【中学受験】2025年度入試「中学過去問出庫状況の前年比較(共学校・前編)」過去問が売れてる今年の人気校、そしてねらい目校はどこ?※2024年11月時点
出典:声教チャンネル(声の教育社)
記事:metasc
声の教育社の過去問が、
「昨年と比較してどのくらい売れているのか、売れていないのか」共学校
について出庫状況を見ていきたいと思います。
まず前編では「売れている学校=出庫率上位校」のご紹介です。共学校は校数が多いのでトップ20で見ていきます。
【出庫率が増加した学校トップ20(昨年度比)】
1,城西大学付属城西 152.2%
2,開智・開智所沢 148.8%
3,千代田区立九段 127.7%
4,学芸大学附属竹早 121.9%
5,芝国際 120.4%
6,明治学院 119.0%
7,青山学院 118.9%
8,法政大学第二 117.0%
9,桜丘 116.9%
10,淑徳巣鴨 116.1%
11,サレジアン国際学園世田谷 114.2%
12,安田学園 113.5%
13,日本大学藤沢 113.3%
14,順天 113.0%
14,文教大学付属 113.0%
14,茨城 113.0%
17,芝浦工業大学柏 112.5%
17,東京電機大学 112.5%
17,日本工業大学駒場 112.5%
20,桐光学園 112.4%
▼昨年の出庫率上位校
昨年の共学校のトップ10について振り返ると、「入試が厳しくなる」という予想されていた通りの結果になりました。やはり注目すべきは開智・開智所沢で日本工業大学駒場も受験者が増加しました。
□開智・開智所沢
特に開智と開智所沢は「品切れになるだろう」と言われており、実際にその通りでした。昨年の過去問の表紙は開智のみでしたが、今年は開智と開智所沢の両校の名前が記載されています。
この2校は・・・
・同じ入試問題が使われる
・一度出願すれば両校の合否判定が行われる
仕組みになっています。このような制度は非常に魅力的だと言えます。
□日本工業大学駒場
受験者が増加し続けています。男子校や女子校でも見られたことですが、
いわゆる難関校よりも、中堅でそれほど偏差値が高くない学校に人気が集中
しており、定員が埋まりやすくなる傾向が昨年も強かった印象です。
▼昨年よりも出庫率が増加した学校トップ11~20位
今年はどのような状況かということで、まずは11位から20位までのランキングです。
□20位 桐光学園
昨年の89.2%から今年は112.4%と志願率が上がっています。一見すると隔年で増減しているようにも見えますが、少し「穴場」と感じられる部分があるのかもしれません。
□17位 日本工業大学駒場
今年もまた「品切れ」状態になりました。この学校は、昨年度に続きその前の年も、そのさらに前の年も版元で品切れとなるほど人気があります。学校でも販売されていますし、書店でもまだ入手できるかもしれませんが、それにしても驚くほどの人気ぶりです。
注目すべきは・・・
・生徒への手厚いサポート体制
・「生徒の面倒をとことん見ます」という姿勢
が愚直なまでに徹底されていて、これが多くの受験生や保護者に支持される理由となっているようです。
□17位 東京電機大学
このところ出庫率がやや下がっていた時期もありましたが、今年は名前を耳にする機会が増えています。大学付属でありながら・・・
・生徒一人ひとりを丁寧に見ている印象
・共学校という点
で評価されているのでしょう。多摩地域の学校は中学入試ではあまり目立たないかもしれませんが、最近はその評価が確実に上がってきているように思います。
□17位 芝浦工業大学柏
隔年で志願者数が変動する傾向が見られるように思います。近隣では・・・
・流通経済大学付属柏が開校
・光英VERITASが共学化
したことで一気に人気が高まった時期もありました。この地域は学校も受験生も多く集まるホットゾーンという言い方もでき、来年に関しては、受験者数が再び増加する可能性があるのではないかと思われます。
□14位 茨城
・医学コースが設置されている
・地元の医療機関と提携している
・東大・京大・早慶をはじめ進学実績も非常に優秀
という特徴があります。地元の名門校という位置付けであり、伝統校としても知られている学校です。
ただし、茨城県は公立中高一貫校が多く設立されているため、中学入試も高校入試も受験生の数がそれほど多くなく、倍率も比較的低めです。そういった点では、受験生にとってねらい目や穴場といえる部分もあるのではないでしょうか。この学校は2年連続で出庫率が増えていることもあり、今後も注目され続けそうです。
□14位 文教大学付属
前年度比113%という伸びを見せていますね。今年は特に名前を耳にする機会が増えた印象です。以前もお話しましたが、新校長のリーダーシップや魅力が注目を集めているのかもしれません。
□14位 順天
北里大学との法人一体化が公表されて以降、さらに注目されていますね。同じく茨城の医学コースの話題とも重なりますが、「医学部」というキーワードの影響力は本当に大きいです。
茨城も医学コースがありましたが、医学部を持つ日本大学の付属校も注目かもしれません。
例えば日吉にある日本大学中学校では・・・
今年日本大学医学部への推薦が5名決まった
という話を聞きました。塾講師時代に日本大学中学校を受験した教え子は多くいましたが、医学部進学をするイメージはありませんでした。学校のレベル感や価値観が少し変わってきたのかもしれません。かつては付属校だからといって必ずしも医学部進学者が出るとは限らず、進学者が1人もいないことも珍しくなかったようですが、今では状況が大きく変わっています。「医学部」という言葉はやはりインパクトが大きく、学校選びの大きなポイントになっています。
□13位 日本大学藤沢
小学校から上がってくる生徒の増加に伴い、中学の募集枠が一時縮小されていましたが、最近では少し拡大しているようです。これも付属校人気の一つの表れといえるでしょう。どれだけ医学部への進学者がいるかは分かりませんが、日本大学付属校の中で選抜制度が整備されており、規定の点数を取れば医学部進学も可能という仕組みがあるようです。
こうした背景を踏まえると、日本大学藤沢のレベルも確実に上がってきているといえそうですね。
□12位 安田学園
昨年の減少幅がそれほど大きくなかった一方で、今年は志願者数が増加しています。
これは・・・
定員増加の影響もあるのかもしれません。
募集枠が広がったことで若干難易度が上がっている可能性はありますが、逆にいえば受験生にとって新たなチャンスと捉えられる側面もあります。その結果、志願者数がさらに増加する可能性が高まっていると考えられます。
□11位 サレジアン国際学園世田谷
ここ3年連続で志願者数が増加しており、来年あたり入試の難易度が上がるのではないかと予想されます。昨年、学校の先生は「うちは難しくしません」とおっしゃっていましたが、これだけ志願者が増えると、定員を超過している可能性もあり、後半の入試では絞らざるを得ない状況になるかもしれません。
▼昨年よりも出庫率が増加した学校トップ1~10位
□10位 淑徳巣鴨
人気が続いています。
□9位 桜丘
同じ地域にある10位の淑徳巣鴨と近接していますが、引き続き安定した人気を誇っています。ものすごい人数が集まった年に入学した、現在の高校3年生が卒業するため、教室数に少し余裕ができるかもしれません。合格者数を多めに出してくれると受験生には嬉しいですね。
□8位 法政大学第二
神奈川ではもともと付属校人気が根強い傾向がありますね。ランキングには入っていないものの、青山学院横浜英和も出庫数を増やしており、前年比112.1%となっています。これは惜しくもトップ20には入らなかっただけで、おそらく21位か22位あたりに位置していると推測されます。
付属校関連では、中央大学附属横浜はほぼ昨年と同じ水準を維持しています。一方、青山学院横浜英和は入試回数を減らしたことで、1回あたりの合格者数が増える可能性があります。連続して受験する場合、合格のチャンスが高まる仕組みともいえそうです。このため、志望順位が高い受験生にとって有利な状況が生まれるのではないでしょうか。
神奈川の付属校で注目すべきは・・・
・法政大学第二
・中央大学附属横浜
・青山学院横浜英和
の3校です。これらの学校は右肩上がりの人気が続いており、引き続き注目されています。
□7位 青山学院
プチサンデーショックの影響で、青山学院の試験日が2月3日となった結果、志願者数が約2割増加しています。日程の変更により・・・
志望順位が2番目や3番目の受験生が受験しやすくなったという見方ができそうです。
具体的には、2月1日や2日に第一志望校を受験した後、3日の受験先として青山学院を選ぶことが可能になった点が要因と考えられます。今年は特に「今年なら青山学院を受けられる」と志願した受験生が多いのではないでしょうか。
さらに、大学付属校人気の影響も大きいですね。以前にも触れましたが、今年は成績が高い受験生であっても付属校を選ぶ割合が増えている傾向があり、それが青山学院の志願者数増加に寄与している可能性もあります。
□6位 明治学院
青山学院と同様、大学付属校の人気の波を受けているかもしれません。多摩地区に位置するため、中学受験の母数は23区と比べると少なめです。しかし、明治学院の最寄り駅である小川駅周辺が現在大規模開発中で、非常に大きなマンションや居住スペースが誕生しています。これにより、今後さらに注目される可能性があります。
また、同じエリア内に位置する明法は来年度から共学校となる予定です。この動きも含め、多摩地区の中学受験市場が今後さらに活性化することが期待されます。
□5位 芝国際
昨年は志願者数が大幅に減少しましたが、今年は前年度比120.4%と大きく増加しました。昨年は初めて過去問を発売しましたが、「書店であまり売れていない」と言われていたところ、応募者数が予想以上に減少して驚いたというエピソードがありました。しかし、今年は志願者が増加傾向にあり、模試の結果からもその勢いが見られます。初年度の応募者数を除いても、今年は約2割増加しており、明らかに回復している印象です。ただし、現在の動きから見ると、まだ大きく警戒する必要はないレベルに留まっているようです。
□4位 学芸大学附属竹早
学芸大学附属竹早が4位にランクインしたのは少し意外でした。
・昨年度は志願者数が前年比65%
・今年は121.9%と大幅に増加
しました。学芸大学附属全体としては、近年志願者数がやや減少している傾向が見られます。
国立校は新しい施設がなかなか整備されないという課題もあり、全体的に厳しい状況にあると言えます。しかし、こうした状況を逆手に取れば、ねらい目の学校とも言えるでしょう。
□3位 千代田区立九段
これも意外な結果と言えるかもしれません。昨年は出庫率が大幅に減少していたため、今年の増加はその反動とも考えられます。実際には志願者数の減少幅はそれほど大きくなかったことから、隔年現象として説明できる部分もあるでしょう。昨年校長先生が話されていた内容によると・・・
千代田区立九段は公立の中高一貫校のパイロット校的な役割を担っている
とのことです。
特に注目すべきは、校内の多様性への配慮です。たとえば・・・
・女子生徒がスラックスを履くこと
・男子生徒がスカートを履く選択肢も認める方向
・スクール水着もジェンダーレスの配慮をする方向
で検討しているとのことです。このような取り組みは、今後さらに注目され、他校にも広がっていく可能性が高いでしょう。
□2位 開智・開智所沢
昨年40%増加したうえに、さらに今年は50%増えているという驚異的な伸びを見せています。受験生の増加がどれほどの規模になるのか注目されますね。
・定員が増加している
・開智と開智所沢のダブル出願が可能
ということから、応募者数はそれぞれ8,000人前後に達していたと記憶しています。
さらに、今年は過去問の売れ行きが1.5倍に伸びているということは、次回入試は合格者をある程度絞らざるを得ない状況になる可能性も考えられます。この勢いだと、栄東に次いで応募者数が1万人を突破するのではないでしょうか。
説明会では「教室は十分に確保できているので問題ありません」と説明されていましたが、新しい学校への期待感も相まって人気が高まっているようです。
一方で、受験時の運営体制も課題になるかもしれません。会場として校舎だけで足りるかどうか、場合によっては外部の会場を借りる必要が出てくる可能性もあります。
□1位 城西大学附属城西
勢いがすごい学校です。
昨年の出庫率は67%と低めでしたが、受験生数は減少していませんでした。
この数字を見ると、一昨年の状況に戻っただけのようにも思えますが、実際には受験生がさらに増加する可能性が高いです。
特に、上杉校長先生の発信力が際立っていますね。校長先生ご自身が卒業生であり、「うちは受けやすい学校です」といった消極的な発言は一切ありません。むしろ・・・
「国際教育に関しては、私たちの学校の方がずっと前から実践してきた」
という強いプライドと自信を持たれています。さらに・・・
・さまざまな国からの留学生が日常的に在籍
日本人以外の生徒と共に学ぶ環境が当たり前となっています。このような国際色豊かな教育環境をこれほど長期間にわたって実現している学校は珍しく、他校ではなかなか見られない魅力です。また・・・
・医学部進学に強い
ことついても、校長先生が積極的に発信されています。
そのため、城西大学附属城西を第一志望にする受験生も多く、学校の魅力を感じる家庭が増えてきています。この人気が出庫率の数字に反映されており、来年以降もその勢いは続くのではないかと思います。
2年前、城西大学附属城西でお話しした際、「この学校は化けると思います」と話しましたが、その言葉通り、まだまだ成長のポテンシャルを秘めていると感じます。これからさらに注目される学校になるでしょう。
▼次回に向けて
前編では今年の出庫率上位の学校について見てきましたが、後編では・・・
「出庫率が減少した学校」つまり、ねらい目で名前が挙がってきたら少し嬉しい学校
についてお話したいと思います。
出庫率上位校を見てみると、男子校・女子校に限らず、必ずしも難関校が上位に入っているわけではない点が特徴的です。共学校だと、たとえば・・・
渋谷教育学園渋谷や三田国際学園は出庫率の上位校にはランクインしていません。
これは全体的に出庫率のパーセンテージが上がってきている影響が大きいのかもしれません。
昨年も三田国際学園では12月頃から過去問が発売されましたが、今年はその過去問が品薄になりつつあるようです。パーセンテージの上昇幅こそそれほど大きくないかもしれませんが、売れ行き自体は堅調です。今後も注目すべき学校として、改めてご紹介できるのではないかと思います。
後編につづく・・・