声教保護者会2024-2025⑤ 「どうする?直前期」
出典:声教チャンネル(声の教育社)
記事:metasc
今回の声教保護者会は…
2025年度の中学入試が近づいてきました。この時期「どう過ごせばよいのか」、「そして併願パターンの再確認の必要性」など、「入試直前期の過ごし方」についてお話します。
▼併願パターンの再確認
11月や12月に学校説明会を訪れると、「今日が初めてです」という6年生によく出会いましたが、今年は特に多く感じました。9月や10月の合格判定模試の結果を受けて、「この学校も候補に入れたい」「このレベルに合う学校は他にないかな」と考える保護者やお子さんが増え、塾の先生のアドバイスをもとに「新しい学校を検討し始めるケース」が、11月後半から12月にかけて多く見られました。
こうした状況から、この時期はもう一度、併願校をしっかり考える必要がある時期だと言えます。理想は、夏までにいろいろな学校を訪問し、検討材料を揃えておくことです。言い換えれば、受験の「パズルのピース」を事前に揃えておくべきだったとも言えます。ただ、そうできなかった場合も珍しいことではありません。

この時期には、受験生のメンタル面も考慮し・・・
「少しでも早く合格を勝ち取る」戦略
を立てることも大切です。受験は子どもが主体で取り組むものですが、当日必ずしも普段の実力を発揮できるとは限りません。そのため、万が一に備えて・・・
「ここは確実に合格できる」という学校を1校準備しておくこと
が保護者としてできる重要なサポートです。

私たちが塾講師をしていた時にも、直前期や入試が始まってから「どうしよう」と悩むご家庭を何度か見てきました。特に2月1日から5日の間に緊急で面談を行うこともありました。こうしたケースは、講師として準備が足りなかった責任も痛感しました。
ですが、しっかり準備しておいて「結果的に準備が必要なかったね」と済むなら、それで良いのです。不測の事態を防ぐために、早めの準備を進めておきましょう。

▼冬期講習後にすること
1月の話として、冬期講習が終わった後に何したらいいのかということはよく聞かれます。
①学校を休むかどうか
よく聞かれる質問の中に・・・
「小学校を休んだほうがいいですか?」
というものがあります。結論を言うと、それは塾講師が決められることではありません。
小学校に通わせるかどうかは、保護者の判断に委ねられています。学校生活も含めて、受験生の健康や学びをどう守るかを決めるのは保護者の役割です。
学校を休む理由として考えられるのは・・・
・感染症が流行している場合
現在、インフルエンザが非常に流行しているので、健康や安全を優先して休ませるという判断もあります。
・受験生のストレスに関する問題
学校に行くことでストレスを発散できる子もいます。「今日は体育がある」「給食で好きなメニューが出る」「調理実習が楽しみ」といった理由で学校を楽しみにしている場合は、通わせることが良い選択です。反対に、学校でのストレスが大きく心身に負担を感じている場合は、休むことも選択肢になるでしょう。

大切なのは、受験生の状況をよく観察し、その時々で臨機応変に対応することです。保護者が主体的に判断し、受験生の健康や心の安定を第一に考えて行動してください。

②塾に行くかどうか
学校を休むかどうかはご家庭の判断になりますが、「塾には通った方がいいですか?」という質問については、基本的には塾に行くことをおすすめします。塾ではお子さん一人ひとりに合わせて、最後に取り組むべき課題が計画されています。
例えば・・・
・個別指導の形で「この子にはこれをやってほしい」といった具体的なプランを立てている場合
・特定の学校を受験する生徒全員に共通の対策を直前の2週間で行う計画が組まれている場合
が多いです。塾によっては、受験生ごとに対応した「子別」の教材やプログラムを準備し、「この問題に取り組んでみて」と指導する場合もあります。過去問の解き直しや、苦手分野の補強などもこの時期に行われます。

③直前期の算数対策
この時期の算数は・・・
・重たい課題や深い理解が必要な問題は塾で取り組む
・確実に解きたいルーティン的な問題は自宅で取り組む
ようにすると良いでしょう。仮に学校を休んで自宅で勉強する場合でも、保護者が難問を一緒に解くのは、かえって効率が悪くなることもあります。難問の代わりに、抜けている部分を確認して埋める作業に集中しましょう。時間を区切ってスピーディーに取り組み、薄れている知識や理解を塗り直す感覚で復習するのがおすすめです。また、時事問題に関連する算数の練習もこの時期に行うと良いです。

④算数の時事問題
2024年はオリンピックの年だったので・・・
・暦に関する問題(例:うるう年の計算)
・トーナメント形式
・リーグ戦の仕組みに関連した問題
が出題される可能性があります。

また、2024年の衆議院選挙に関連して、当選ラインを考える問題が出ることも考えられます。

さらに、2025年にちなんだ数字として「45の2乗(45×45)」を意識しておくのも良いでしょう。
・45は「3×3×5」
・2025は「3×3×5×3×3×5」
計算問題にとても便利な数字なので、出題する学校も多いかもしれません。これを頭に入れておくと、実際の問題で「約分しやすい」といった特性にすぐ気づくことができ、スムーズに解答を進められるかもしれません。意識して準備を進めることで、直前期の算数対策に自信を持って臨めるはずです。

⑤保護者も一緒にやるべきこと
保護者の方が取り組むべきこととして、スケジュール管理が挙げられます。
・受験生と一緒に、どの学校をいつ受験するのかを確認し、入試日程を共有
・「今日はこれをやる」「明日はこれをやる」といった形で日々のスケジュールを立てておく
と良いでしょう。

さらに入試直前や当日のスケジュールを含め、関係者全員、つまりご家族や塾の先生と計画を共有しておくことが大切です。具体的には・・・
・入試当日までの学習計画
・入試当日の行動予定を明確にしておくこと
で、全員が同じ方向を向いて準備を進められます。
入試が始まってからも情報の早さと正確さが非常に重要になります。そのため、塾の先生とも密に連絡を取り、スケジュールや進捗を共有しながら進めることが大切です。しっかりとした連携が、スムーズな受験準備と受験生の安心につながります。

▼情報管理・SNSについて
現在、多くの子どもがスマホを持ち、SNSのアカウントを利用しているケースも少なくありません。そのため、受験期間中にはスマホやSNSの利用を控えることをおすすめします。特に、受験をしていない友達から無意識に「受験どうだった?」といった質問をされることが、精神的な負担になる場合もあるでしょう。

また、SNSで情報を収集して安心感を得たいと考える保護者や受験生もいるかもしれませんが、SNSの情報は真偽が混ざっていることが多く、必ずしも正確ではありません。
受験期間中に優先すべき情報源は、「塾の先生や公式の発表」です。
塾では・・・
・受験生の合格状況
・次の試験の傾向
・繰り上げ合格の可能性
など信頼できる情報を基にした分析が行われています。そのため、受験生や保護者が最初に頼るべきは塾のアドバイスです。
例えば、「今年は合格者数が昨年より多いから次の試験はこうなりそうだ」といった分析や、「他校の結果からライバル校の繰り上げが増える可能性が高い」といった具体的な予測など、塾は入試期間中も情報収集と塾同士で共有を積極的に行っています。こうした確かな情報に基づいて行動することが、入試の成功につながると言えるでしょう。
受験期間中は、不確実な情報に振り回されることなく、信頼できる情報源を基に冷静に対策を進めていくことが大切です!
