し抜ける人数があってもいいかなという状況のようです。

□立教新座
すでに100名以上の繰り上げ合格が発生しており、前回お伝えした通り113人が繰り上がっています。ここも引き続き影響が出る可能性はありますが、現状では徐々に落ち着いてきているようです。

□その他動向
2月11日が手続き締め切りだった学校では、追加合格が発生しており、その影響で各塾の合格実績も増加しています。

2月12日に合格実績を確認したところ、男子校・女子校・共学校全ての中で、10人以上繰り上げ合格を出した学校が4校ありました。
・都立小石川
・開成
・筑波大学附属駒場
・聖光学院
特に聖光学院がここまで繰り上げを出すのは珍しい傾向です。聖光学院は開成・筑波大学附属駒場と併願受験するケースが増え、
2月1日開成
2月2日聖光学院
2月3日筑波大学附属駒場
というトップ中のトップ層の併願パターンに聖光学院が加わったことが影響していると考えられます。そのため、繰り上げ合格が例年以上に発生している状況です。

開成の繰り上げも今年は比較的多めで、筑波大学附属駒場も例年通り2桁の繰り上げ合格を出しています。昨年も筑波大学附属駒場の繰り上げが多かったですが、
筑波大学附属駒場と開成の両方合格した受験生の中で開成を選ぶ割合が増えた
と言われています。トップ層の受験生の中に筑波大学附属駒場に合格しながらも開成を選ぶケースが増えているとの話も聞かれるのは、開成の校舎が新しくなった影響もあるかもしれません。

他の男子校の動きとしては・・・
□栄光学園 □麻布
繰り上げ合格は例年より多めで、全体的にやや緩和傾向にあるように見えます。
□世田谷学園 □高輪
玉突きなのかは分かりませんが、少しずつ繰り上げが発生しており、まだ動きが続く可能性があります。

昨年も、2月中旬の時点では繰り上げ合格が少なめと言われていましたが、2月21日頃にさらに繰り上げ合格が出たことが分かっています。そのため、今年もまだ男子校の繰り上げ合格が続く可能性は十分にあるでしょう。
ただし、欠員が出たら補充する形の繰り上げ合格が多く、あらかじめ多めに合格者を出す学校は少ないため、まだ予測しづらい状況です。一方で、すでに定員いっぱいの学校もあり、「もう少し辞退者が出てほしい」と考えている学校もあるようです。

▼女子校繰り上げ状況
女子御三家の動き
昨年も同じ傾向が見られましたが、慶應義塾中等部の合格発表後も、これまで繰り上げ合格を出していた女子学院や桜蔭といった都内女子御三家は今年もほとんど発生していません。
ここ数年・・・
・女子御三家は繰り上げ合格をほとんど出さない傾向
・4、5年前と比べても合格者数自体を増やしていることが影響
していると考えられます。あらかじめある程度の辞退者を見込んで合格を出しているため、大きな動きが出ないのかもしれません。年単位で見ると、合格者数の増減はほぼ安定しています。

□吉祥女子
例年にないほど繰り上げ合格が続いているように見えます。吉祥女子で繰り上げ合格が出ると、玉突きで他校にも影響が出る可能性が高いため、今後の動きに注目です。
今年は吉祥女子の算数の入試問題が豊島岡女子学園の形式に寄せられたため、併願がしやすくなり、豊島岡女子学園の影響を強く受ける結果になった可能性もあります。
□豊島岡女子学園
繰り上げ合格は発生しているものの、昨年ほどの動きは見られません。

□鴎友学園女子
例年通り繰り上げ合格をほとんど出さない方針を維持しているようです。この学校では・・・
「この生徒は入学するかどうか」を一人ひとり慎重に会議でチェックしながら合格者を決定
しているため、そもそも大きく繰り上げが出ることがないのです。
□フェリス女学院
繰り上げ合格が現在も動いており、その影響を受けてか横浜雙葉や横浜共立学園でも少し動きが見られます。
□恵泉女学園
吉祥女子の影響を受けている可能性があり、繰り上げ合格を出している様子です。

□浦和明の星女子
今年の2月入試の倍率が大幅に下がっているため、例年より繰り上げがおとなしめになっています。今年は・・・
淑徳与野の人気が非常に高く、その影響で浦和明の星女子の倍率が下がった可能性があります。
淑徳与野も繰り上げ合格が少しずつ出ているように見え、塾の合格実績を確認すると合格者数が増えていることがわかります。
浦和明の星女子は、
昨年第2回入試:倍率6.5倍
今年第2回入試:倍率2.7倍
大きく下がっており、入試動向の変化が影響していることが考えられます。

▼共学校繰り上げ状況
□開智所沢
各塾の合格実績を見ると、繰り上げ合格者数が増加しています。今年も多くの受験生が集まり、合格者を絞り気味にしたものの、最終的な合格者数は昨年とほぼ同じ水準でした。ただ、・・・
昨年は手続き率が非常に高かったのに対し、今年は思ったほどではなかった可能性があります。
正直、私たちも「どうなるのだろう」と予想がつかなかった部分もありましたが、結果的に手続き辞退者が一定数出たことで、繰り上げ合格が発生したと考えられます。
開智所沢や開智は受験者数が非常に多いため、合格者を出しすぎるとパンクする可能性があることが懸念されていました。そのため・・・
・まずは慎重に合格者を絞り
・その後、辞退者の状況を見ながら繰り上げ合格を出す
対応を取ったのでしょう。
また、昨年より倍率は上がっていたものの、実際に合格をもらえたのは「併願校にも合格できる実力層」が中心だった可能性もあります。
今年のように倍率が高くなると、受験者の層が偏るため、来年以降は少し落ち着く可能性もあります。倍率がやや緩和する可能性も考えられます。

□大学付属校
法政大学
中央大学
明治大学
などの共学の大学付属校は、現在も繰り上げ合格が発生している状況です。
これらの大学付属校は・・・
2月下旬になっても繰り上げを出すケースがある
そのため、まだ動きが続く可能性があります。
また、女子校ですが、学習院女子も繰り上げ合格が出ているように見えます。
神奈川の大学付属校も同様に動きがあり・・・
法政大学第二
などで繰り上げ合格が確認されています。
青山学院は非常に人気が高かったものの、ここにきて繰り上げが発生しています。
青山学院の高倍率を突破した受験生の中には、2月1日や2日の時点で、より偏差値の高い学校にも合格している子が多かったことにより、そのような受験生が辞退している影響と考えられます。
□広尾学園
昨年ほどの大きな繰り上げは発生していません。これは最初から合格者数を増やしていたため、繰り上げを抑える形になったと考えられます。
□筑波大学附属
今年も継続的に繰り上げが発生中。 昨年も同様の動きだったため、ここ2年は同じような状況で推移を見せています。

▼まとめ
今年の繰り上げ合格は、全体的に見ると・・・
男子校の動きが活発な印象です。
ただ、共学校も含め、昨年同様に繰り上げ合格の流れが長引く可能性もありそうです。

三谷さんよりメッセージ
受験生の皆さん、本当にお疲れ様でした。今年も大変な入試だったと思います。
ここ数年、偏差値だけにとらわれず、お子さんに合った学校を選ぶ傾向が強まっていると言われていますが、今年もまさにその流れを感じました。皆さんがお子さんにふさわしい学校を選択し、それぞれの道を進んでいることを実感しています。
今回は特に触れませんでしたが・・・
桜丘
駒込
東京成徳大学
日本工業大学駒場
淑徳巣鴨
文化学園大学杉並
といった学校の倍率が上昇しており、受験生の学校選びがますます多様化していることがわかります。
現在も繰り上げ合格を待っている方、すでに繰り上げ合格の連絡を受けた方もいらっしゃるかと思います。ここで改めてお願いです。
すでに2校以上の合格を持ち、両方の手続きを済ませている方へ
「もう行かない学校には連絡しなくていい」と思っている方もいるかもしれませんが、
ぜひ1本、入学辞退の電話を入れてください。
あなたが辞退の連絡をすることで、新たにその席に座れる受験生がいるかもしれません。 入学辞退の連絡は、繰り上げを待つ受験生にとって大きな希望となります。

後藤さんよりメッセージ
多くの方がすでに進学先を決め、新しい生活に向けて動き出していると思います。まだ繰り上げ合格の可能性がある方もいるかもしれませんが、今お伝えしたいのはただ一つ。
「進学を決めた学校が、あなたにとって1番よい最高の学校です!」
もしかしたら第1志望ではなかったという方もいるかもしれません。
でも、努力して勝ち取った学校には必ず意味があり、それを「最高の選択だった」と言えるようにするのはこれからの自分次第です。
この先の頑張りが、「この学校に入ってよかった」と思える未来をつくります。だからこそ、入学後も前を向いて、全力で挑んでほしいと思います。
とにかく本当に1番いい結果だったと思うようにして、みんなで新しい春を迎えてほしいと思います。

英語などの学習も、新しい環境での挑戦も、みんな同じスタートラインです。
受験はゴールではなく、新たなスタート地点。ここからの頑張りが、これからの未来を決めていきます!
保護者の皆さんへ。
もしかしたら、まだ「もっとこうしていれば…」と引きずってしまう気持ちがあるかもしれません。でも大丈夫です。お子さん自身が、これからの学校生活を通じて「この選択でよかった」と思える未来を作ってくれます。どうか、お子さんの未来を信じてくださいね。

2025年度入試に向けての最後となりました・・・
ここまで本当によく頑張りましたね。受験生の皆さん、大変な道のりを乗り越え、本当にお疲れ様でした! そして、支えてこられた保護者の皆さんも、本当にお疲れ様でした!
2025年度入試もこれで一区切りとなります。来年に向けてまた新たな動きが出てくるかと思いますが、今後も随時情報をお伝えしていきますので、引き続きよろしくお願いします。
改めて、受験を終えた皆さんへ
ここまでの努力と頑張りに、心からの拍手を送ります!
本当にお疲れ様でした!
