【中学受験】2024年度どうだったのか?~2月入試 共学校編・前半~応募者3,000人以上の人気校は?最新の過去問販売状況もあわせて見ていきます!
出典:声教チャンネル(声の教育社)
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2024年度の共学校入試の振り返りです。共学校は数が多いので、まずは応募者数が多かった学校を中心に見ていきます。その中で、今現在の過去問の売れ行きもこっそりチェックしながら、来年度の傾向を予測してみたいと思います。2025年度の入試がどう動くのか、人気校の動向を含め、より詳しく分析していきましょう。
【2024年度入試 共学校 応募者数最多校(前年比)】
- 広尾学園 3,320人(87.3%)
- 開智日本橋学園 3,197人(120.5%)
- 東京都市大学等々力 3,137人(102.2%)
- 三田国際学園 2,717人(94.4%)
- 東京農業大学第一 2,688人(122.6%)
- 安田学園 2,618人(110.6%)
- かえつ有明 2,532人(96.0%)
- 國學院大學久我山 2,496人(96.3%)
- 渋谷教育学園渋谷 2,248人(96.3%)
- 日本工業大学駒場 2,187人 (116.7%)
- 神奈川大学附属 2,143人(106.7%)
- 広尾学園小石川 2,140人(126.9%)
- 山手学院 1,930人(95.5%)
- 桐蔭学園 1,840人(126.9%)
- 日本大学 1,803人(98.0%)
- 青稜 1,773人(74.5%)
- 法政大学第二 1,771人(89.6%)
- 関東学院 1,677人(94.2%)
- 東京電機大学 1,595人(106.6%)
- 宝仙学園 1,562人(94.7人)
▼応募者数最多校①
□広尾学園
応募者数が10%以上減少しています。これは偏差値や倍率の上昇が一因と考えられます。総応募者数は3,320人で、男子校の東京都市大学付属の3,373人に次いで多いです。敬遠されているとしても、厳しい入試であることは違いありません。本当は広尾学園を志望していたものの、後半の入試を諦めた受験生が多かった可能性もあり、この応募者数の減少に影響しているかもしれません。
□開智日本橋学園
非常に注目されています。その理由は・・・
開智所沢の後半日程と帰国生入試に関しては開智所沢と同時出願が可能
だからです。
当初学校側は、都内インターナショナルスクールに通う生徒向けの帰国生入試の条件が厳格化され、これに対応する問い合わせが多く寄せられたことで、応募者の減少を懸念していました。しかし、その予想に反して応募者数は増加しました。
現段階ですが、開智日本橋学園の過去問は昨年よりも売れ行き好調です。
11月に過去問出庫率については詳しくお話しますが、今の雰囲気だとその際にも開智日本橋学園は売れている学校に名前が挙がりそうです。
□東京都市大学等々力
昨年と同様に高い人気を誇っており、次に位置する三田国際学園も同じく人気校として注目されています。上位4校はいわゆる国際系プログラムにも力を入れており人気が高まっています。この傾向は現在の中学受験の象徴的な特徴と言えるでしょう。
□東京農業大学第一
今年の過去問は、発売されてからまだ日が浅いものの、すでに売れ行きが好調です。今年から・・・
・2月1日の午前試験に参入する
ことで、大きな影響を与えると予想されます。特に、影響を一番受ける可能性が高いのは・・・
・男子校では東京都市大学付属
・女子校では鴎友学園
です。また、東京農業大学第一は・・・
・高校の募集停止により、一貫教育プログラムがさらに充実していく予定
・定員が175名から約200名に増加
となり、厳しい受験競争が予想されます。2月1日午前の試験に挑むのは熱望している受験生だと考えると、以外と倍率は高くならない可能性もありますが、やはり、今の人気の高さが懸念されます。東京農業大学第一に進学したい受験生は必ず2月1日午前の試験に臨むことおすすめします。
▼応募者数最多校②
□安田学園
引き続き好調な状況が続いています。昨年も応募者が1割増加しており、特に適性検査型の受験者が多い印象です。共学化の際から、カリキュラムや教育内容をしっかりと整備してきたことが、合格実績に反映され、安定した成果を出しています。また、同校は様々なプログラムや活動の発信力も強く、着実に進歩している印象を与えています。全体として、信頼性の高い実績が着実に積み重ねられている学校です。
□渋谷教育学園渋谷
応募者数がやや減少しています。これまで何度も話題に上がっているように、2月1日の試験は午前中のみですが、男子の受験者数が増加し、最上位層の男子が御三家から一部渋谷教育学園渋谷に流れているのが見受けられました。それでも全体としては若干の減少がありますが、前年度比で96%台という数字は、少子化や全体的な受験率の低下を反映した結果と捉えられ、昨年並みと考えてよいでしょう。むしろ、試験の難易度はやや高まっている可能性もあります。
□國學院大學久我山
共学校ですが男女別の学校であり、「大学」と名がついているものの、主に他大学への進学を重視した進学校です。そのため、大学受験も視野に入れている受験生が多く集まる人気校となっています。
□かえつ有明
有明エリアは受験者が非常に多い地域で、その立地の良さが大きな要因となり、多くの受験生が集まっている印象です。地理的なメリットが受験者数の多さに直結しているようです。
□日本工業大学駒場
すごい勢いで成長していますね。ここ数年、毎年のように応募者数が増え続け、過去問の販売数も顕著に伸びています。校門を出て2,3分のところに光風塾という生徒専用の塾があることも有名ですが、驚くべきは、学校自体が進学指導に非常に力を入れている点です。学内で行われる進学講座や、自主学習を促進するシステムなど、外部に依存せず生徒をサポートする体制が非常に手厚く整っています。そしてその学校の内部の学習システムと光風塾とで進学に関する競争をして高め合っているようです。学校の愚直なまでにきめ細かな指導方針が、確かな進学実績につながっていると感じます。
▼応募者数最多校③
□神奈川大学附属
応募者数も増え、ずっと人気が続いています。
□広尾学園小石川
広尾学園が今年10%以上の減少が見られましたが、その理由の一つとして、広尾学園小石川へのシフトが考えられます。受験日程自体はうまく分散されていますが、広尾学園から広尾学園小石川へと志望を切り替える受験生も多いようで、「広尾学園が第1志望だったけれど、難度が高いため、広尾学園小石川に変更しようかと思う。」という相談を受けることがあるのですが、このレベルまできてしまうと、広尾学園小石川も競争率が高く、受かりやすくなるとは限らない状況です。
広尾学園小石川の入試日程は、主に2科目入試が多く、国語と算数で勝負できる場合は選択肢に入れることも可能です。しかし、共学校編の後半動画でご紹介する予定ですが、高実倍率となっており、2月1日午後から始まり、3日午後、6日午後もなかなか厳しい入試になっています。どうしても進学したいと何度も受ける受験生も多いでしょうが、併願校の合格を得てからならまだしも、合格の無い状態で広尾学園小石川の後半日程を受けるのは大変きついと思います。また、昨年度の厳しい受験状況の影響で、今年の過去問販売数もやや落ち着いている傾向があります。昨年度に比べて2割以上の応募者増加が見られた今年の厳しい受験状況を考えると、その影響が過去問の売れ行きに反映されていると考えられます。
□山手学院
昨年も少し減り、今年もまた落ち着いている状況でした。
□桐蔭学園
山手学院の応募者数が減少したその分、桐蔭学園の応募者数が増加しているように感じます。桐蔭学園は、特に高校入試で首都圏の中でもダントツに多くの受験生を集めている印象があります。これまでの桐蔭学園は「中学受験よりも高校受験」というイメージが強かったかもしれませんが、最近の増加傾向は顕著です。神奈川県全体では受験生の減少傾向が続いている中、桐蔭学園への応募者増加は特に目立ちます。
桐蔭学園は・・・
・共学であること
・中等教育の一貫校としての地位を確立
・アクティブラーニングなどの新しい教育方法を積極的に取り入れる
という特徴があります。これが徐々に受験生や保護者に評価され、浸透しているようです。神奈川県内でこのような教育に特化した競合校が少ないことも、桐蔭学園の人気上昇に寄与しているのではないでしょうか。
□日本大学
人気がずっと続いている学校です。日本大学の正付属校でありながら「ハイブリッド型」として他大学受験にも力を入れている点が注目されています。特に、最難関大学を目指す進路指導が強化されており、優秀な英語の先生が親身になってサポートしているという点が大きな特徴です。教材研究や指導法にも力を入れ、「付属校だから日本大学への進学でいい」では済まない、他の難関大学への進学も視野に入れた高度な指導が行われているため、付属校という枠を超えた高いレベルの教育を提供しています。
▼応募者数最多校④
□青稜
今年は応募者数がかなり減少しましたが、これは仕方がない部分もあるかと思います。
コロナ禍の際・・・
青田校長先生がテレビに多数出演し、私学がいかに迅速かつ確実にコロナ対策を実施したかをアピールしたことが、青稜だけでなく、私学全体に大きな影響を与えました。その効果で、私学の評価が上がり、青稜の人気も急上昇しました。
しかし、コロナが収束し、状況が落ち着いてきたため、少し勢いが落ち着いたと考えられます。それでも、学校としては引き続き新しい取り組みを進めています。規模がそれほど大きくない学校のため、応募者数が少し減るとパーセンテージに影響が出やすいですが、この減少が必ずしも受験が楽になったことを示すわけではなく、偏差値も上昇しているため、依然として競争は激しい状況です。
□法政大学第二
首都模試においても志望者数が増加しており、昨年と比べても過去問の販売数が増えています。特に神奈川では、大学付属校の人気が安定して高まっている傾向があります。たとえば付属校の・・・
・青山学院横浜英和
・中央大学横浜
も同様に過去問販売数が増えており、女子たちが神奈川の女子御三家ではなく、初めから中央大学横浜などの大学付属校を志望する動きが見られます。ここ数年、この傾向は強まっている印象です。
□関東学院
依然として人気が高く、学校全体のレベルが上がっている印象を強く受けます。人気の上昇に伴い、一部の受験生が競争を避けて他校を選ぶ傾向も見られたかもしれませんが、今回の志願者数の減少は、全体の人口動向や受験率の影響に沿ったもので、それほど大きな変化ではないと考えられます。
□東京電機大学
多摩地区という23区に比べると応募者がやや少ないエリアに位置しつつも、意外な人気を集めています。
・理系大学付属校としての強み
・面倒見の良さ
これらが学校の魅力の一つとして認識され、人気校となる要素が多く備わっていると言えるでしょう。この特徴が多くの受験生や保護者から評価され、応募者数の増加に繋がっているのかもしれません。
□宝仙学園
順天堂大学の医学部との連携効果が来年度にどのように反映されるか注目されています。特に、応募者数が増加する可能性が予想できます。
▼2024年度動向まとめ
共学校においても
国際系の学校が非常に人気を集めている
ことが目立っています。特に、偏差値がそれほど高くない学校でも、受験生が急増している例が見受けられます。たとえば、日本工業大学駒場がその象徴的な存在ですが、面倒見の良さで評価されている学校も、受験生を集めています。まだ今回の応募者最多校のランキングに登場していないものの・・・
・淑徳巣鴨
・文化学園大学杉並
・駒込
・順天
・東京成徳大学
・桜丘
なども注目されており、確実に受験生の関心を引きつけています。
この背景には、保護者や受験生の思考の変化があります。学校選びの基準が単に国際系プログラムがあるというだけではなく、学校が提供する多様なサポート体制も含まれ大きな要素となっているようです。たとえば・・・
・学校での給食提供がありお弁当不要
・予備校的なサポートやアプリの活用
・自習室の充実
・駅からのアクセスの良さ
などが大きな魅力になっています。
こうした学校の多面的なサポートが、大学進学実績だけでなく、生活全般をサポートしてくれる点に保護者が注目し、それが受験生の増加に繋がっていると考えられます。以前ならば偏差値が低いという理由で敬遠されていた学校も、今ではこうした取り組みによって保護者や受験生からの支持を得ているのです。
これで前半の内容は終了です。次回後半は、2024年の高実倍率校の総括や、2025年度の展望についてお話ししていきます。来年の受験を考えている方も多いかと思いますので、今後の動向を踏まえながら、しっかりと対策を立てていきましょう!