【中学受験】2025年度入試「中学過去問出庫状況の前年比較(共学校・後編)」過去問が売れてる今年の人気校、そしてねらい目校はどこ?※2024年11月時点
出典:声教チャンネル(声の教育社)
記事:metasc
声の教育社の過去問が、
「昨年と比較してどのくらい売れているのか、売れていないのか」共学校
について出庫状況を見ていきたいと思います。
後編では「昨年と比べて出庫率が減少している学校」つまり、ねらい目となる可能性がある学校について私学と公立一貫に分けてご紹介します。今回のお話の中に受験を検討している学校の名前が挙がると、少し希望が持てるかもしれません。
【出庫率が減少した私立(国立)中学校(前年度比)】
東京都市大学等々力 93.9%
千葉日本大学第一 93.8%
ドルトン東京学園 93.7%
広尾学園小石川 93.4%
工学院大学附属 92.9%
光栄VERITAS 92.2%
星野学園 88.3%
千代田 87.6%
お茶の水女子大学附属 77.9%
【出庫率が減少した公立一貫校(前年度比)】
東京都立白鴎 91.6%
東京都立武蔵 91.4%
千葉県立千葉 88.9%
千葉県立東葛飾 88.9%
さいたま市立大宮国際 87.6%
さいたま市立浦和 85.9%
東京都立両国 85.5%
▼昨年よりも出庫率が減少した私立・国立
□ お茶の水女子大学附属
出庫率が前年度よりもかなり下がり、1番のねらい目となりそうなのが「お茶の水女子大学附属」です。これまで出庫率が高い傾向にありましたが、今回は少し落ち着いた印象です。昨年よりも受けやすくなる可能性があるかもしれません。
□ 千代田
学校名が変わった千代田(旧校名:千代田国際)も注目ポイントの一つです。新刊の販売状況を見ても、前年度に比べてやや出庫率が減少しています。この学校は・・・
・市ヶ谷という便利な立地
・校長先生の交代が新たな魅力を生む可能性
という魅力があります。エリア的にも十分に受験生を集められるポテンシャルがあり、来年度ねらい目と言ってよく、今後さらに注目されるべき学校といえるでしょう。
□ 星野学園
埼玉の他の学校の状況が影響しているようで、急成長している学校に受験生が流れる傾向が見られます。もともと埼玉の地元の難関校として、古くから私学の進学校の地位を築いていましたが、最近は宣伝の面でやや遅れを取っている印象です。ただし・・・
開智所沢のように入試が難化していく学校が増える中で、星野学園を受験する選択肢
が新たに浮上する可能性も十分にあります。地域の進学校として再び注目を集める機会となるかもしれません。
□ 光栄VERITAS
・流通経済大学付属柏
・芝浦工業大学柏
・麗澤
が同じエリアの学校として挙げられます。光英VERITASは共学化後に人気が急上昇しましたが、昨年少し落ち着きを見せ、今年もさらに緩やかに推移している印象です。そのため、現在は受験のねらい目となる学校といえるでしょう。
□ 工学院大学附属
これまで安定した人気を保っているイメージがありましたが、昨年から今年にかけて志願者数がやや減少しています。多摩地区にありながら・・・
・国際教育に力を入れた発信力の高い学校
・生徒の主体的な学びを重視するなど先進的な教育方針
として知られているため、この減少は意外な印象を受けます。しかし、時代のニーズに合った内容なので、今後再び注目される可能性が高く、現時点ではねらい目といえるかもしれません。
□ 広尾学園小石川
ここ数年出庫率が100%を下回っていますが、数%の減少があったとしても入試の難易度には大きな影響がないようです。広尾学園と比べての・・・
「受けやすさ」や「合格しやすさ」といったイメージはほぼなくなりつつあります。
チャレンジ層の受験生も受験を完全に回避しているような状態なので、今後も難関校としての位置づけは変わらなさそうです。
□ ドルトン東京学園
昨年は非常に人気が高く、過去問の売れ行きも好調でした。その影響で、塾の先生方の中には「ドルトンで合格を狙うのは厳しくなった」と感じ、敬遠するケースもあるかもしれません。
学校の規模は比較的小さいですが、施設は拡充されており「STEAM棟」という特別な施設を増設し、学びの幅を広げています。実際に学校を訪れると、「ここで学びたい」と感じる魅力があるのも納得できます。今年、出庫率が6%減少したとはいえ、ほとんど影響はないでしょう。併願校として・・・
広尾学園、三田国際学園、開智日本橋
などの難関校を受験する生徒も多いことから、後半日程の競争は特に厳しいと予想されます。
□ 千葉日本大学第一
昨年に引き続き志願者数が減少しています。昨年も大幅に減少していたうえ、今年さらに減っており・・・
前受けで受験する生徒が減少した結果、受けやすくなっている可能性
があります。ただし、日本大学の付属校であることから難しいイメージがあり、決して簡単な入試ではありませんが、例年よりはチャンスが広がっていると言えそうです。
□ 東京都市大学等々力
こちらは出庫率が6.1%減少しており、少し意外な結果となりました。難易度の高さが影響しているのでしょうか。この程度の減少幅では、実際の状況に大きな変化はないと考えられます。校長先生が原田先生から草間先生に交代し、新しい体制になっていますが、新しい流れというところでは定着した人気になっています。そのため・・・
・合格者のレベルは例年通り高い
・チャレンジ層の受験生が少し減った程度
の入試が予想されます。また、高校からの入学は募集人数が少なく非常に難しいため、中学から入学できれば大きなアドバンテージとなります。進学実績も年々向上しており、出庫率の減少があっても、入試の難しさに変化はないと考えられます。
▼昨年よりも出庫率が減少した公立一貫
公立一貫校の中には、ここ数年、前年度比8割程度の出庫率で推移している学校があります。8割が続くと、累積的に大幅な減少となり、学校としてはかなり厳しい状況になってきます。このままでは、過去問の販売が打ち切られる可能性のある学校も出てくるかもしれません。
□ さいたま市立大宮国際
□ さいたま市立浦和
特に目立つのは、さいたま市立大宮国際とさいたま市立浦和の志願者数減少です。
これまで埼玉だけは・・・
公立一貫校の志願者数が増加傾向にありました
しかし、来年はさすがにその勢いが落ち着くのではないかと感じます。
もし埼玉の公立一貫校の志願者数が落ち着くとなると、首都圏全体の公立一貫校でも同じ傾向が広がりそうです。つまり、公立一貫の受検生全体の数が減少する可能性を示唆していると言えるかもしれません。
□ 東京都立両国
10年ほど前の公立一貫校は、倍率が8倍や10倍と非常に厳しい競争率でした。
それに比べると、最近は4倍前後となり、以前と比べればかなり緩和されています。
それでも4倍は依然として厳しい数字ですが、かつての過酷さからは少し状況が変わってきています。
例えば、東京都立両国について考えると、かつては・・・
アクティブラーニングを積極的に導入し、教育の先駆け的な存在
でした。その時代に活躍していた先生方が、現在では私立校などの教育現場で重要な役割を担っていることも多いです。その結果・・・
最近の都立両国は以前ほど新しい学び方を積極的に発信する姿勢が見られない
ように感じられます。
かつては宿題の多さから「都立牢獄」と揶揄されることもありましたが、アクティブラーニング導入時には画期的な変革として注目されました。しかし、その変革に対しては賛否両論があり、大きな反発があったことも事実です。
これらを踏まえると、現在の都立両国は以前よりもねらいやすい学校になっているかもしれません。以前の厳しい倍率や独特の教育方針と比べて、受検生にとってのハードルがやや低くなっている印象です。
▼まとめ
前編・後編と共学校を見てきましたが・・・
全体的に出庫率が増加している学校が多い印象
を受けます。この傾向は男子校・女子校にも共通しているようです。
一方で・・・
・出庫率が目立って減少している学校は少ない
・前年度比80%を下回っているのはお茶の水女子大学附属くらい
全体的には、中学受験が引き続き盛り上がっていると見ていいと思います。
もしかすると、声の教育社の過去問シェアが拡大している影響も考えられますが、出庫率が毎年急激に変わることは考えにくいので、実際の志願者数には大きな変化がないケースもあるかもしれません。
ある学校の先生によると、最近では・・・
・塾に通わない
・模試も受けない
・過去問だけで中学受験の勉強を進める家庭
が増えているとのことです。そのため、模試の受験者数が減少している一方で、学校説明会の参加者数は増加しており、来年度の受験生が増えるのではないかと予想されています。
インターネットでも「塾なしで合格」という話題をよく目にします。オンライン授業は、時には塾の授業よりも分かりやすいと感じる家庭もあるようです。また、声の教育社の過去問解説動画なども活用されており、受験生の学び方が多様化していることを感じます。
次回は「過去問出庫数上位校」について「出庫数ランキング」としてお届けいたします。