【中学受験】2025年度1月入試(前半)応募者1万人超が3校⁈※2025年1月17日時点
出典:声教チャンネル(声の教育社)
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▼はじめに
ついに1月10日から埼玉入試が始まりましたね!
あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします…と言いたいところですが、今はそんな余裕がない時期ですね。
この記事をご覧の受験生の皆さんにとっては、「おめでとうございます」という言葉は、もう少し先のお楽しみかもしれません。ただ、すでに結果を手にしている方もいらっしゃるかもしれませんね。
とはいえ、まだ多くの受験生が入試本番に挑んでいる最中です。ネット上でも特に開智所沢と栄東の比較のような話題が注目されています。すでに学校を訪問して入試問題をいただいたり、色々な話を伺ったりしているので、その情報もぜひ共有できればと思っています!

▼栄東と開智所沢の比較
栄東と開智所沢を比較してみると、興味深い動きが見えてきます。
□栄東は今年も増加
実は今年、栄東の応募者数が昨年を上回っているのです。当初の個人的な予想では、開智所沢や開智に多くの受験生が流れ、栄東の受験者数は減少するのではないかと考えていました。ところが、実際には増加しているのです。

具体的には・・・
応募者数:昨年14,016人→今年14,354人
に増加しています。(1月17日現在)この数字を見れば、栄東が引き続き高い人気を誇っていることがわかります。例年通りであれば、栄東が応募者数トップの座を維持してもおかしくない状況です。
しかし、今年は開智所沢の応募者数が大きく増えています。
では、「栄東の応募者数が昨年通りやそれ以上に増加しているのに開智所沢の16,000人に迫る応募者は一体どこから集まったのでしょうか?」
実はここに、ある「からくり」が隠されているのです。

□栄東応募者増加のからくり
栄東の今年の入試には、昨年とは異なる特徴があり、単純に応募者数を比較することが難しい状況になっています。
異なる特徴とは・・・
昨年:1月10日・11日の入試はコロナ禍の対応として両日受験することが不可
今年:制限が撤廃され、1月10日・11日の両日とも受験が可能

昨年は・・・
・1月10日に東京中心の「前受け受験」の受験生が大変多く集まる
・1月11日には、栄東を本命とする志望順位の高い受験生が集まる
傾向が見られました。
しかし今年は・・・
・1月10日に「東大」
・1月11日に「難関大」
の入試が行われたため、両日を受験した生徒も多く見受けられました。確実に栄東に合格したい受験生は、難関大の方が少し基準としては下がるはずなので、11日に本命として受ける受験生が大勢受けにいっている可能性はあります。
昨年の受験者数は・・・
・1月10日:5,597人
・1月11日:2,421人
であり、重複受験者は含まれていませんでした。しかし、今年は・・・
・1月10日:5,179人
・1月11日:3,893人
で重複受験者が含まれています。この点を考慮すると、応募者が実数として爆発的に増えたとはいえないですが、重複を含んでも応募者数が減らなかったことは、栄東の人気の高さを示しています。おそらく間違ってないと思うのですが、栄東の志望順が上がっていると思います。「栄東に行きたい」という方は増えている可能性が高いと思います。それもおそらく埼玉県内だけではなく、東京方面からも本命として受験しに行っている受験生が多いということも影響しているのではないかと思います。

開智所沢の人気が非常に高まっていることで、栄東が応募者数で1位ではなくなる可能性があります。実際、そのような状況になりつつあると言えますが、栄東の人気が低下したわけではありません。それどころか、むしろ栄東を志望する受験生は増えているように感じます。
また、開智所沢も栄東も、東京から受験に訪れる受験生が大幅に増えていることが、両校の応募者数の増加に影響していると思われます。両校とも引き続き多くの注目を集めていることがわかります。

□開智所沢の人気
開智所沢の受験者数15,926人の大半は、東京からの受験生ではないかと考えられます。実際、開智所沢の現在の1期生の中にも、所沢市やさいたま市よりも練馬区在住の生徒が多いというデータがあります。
今年、東京からどれくらいの受験生が集まっているのか、さらに詳しい情報を後で確認してみたいですね。
また、最近聞いた話ですが、神奈川県横浜市のセンター北にある本屋さんで、開智・開智所沢の過去問が非常に売れているそうです。このことからも、東京だけでなく、首都圏全体で注目が集まっていることがわかります。

▼埼玉御三家
□開智所沢
話題の開智所沢についてですが、「第1回入試で倍率が10倍になるのでは?」と少し心配していました。しかし、実際には・・・
2倍を切る倍率で合格者を発表
し多くの受験生が安心できたのではないでしょうか。昨年の第1回入試の1.32倍と比べると受験者数が大幅に増えたため、難度は上がりましたが、それでも学校側は多くの合格者を出してくれた印象です。
その後の試験回ではなかなかの高倍率が続いています。ただ、第2回入試や特待B入試が3倍台だったのは少し意外でした。最初の試験回で2,000人近い合格者を出したので、以降の試験ではもっと厳しく絞るのでは?と思っていましたが、今年の5回の入試までの合格者数は、昨年よりほんの少し少ない程度に収まっています。
応募者数が大幅に増え熱望する受験生も増えた中で、昨年並みの合格者数を維持し、今後、手続き率や歩留まりがどうなるのかも注目です。これがもし定員をものすごく超過するということにならないのであれば、学校側は相当な読みで合格者数の絶妙な調整を行っているということですよね。このような熱望される学校での倍率調整や合格発表は、非常に巧妙な運営だと思います。

□開智
開智所沢とダブル合格判定が出る開智の状況を見てみると、興味深い動きが見られます。
・開智所沢の合格者数は昨年と大きく変わらない
・開智は昨年の2,825人から今年は4,094人と、かなり多くの合格者を出している
ただ、倍率で比較すると開智所沢の方が若干高めで、やはり開智所沢を志願する受験生の割合の方が高いように思えます。昨年も同様の傾向が見られましたが、今年もその流れは続いていると考えられます。
こうした背景から・・・
開智では開智所沢の方に進学する受験生が多いことを踏まえて多めに合格者を出している可能性
があります。開校1年目だった昨年は、開智所沢の方が比較的合格しやすい状況だったように見受けられますが、今年は状況が変わりつつあります。

1回目の試験では両校とも合格基準点は同じでしたが、2回目以降の特待入試については開智所沢の基準点が開智を上回るケースが確認されています。同じ問題を使用しているにもかかわらず、合格ラインが異なる点は注目に値します。この結果、開智所沢の方が偏差値的な評価で優位になる可能性があり、応募者数や人気の高さがその背景にあると考えられます。
この数字からも、開智所沢の注目度がいかに高まっているかがよく分かりますね。

□栄東
開智所沢との比較でもお話しした通り、受験者数は増加しています。しかし、合格者数に関して今年は少し絞られているようです。今年の入試はまだB日程と東大Ⅱ日程の結果が公表されていないため、現時点では1月10日~12日の4回分の合計しかわかりませんが・・・
合格者
昨年:6,110人
今年:5,437人
と減少しています。
これは、学校側が歩留まりの高さを見込んでいる可能性が高いです。
つまり・・・
第一志望として熱望する受験生の割合が昨年より増えているという予測が反映されているようにも思えます。
栄東はもともと定員を少し超える形で入学者を多めに受け入れることがありましたが、今年は定員超過を抑えつつ、入学希望者の意向にしっかり応じた運営をしているのではないでしょうか。学校側が慎重な調整を行っている印象を受けますね。

□大宮開成
埼玉御三家の一つとされる大宮開成ですが、開智の影響で受験生が大幅に減少するのではと心配されていました。実際には、受験者数は減少したものの、その幅は約300人と想定より小さいものでした。
注目すべき点は・・・
受験者数が減った一方で合格者数を増やしている点
これは、昨年歩留まりが悪く定員割れが発生したことを踏まえ、今年は確実に入学者数を確保しようという意図があるのではないでしょうか。多少定員を超過しても問題ないと考え、昨年と同じ倍率を維持するのではなく、歩留まりを見越して調整した結果だと思われます。
今年の大宮開成は昨年に比べて合格基準がやや緩和されたと考えられます。ただし、依然として人気校であり、簡単に合格できるわけではありません。それでも、しっかりと努力して大宮開成を目指した受験生にとっては、昨年より報われる可能性が高い状況になっているのではないでしょうか。

▼淑徳与野
医進コースが非常に好調です。埼玉御三家とはまた異なる独自の位置づけで、受験生を大幅に増やしている印象です。この勢いを見ると、これまで浦和明の星がリードしている印象が強かったものの、今回の倍率や受験者数からは淑徳与野が追い越しつつあるようにも感じられます。
特に注目すべきはスライド合格がない点です。そのため、都内の女子校で医学部志望の受験生にとって、淑徳与野が併願校として短期間で認知されてきたのではないでしょうか。開設2年目にして、すでに確固たる存在感を示しているように思えます。
さらに、医進コースだけでなく、1回目の入試でも受験者数が増加していることから、淑徳与野全体の人気が高まっていることも伺えます。ただ医進コースを目指す受験生だけではなく、学校そのものに対する評価や魅力が浸透している印象ですね。

▼まとめ
・応募者数に関して、開智所沢が栄東を上回る可能性が出てきました。
これは非常に注目すべきトピックであり、多くの塾が入試結果報告会などで取り上げる大きな話題になるでしょう。また、開智所沢が岩槻の開智を上回るという点も見逃せません。
・増加傾向にある学校:淑徳与野のほか、浦和実業、武南、本庄東、細田学園、西武学園、埼玉栄も健闘しています。開智未来も応募者数が増加しています。
・全体的にもっと受験者数が減少する学校が多いかと思われましたが、実際にはそうではなく、埼玉の入試全体が盛り上がりを見せています。
・公立一貫校に関しては、これまで埼玉のみが好調でしたが、今年は減少傾向が見られるようです。

次は千葉の入試も含めた最後の2月本番前の解説を公開予定です。
いよいよ入試が本格的に始まりましたね。
皆さん、健康を第一に考え、良い入試にしていただければと思います。素晴らしい出会いに恵まれることを願っています。頑張ってください!
