【中学受験】2025年度入試「中学過去問出庫状況の前年比較(男子校編)」過去問が売れてる今年の人気校、そしてねらい目校はどこ?※2024年11月時点
出典:声教チャンネル(声の教育社)
記事:metasc
今年も声の教育社の過去問について、「昨年と比較してどのくらい売れているのか、売れていないのか」を過去問出庫状況から見ていきたいと思います。
【出庫率が増加した学校トップ10(昨年度比)】
- 佼成学園 128.3%
- 日本学園 116.6%
- 足立学園 115.1%
- 獨協 112.3%
- 聖光学院 111.0%
- 立教池袋 109.3%
- 慶應義塾普通部 108.1%
- サレジオ学院 107.8%
- 本郷 107.3%
- 城北 105.9%
(次点 成城105.2% 聖学院105.1%)
【出庫率が減少した学校下位10(前年度比)】
麻布 95.4%
駒場東邦 94.1%
武藏 94.0%
東京都市大学付属 93.9%
暁星 93.3%
芝 93.1%
ラサール 92.2%
城北埼玉 91.9%
早稲田大学高等学院 91.9%
城西川越 91.2%
▼出庫率の全体状況について
まず、今年全体の傾向としては、やや上向きのようです。昨年は出庫数が少し減少していましたが・・・
今年は昨年よりも全体的に過去問が売れている=受験者数も増加している可能性
が考えられます。また、公開模試の受験者数も若干増えているように見受けられます。
今回は男子校について、昨年と比較しながら見ていきます。
2023年11月は「前年と比べて過去問が売れている学校」=8校
しかありませんでした。男子校は人気が高い一方で、それが原因で受験を敬遠される傾向が強いのではないかと思われます。全体的にも出庫数がやや減少していた状況です。
▼昨年よりも出庫率が増加した学校
昨年度の状況を踏まえて、10位からのランキングを見ていきます。
惜しくもトップ10に入らなかったのが成城と聖学院です。
しかし、この2校も昨年と比べて5%以上の増加を記録しています。昨年は、前年度比で5%以上増加した学校は上位4校のみでした。 こうして見ると、男子校の人気が再び高まってきている印象を受けます。
□10位 城北
ここ数年やや減少傾向にあったものの、今年は上向いてきているようです。受験生が戻ってきた印象です。
□9位 本郷
今年非常に過去問が売れています。その売上数は群を抜いており、注目されています。女子校や共学校の過去問の話が一段落したら、「過去問出庫数の上位校」についても改めて触れる予定ですが、本郷はその中でも必ず名前が挙がる学校です。男子校の中でも特に人気が高く・・・
・東大合格者を輩出していること
・推薦入試でも毎年東大合格者を出していること
が強みとなっているようです。
□8位 サレジオ学院
神奈川県内では全体的に目立った動きが少ない中、サレジオ学院は丁寧で面倒見の良い学校として人気を集めているようです。男子校とはいえ、
・荒々しい印象は全くない
・落ち着いた雰囲気が魅力
のようです。最近の男子校全般に言えることですが、かつての怖いイメージはだいぶ薄れてきていると感じます。さらに、サレジオ学院は東京からもアクセスしやすいため、その点も注目される要因の一つと言えるでしょう。
□7位 慶應義塾普通部
今年非常に注目されています。今年は過去問が品薄になりそうな状況です。大手の難関校向け塾の関係者によると、今年の受験生には・・・
安全志向が強まっており、大学付属校を選ぶ傾向が高まっている
とのことです。
また、声教保護者会の担当者によると、ここに来て1年遅れながらも甲子園優勝効果が影響している可能性があるとのことです。
昨年:御三家を志望していた受験生たちが渋谷教育学園渋谷の2月1日入試に流れる傾向
今年:大学付属の慶應義塾普通部を選ぶ動き
が目立っているようです。
このような動きは、より安全志向が強まっていることを示していると考えられます。大学付属校を選ぶということは、基本的に大学受験を回避する意図があるため、東大を目指さない選択をしているとも言えるでしょう。一部の保護者からは、「コロナ禍で疲弊し、中学受験を最後の受験にしたい」といった声も聞かれています。
さらに、近年では東大よりも慶應のほうが魅力的だと感じる価値観の変化が見られる可能性もあります。ただし、これが直接的な要因かどうかは断言できませんが、慶應義塾普通部の過去問の出庫率が大幅に上昇している背景として、そのような考えを持つご家庭が増えているのかもしれません。
□6位 立教池袋
昨年は出庫率がかなり減少していたため、隔年現象の一環とも考えられますが、大学付属校の人気が高まっている影響も今年増加した一因として考えられるかもしれません。
□5位 聖光学院
今年は東大に100人もの合格者を輩出したことが大きな注目を集めています。その影響で、過去問の需要が高まっていると見られます。
□4位 獨協
長らく人気の男子校として知られていますが、今年もさらに1割以上の増加を見せています。特に坂東先生という人気の高い教師の存在も影響しているかもしれません。ただし、模試での合格判定登録校としての選択はそれほど多くないようで、併願で受験する家庭が増えている可能性があります。
昨年の出庫率自体はやや下がったものの、実際の受験生数には大きな減少は見られませんでした。そのため、今年も過度に心配するほどの急増はないと考えられますが、人気が上昇していることは間違いないと言えそうです。
□3位 足立学園
ここ数年、人気が右肩上がりで注目を集めています。この学校は、男子校の中でも比較的受験しやすいレベルとされていましたが、その人気が高まるにつれ、入試の難易度も上がってきている印象があります。この傾向は・・・
受験生が安全志向で足立学園のような学校を選ぶケースが増えている
ことを象徴しているのかもしれません。
少し個人的なのですが、知人の息子さんの6年前のエピソードを聞きました。その息子さんは勉強があまり得意ではなかったのですが、足立学園の学校見学をきっかけに気に入り、6年生になってから急いで受験勉強を始めたそうです。そして見事、足立学園に入学しました。
入学後は・・・
➀学校の方針にしっかりと馴染み
②勉強への意欲が湧き
③最終的には国立の東京工業大学を目指すまでに成長
しました。惜しくも東京工業大学には届かなかったものの、別の国立大学に進学したとのことです。勉強が苦手だった子どもが、学校の影響でここまで成長するのは本当に素晴らしいことだと思います。
6年前の足立学園は、現在と比べるとかなり入学しやすい学校だったようです。それだけに、学校に入ってからの成長ぶりがいかに大きかったかを物語っています。
「足立学園は少し幼さを感じさせる男の子たちであっても、しっかりと成長を促し、成果を出せる環境を提供している学校」
であると改めて感じました。とても素敵な話だと思います。
□2位 日本学園
これは明治大学の付属校になったことが大きな要因かと思われます。付属校となることが発表された2年前には、前年比178%という驚異的な伸びを記録し、その年は過去問があっという間に品切れになったことを覚えています。その後、翌年はさらに前年度比107%となり、さらに今年はそこから116.6%という伸びを見せています。
こうなると、明治大学付属中野のほうが倍率的に安心感があると感じる方もいるかもしれません。実際、昨年明治大学付属中野の受験者数が増えたような印象がありますが、実は去年は過去問の売上自体は逆に少し減少していました。今年は、再び売上が増加しているのではないかと思われます。
□1位 佼成学園
男子校の出庫率で第1位となったのは佼成学園です。過去問は書店では取り扱いがありますが、版元ではすでに売り切れ状態です。相当な数を準備したはずですが、それでも需要に追いつかなかったようです。
正直なところ、そろそろ人気が落ち着くのではと思っていましたが、佼成学園の人気は男子校という理由だけではありません。この学校は・・・
海外志向が強く、英語教育や海外大学を視野に入れた取り組みが注目されています。
もちろん、国内大学への進学実績も伸びていますが、それ以上に教育内容の評価が高い点が特徴です。佼成学園は「受けやすくて面倒見が良い」という従来からの評価に加えて、国際的な取り組みが評価されているのです。こうした取り組みを行う男子校は少ないため、この人気は今後もしばらく続くのではないでしょうか。
毎年言っていることではありますが、受験生やその親御さんにとっては「出庫率が伸びたランキング」に自分の子どもが受験する予定の学校が載ってほしくないですよね。
「志望校が人気校だと不安に感じる」
のも理解できます。私もその気持ちがよく分かります。自分の子どもが受験生だった頃、「今年はどうか、その学校が不人気であってほしい」と思ったこともありました。
以前、ある方から相談を受けた際、近くにあり、非常に良い学校だという理由で小学校3年生頃から注目していた佼成学園が、最近になって非常に人気が高くなってしまい、残念だと話していました。これは正直な気持ちだと思います。学校としては、人気が出ることを望むのは当然のことですし、その点では仕方がない状況だと言えます。
▼昨年よりも出庫率が減少した学校
このランキングに名前が載ると、受験生は嬉しいものです。つまり・・・
「昨年よりも過去問の売上が減少しているかもしれないので、もしかすると少し狙い目となる可能性がある学校の紹介」です。
難関校が並んでいますが、どの学校も極端に減少しているわけではなく、
前年比で80%台にはならず、90%台を維持しているのが現状です。
また、人気が落ちているとはいえ、極端に出庫数が少ない学校は多くありません。
これが男子校受験の厳しさでもあります。減少の度合いとしては「ラッキー」と言えるほどではなく、やや人数が減少する程度です。第一志望校として「学力が足りるかどうか」という不安がある場合でも、例年よりはワンチャンスあるかもしれないと判断できる程度ではないでしょうか。
□麻布 □駒場東邦 □武藏
麻布、駒場東邦、武蔵といえば、いわゆる最難関校ですね。
駒場東邦だけは昨年、前年度比107.2%と出庫率1位を記録しているので、他の麻布や武蔵とは動きが少し異なります。
麻布と武蔵は90%台を維持し続けているので、この状況が続くようであれば、やや緩和される可能性も出てくるかもしれません。
□東京都市大学付属
2月1日入試を始めた年には107.4%を記録しました。しかし、今年は少し減少幅が大きく見えます。これにはいくつかの要因が考えられますが、その一つとして・・・
東京農業大学第一が新たに2月1日入試を始める影響
があるのではないでしょうか。近隣の世田谷学園を見ると、こちらは少し増加しています。東京農業大学第一も全体の出庫数が増えているため、その分が東京都市大学の減少につながっている印象です。特に第1回目の入試では、若干受験しやすくなる可能性もあるかもしれません。
□暁星 □芝
暁星は小規模な学校であることもあり、ここ数年出庫率が徐々に減少しているものの、大きな緩和が見込めるほどではなさそうです。
同様に芝も出庫率はやや減少傾向にあるものの、入試が緩和されるほどではないと考えられます。
□ラサール
コロナ前後で過去問の販売動向があまり変化していないように感じます。
□城北埼玉 □城西川越
開智と栄東の影響があるのではないでしょうか。また、男子校を志望している東京の受験生がこの2校を前受けとして選ぶかというと、通学のしづらさがネックになっているように思います。そのため、よりアクセスしやすい開智や栄東に流れている可能性が考えられます。
□早稲田大学高等学院
慶應義塾普通部とは対照的な動きを見せています。この違いについては、受験生や保護者の「好み」が影響しているのかもしれません。例えば、慶應義塾普通部には「甲子園出場校」というイメージなど、学校の雰囲気や文化的要素が関係している可能性があります。
・早稲田中学の出庫率はほぼ横ばい
・早稲田実業の出庫率は上昇
という点もあり、早稲田大学高等学院の出庫率が減少しているとしても、それがレベル低下につながるとは考えにくいですね。問題自体の難易度も依然として高いため、昨年と比べて大幅に難しくなることはない、という程度の予測が立てられそうです。
▼まとめ
今回のランキングから見ると、男子校人気が再び高まっている印象を受けます。
品薄状態:佼成学園/足立学園
この2校は今年特に人気になっています。
聖光学院も一時は品薄な状況でしたが、現在は少し動きが落ち着いているようです。
難関校の場合・・・入試が近づくと過去問が売れにくくなる傾向
「やっぱり聖光学院を受けよう」といったように、直前で志望校を変更することは少ないのです。一方で、難易度を少し下げる形で志望校を調整するケースはあるようです。
中堅校の場合・・・入試が近づくほど過去問の売れ行きが良くなる
といわれています。今後「過去問出庫数の上位校」についてもお話しますが、今年も昨年に続いて、中堅レベルの学校で人気が高まっているところが目立っています。このような学校の過去問は早めに準備しないと、品切れで困ることになる可能性がありますのでご注意ください。
次回は「過去問出庫状況の女子校」についてご紹介します。