【中学受験】2025年度入試「中学過去問出庫状況の前年比較(直前まとめ)」前回4位から221位なんてありえるの⁈※2024年12月時点
出典:声教チャンネル(声の教育社)
記事:metasc
いよいよ三谷・後藤コンビによる2024年最後の回です。
今回は、「入試直前の12月時点の出庫率」について、男女別学校や共学校を含めてすべてのランキングで解説していきます。

【出庫率上位校(10%~増加)】※(カッコ内)は11月調査時の順位
1位 開智・開智所沢 145.6%(2位)
2位 城西大学附属城西 129.3%(1位)
3位 芝国際 126.0%(9位)
4位 神奈川学園 124.2%(6位)
5位 淑徳与野 119.8%(5位)
6位 佼成学園 118.4%(3位)
7位 淑徳巣鴨 118.3%(15位)
8位 栄東(B・Ⅱ) 116.9%(58位)
9位 サレジアン国際学園世田谷 116.5%(18位)
10位 東京電機大学 115.1%(16位)
11位 青山学院 114.9%(11位)
12位 日本学園 114.9%(14位)
13位 日本大学藤沢 114.6%(20位)
14位 実践女子学園 114.4%(8位)
15位 桜丘 114.1%(13位)
16位 法政大学第二 113.8%(12位)
17位 茨城 112.9%(24位)
18位 足立学園 112.8%(16位)
19位 東京学芸大学附属竹早 112.6%(7位)
20位 芝浦工業大学柏 111.8%(25位)
21位 明治学院 111.3%(10位)
22位 立教池袋 111.3%(47位)
23位 駒込 110.9%(30位)
24位 多摩大学目黒 110.8%(98位)
25位 青山学院横浜英和 110.8%(31位)
26位 桐光学園 110.2%(28位)
27位 神奈川大学附属 110.0%(38位)
【出庫率から見てねらい目?校(10%~現象)】
東京都立武蔵 89.4%
ラ・サール学園 89.2%
東京都市大学等々力 88.9%
千葉日本大学第一 88.1%
千代田 87.7%
千代田区立九段 87.7%
さいたま市立大宮国際 87.7%
星野学園 87.6%
東京都立小石川 87.2%
東京都立両国 86.9%
千葉県立千葉・東葛飾 85.5%
城北埼玉 85.3%
さいたま市立浦和 84.2%
お茶の水女子大学附属 78.1%
▼昨年の出庫率の振り返り
まずは昨年の上位10校から振り返ります。

□1位 横浜雙葉
初めて複数回入試を実施した影響もあって注目を集めました。
□10位 大宮開成
驚くべきことに・・・
2023年11月:160位
2023年12月:10位
1ヶ月で10位までにランクインしたのです。やはり12月が近づくにつれて、「大宮開成を受験しよう」と決めた生徒たち、つまり2024年度入試の前受け受験をする受験生たちが12月になってから過去問を購入した結果と考えられます。

埼玉は今、本当に状況が大きく変化していますよね。
2024年の大宮開成の順位:163位
昨年の11月と同じくらいの順位に戻ってしまっています。ただし、163位だからといって売れていないわけではありません。売上のパーセンテージを見ると、昨年度比で96.4%と高水準をキープしているのです。昨年急増した分、今年少し落ち着いた程度で、大きく減ったわけではないのに、今年は163位にランクインしたというわけです。


前年度比で出庫率が10%以上増えた学校は・・・
2023年:11校
2024年:27校
2024年は大きく増加しています。つまり、昨年の2倍以上、ほぼ3倍近い学校が10%以上の伸びを見せているということです。このデータから、過去問の需要が確実に増えていることがわかります。
▼出庫率上位校20位以下(10%以上増加校)
前述のとおり、出庫率が10%以上増加した学校が今年は27校あります。
□27位 神奈川大学附属
□26位 桐光学園
□25位 青山学院横浜英和
神奈川県内の学校が多数ランクインしています。今年、神奈川の学校が非常に好調で、全体的な出庫率が上がっていることが特徴です。

□24位 多摩大学目黒
11月:98位
12月:24位
わずか1ヶ月で急上昇しました。これは非常に大きな変化で、11月まではあまり動きがなかった学校が、12月に入ると本番が近づくにつれて一気に出庫率を伸ばしていることがわかります。おそらく併願校として選ばれる機会が増えたのではないかと推測されます。
つまり・・・
・第一志望校の過去問は早い段階で購入されることが多い
・併願校としての選択肢が増えた結果、12月になってから急激に動きが出た
また、多摩大学目黒や文教大学付属、立正大学付属立正、青稜などの学校では、広報の先生方が長年変わらず在籍しており、先生同士の横のつながりが非常に強いことも特徴です。例えば、「このお子さんにはこちらの学校が合っているかもしれない」といった連携が行われるなど、生徒一人ひとりに適した指導を共有している印象を受けます。
目黒日本大学もその一例で、地理的に近いこともあり、先生同士の交流が活発です。こうした背景もあり、目黒方面の学校はエリアとしての人気が高まっているように感じられます。

▼出庫率上位校11位~20位
ランキングで上昇傾向にある学校としては・・・
□20位 芝浦工業大学柏
□17位 茨城
□13位 日本大学藤沢
これらの学校が順位を上げてきています。ただ、20位から11位あたりの範囲では、そこまで大きな変動は見られない印象です。

□14位 実践女子学園
安定して出願者を増やし続けていますが、大きな順位の変動はありません。このような状況は「変わらない」というより、「安定している」と表現したほうが適切かもしれませんね。
□12位 日本学園
隔年現象という点で注目したいのが、「明治大学付属世田谷」に再来年から校名が変更される日本学園です。このニュースが発表された2年前には非常に高い人気を集めましたが、昨年はやや落ち着きました。しかし、次年度には再び人気が高まると予想され、隔年現象による出願者増加が期待されます。
□11位 青山学院
毎回話題に上がりますが、「プチサデーショック」の影響で「受験生が増える方向に動いている」という状況が続いているようです。
▼出庫率上位校4位~10位
共学校が多い中で、女子校が2校ランクインしており、4位と5位に位置しています。その2校が東京の学校ではなく、神奈川と埼玉の学校というのが特徴的です。

□8位 栄東(B・Ⅱ)
この学校は声の教育社から2種類の過去問が出版されていますが、後半日程の過去問が・・・
11月:58位
12月:8位
一気にランクアップしました。この上昇は驚異的ですね。つまり、本気で栄東を目指している受験生が非常に多いということを示しています。
特に、AとⅠだけではなく後半日程の過去問も購入されている点から、受験生の本気度が伺えます。前受けの受験生が後半日程の過去問まで購入することは少ないかもしれませんが、もし合格すれば通いたいという強い意志を持った方が購入している可能性も高いです。
さらに、埼玉には今年も注目すべき学校が多いですが、そうした話題に埋もれることなく、やはり栄東の存在感は際立っています。今年も栄東を目指す受験生が増えているのかもしれません

□6位 佼成学園
男子校でトップに立っているのは佼成学園ですね。この学校は・・・
「人気が集中すると翌年は応募者数が減少する」という隔年現象(揺り戻し)の影響を全く受けず
安定して人気を保っています。まだまだ成長の余地がある、いわば「化ける可能性」を秘めた学校と言えるでしょう。

□5位 淑徳与野
以前もお話ししましたが、医進コースが非常に人気を集めていることが影響しているようです。そのコースの魅力に気づいた人が増えたのではないでしょうか。
□4位 神奈川学園
本当に注目すべき存在です。ここでもまた神奈川の学校が上位に食い込んできているのがわかります。
▼出庫率上位校1位~3位
□3位 芝国際
初年度は試験が大変だった印象がありますが、昨年は落ち着きを見せました。そのタイミングで初めて過去問を作成しましたが、昨年の販売実績としては目立ったものではありませんでした。今回の出庫率が26%増というのは大きな数字ですが、飛躍的な増加というわけではないため、第1志望の受験生には臆することなく、しっかりとチャレンジしてほしいと思います。

□2位 城西大学附属城西
大きな増加を見せています。前回は1位でしたが、過去問の発行部数自体はそこまで多くないため、順位だけを見ると驚かれるかもしれませんが、それほど大きな増加ではないでしょう。城西大学附属城西も第1志望の受験生はもちろん、併願で考えている受験生も、過去問にきちんと取り組み、自信を持って受験すれば十分に対応できる学校だと思います。
□1位 開智・開智所沢
昨年も開智の過去問は多く刷られていましたが、今年も特に注目度が高いようです。昨年は開智と開智所沢が同じ入試問題を使用するとは知らない状態で過去問を作成したため、ここまで需要が増えるとは予想していなかったのです。しかし、現在では2位や3位の学校を上回る需要があり、過去問はすでに売り切れています。

現時点で、両校合わせて応募者数が1万人を超えることが公表されています。開智所沢中学校の会場では、収容人数を拡大することがホームページで発表されました。
当初:1500人
12月1日:1800人
12月13日:2200人
このように途中で会場の収容人数を増やす対応は非常に珍しい事例ではないでしょうか。
開智所沢会場では、一時的に募集を停止して収容人数を増やす決定をしたようです。体育館が2つあることから、机を並べて対応する計画だと考えられます。それ以外の方法では、この人数を収容するのは難しいでしょう。

こうした対応は、千葉の市川が幕張メッセ会場を使用した際のイメージに近いものがあります。開智所沢も、大きな会場ではないですが「さいたまスーパーアリーナ」でも試験は行います。開智と開智所沢も同じ試験を行いますが、ここまでの規模拡大は異例で、非常に注目されています。
過去には、中央大学附属横浜に変わった横浜山手が午後入試を4教科で実施した際に控室が作れず、保護者が校庭で寒い中待機することになったエピソードもあります。その際、机をレンタルして対応したという話もありました。
受験生が増えると、当然保護者の待機場所も必要になり、人数は倍近くに膨れ上がります。開智所沢のような規模の試験では、待機場所の確保がさらに重要な課題となるでしょう。
先生方にとっては、こうした配慮や準備が非常に大変だと思いますが、受験生と保護者のためにも、適切な対応が求められていると感じます。

▼ねらい目になりうる学校
ここまでは出庫率が上昇した学校を見てきましたが、今回は少し視点を変えて「出庫率が10%以上減少している学校」を取り上げてみますが・・・公立学校が多い点が目立ちます。
前回の11月時点でも同様の傾向が見られましたが、公立学校全体での減少傾向は今年も続いています。その背景には、開智・開智所沢や栄東といった学校が非常に高い人気を集めている影響もあるのではないかと考えられます。

□城北埼玉
□星野学園
城北埼玉や星野学園の出庫率が下がっているのも特徴的です。この2校は、立地的に西武地域に位置しており、所沢や川越のエリアと関連して影響を受けている可能性があります。ただ、こうした学校は逆に「ねらい目」と捉えることもできるのではないでしょうか。
ちなみに、声の教育社の編集長は東大卒ですが、城北埼玉の卒業生でもあります。星野学園も城北埼玉も、とても良い学校ですので、受験生や保護者の方にはぜひ注目していただきたいですね。このような視点で学校を選ぶことも、有効な戦略だと思います。

□千代田区立九段
11月時点では非常に高い出庫率を記録し、4位にランクインしていました。
11月:出庫率127.7%(4位)
しかし、そこから1ヶ月でかなり落ち着いてしまった印象があります。
12月:出庫率87.7%(221位)
それでも、千代田区立九段を第一志望にする受験生や、強い希望を持っている方々は多いと思います。このデータを見て、「もっと頑張ろう」と気持ちを奮い立たせるきっかけになるかもしれませんね。

▼まとめ
2025年度入試は・・・
開智・開智所沢が非常に注目を集めている→埼玉の他の学校がねらい目になる可能性
があります。また、開智所沢に東京から多くの受験生が向かう影響で、府中や吉祥寺といった東京西部エリアからも多くの受験生が所沢へ向かう動きが見られるかもしれません。先日、スタジオバモスの先生も「吉祥寺近辺から所沢に受験しに行く子が多い」と話していました。その影響で、2月になると吉祥寺や府中エリアの受験者数が減る・・・のでは?という可能性も考えられます。今年はこうした新しい動きに注目していきたいですね。
東京や神奈川では、今年目立ったトピックがあまりない印象です。そのため、開智・開智所沢は2年目の入試にも関わらず大きく注目されていることが珍しいケースと言えるかもしれません。

▼次回に向けて
いよいよ最後の話題です。寒さも厳しくなってきましたが、昨年同様・・・
「受験生と保護者の皆さん、そろそろ解放されますから、もうひと踏ん張り頑張ってください!」
とお伝えしたいです。あと少しでゴールが見えてきます。簡単ではないかもしれませんが、ぜひ踏ん張っていただければと思います。

特に大切なのは・・・
必ず「ご縁がある学校」を確保することです。
どこか1校でも確実に合格できそうな学校を選び、そこでの合格が親子で頑張った成果の証になるようにしてください。そして、それを次の中学校生活を前向きに進めるための支えにしていただきたいと思います。いわゆる「お守り校」を早めに確保することが安心につながるはずです。
皆さん、引き続き頑張ってください!
