【中学受験】2024年度どうだったのか?~2月入試 女子校編~中堅人気校には今年も注意!そして次年度注目の変更点??
出典:声教チャンネル(声の教育社)
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今回は男子校に続いて、2024年度の女子校の入試状況について、特に人気の高い学校を中心に振り返り、さらに2025年度の入試がどうなるかについてもお話していきます。
【2024年度入試 女子校 応募者数最多校(前年比)】
- 山脇学園 2,947人(95.9%)
- 横浜女学院 2,641人(76.6%)
- 豊島岡女子学園 2,516人(92.4%)
- 淑徳与野 2,479人(123.1%)
- 実践女子学園 2,449人(94.0%)
- 浦和明の星女子 2,304人(99.2%)
- 三輪田学園 1,924人(114.2%)
- 跡見学園 1,749人(104.7%)
- 大妻中野 1,685人(104.7%)
- 大妻 1,679人 (103.8%)
- 吉祥女子 1,610人(98.7%)
- 共立女子 1,552人(103.7%)
- 洗足学園 1,548人(93.5%)
- 恵泉女学園 1,467人(90.6%)
- 品川女子学院 1,388人(95.6%)
- 国府台女子学院 1,328人(121.5%
- 田園調布学園 1,322人(93.3%)
- 鴎友学園女子 1,302人(98.1%)
【2024年度入試 女子校 受験者高実倍率校】
女子美術大学付属 2回 2/2PM 13.9倍・3回 2/3 9.5倍
山脇学園 一般C 2/4(4科)6.0倍 探究サイエンス2/3PM(理,課題)6.0倍
英語C2/4(2科)8.4倍
三輪田学園 2回 2/2(2科)5.7倍(4科4.8倍)
3回2/3(2科)8.0倍・(4科)5.3倍
恵泉女学園 3回2/3PM 6.8倍
豊島岡女子学園 2回 2/3 6.7倍・3回 2/4 6.3倍
昭和女子大学附属昭和 B2/2 6.0倍・C2/3 5.1倍
実践女子学園 5回 2/3PM 5.7倍
東洋英和女学院 B2回 2/3 5.6倍
香蘭女学校 2回 2/2PM 5.4倍
大妻 4回 2/5 5.4倍
普連土学園 2/4(4科)5.0倍(追加合格後3.6倍)
▼応募者数最多校
女子校について、応募者数最多の学校についてお話ししていきます。
□山脇学園
山脇学園は女子校の中でも人気が高く、2024年度入試過去問の売上でもトップです。しかし前年度比では応募者数はやや減少傾向にあります。
□淑徳与野
応募者数最多校の一覧の中でも目立つのですが、淑徳与野は特に・・・
医学部進学を目指す「医進コース」
の影響で注目を集めており、今年(2024年度入試)も好調な様子です。昨年(2023年度)は新しいコースで出題傾向がわからないという状態だったため、過去問もない状態でした。今年はその傾向が明確になり、1年分ですが過去問もあり、説明会も多くの参加者で賑わっています。こうした背景から、2025年度入試はさらに人気が高まる可能性があります。
□三輪田学園
三輪田学園の受験者数も増加傾向にありますね。これは、塩見校長先生のリーダーシップが大きいのでしょう。女子校の場合、学校数が多いため、男子校のように特定の学校に受験生が集中することは少なく、人気校は拮抗しており、志願者数が分散しやすい傾向があります。そのため、特に人気を集める学校は例年同じ顔ぶれとなることが多いのですが、その中でも三輪田学園の人気は際立っていますね。
□跡見学園
最近少しずつ人気が出てきています。「はいからさんが通る」の主人公が通う学校のモデルになったのが跡見学園です。
□大妻中野 □大妻
大妻中野と大妻の受験者数は大きな変動はなく、前年度よりも増加傾向にあります。これまで安定した増加を見せているため、次年度以降はやや減少する可能性もないとは言えませんが、難易度については大きな変化はないと考えられます。
□吉祥女子
受験者数が少し減少していますが、やはり難易度の高さが一因となっている可能性があります。
□洗足学園
洗足学園は、若干の受験者数減少が見られますが、その背景には難易度の上昇が影響していると考えられます。受験生にとっては難関となっているため、やや敬遠されがちな傾向が見受けられます。
□恵泉女学園
ここにきて約10%の減少が見られました。これまでずっと人気が高かっただけに、少し意外な動きとも言えますが、同様に人気を維持している
・品川女子学院
・田園調布学園
でも、少しずつ偏差値や倍率が上昇し、それにより敬遠する受験生が増えているようです。
ただし、東京全体で見ても応募者数はやや減少傾向にあるため、人気が大幅に落ちたというわけではなく、全体の動向の一部として捉えられると思います。
・・・応募者数最多校には入っていませんが〝普連土学園″
応募者数が増加傾向にあります。現在は、応募者数最多の学校には届かないものの、あと少しでその位置に迫る勢いです。今年も普連土学園は高い人気を維持しているといえます。
▼受験者高実倍率校
次に実質倍率の高かった学校をお伝えします。今年の傾向は・・・
・極端に高い倍率の学校は、全体的に減少傾向
・受験者が分散している
昨年は特に、女子校ではないですが芝国際や日本学園の応募者がものすごい増え方し、それに伴って高い倍率を記録しました。一方、女子校についても依然として高倍率の学校はありますが、全体としては応募者が分散しており、極端に高い倍率の学校は少なくなっている印象が強いです。
□女子美術大学付属
女子美術大学付属の2月2日午後の入試は非常に厳しい状況で、
111人の受験者に対して合格者がわずか8人
という難関です。合格を目指す受験生にとって、最初の第1回入試での合格が非常に重要とされています。他の学校も同様ですが、特に女子美術大学付属は1回目で合格しないと後の試験が厳しくなる傾向があります。次年度からは2月2日の試験が午前に移行するため、倍率が少し下がる可能性もありますが、この学校の特性から、受験者層に大きな変化は見込めないかもしれません。難易度も依然として高いままの可能性があります。
□山脇学園
昨年と比較して増加はしているものの、倍率がピークだった時期と比べると少し緩和された印象もあります。特に、
英語C入試では倍率が8.4倍
となっており、英検の資格を持っている生徒などが受験しやすい形になっています。中学受験では塾で英語を学ぶ機会が少ないため、英語を得意とする生徒にとっては「穴場」と感じることもあるでしょう。ただし、人気校においては、英語力があるからといって必ずしも簡単に合格できるわけではなく、依然として難関です。最近は、英語を使った入試の難易度も上がっている印象があります。小学生で英検2級や3級を取得していることは評価されやすいものの、
英語が得意だからといって合格が保証されるわけではない
というのが現状です。こうした変化は、中学受験における新しい傾向といえるでしょう。
□恵泉女学園
応募者数最多校でも触れた恵泉女学園についてですが、特に3回目の午後入試に関しては依然として高い難易度を保っています。後半の日程での午後入試ということもあり、前年と比べると多少は緩和された部分もあるかもしれません。それでも難しさを感じて他の選択肢を考える受験生もいるようですので、この高い倍率を維持していることが、依然として厳しい受験状況を物語っています。
□豊島岡女子学園
非常に高い人気を維持していますが、これは仕方のないことかもしれません。長年、
最難関女子校を志望する受験生の併願先として選ばれ続けてきた学校
ですから、その高い人気も当然の結果といえるでしょう。
□昭和女子大学附属昭和
入試日程Bは英語入試で、今年度は6人が受験して合格者が1人
という結果でした。こうしたケースを見ると、受験者が少ないからといって必ずしも有利とは限りません。場合によっては、合格者が0になることもあります。学校の基準をクリアしない限り、合格者は出ないため、英語入試だからといって「簡単」や「お得」と考えるのはリスクがあるでしょう。合格には一定の基準を達成することが必要です。
□実践女子学園
継続して人気が続いています。
□東洋英和女学院
2月3日の入試は、2025年度は少し競争が緩和する可能性
があります。これは、青山学院が2月2日から3日に試験日を移動することで発生する
「プチサンデーショック」
の影響です。この変化により、東洋英和女学院の2月3日と学習院女子の2月3日の受験生が青山学院に流れ、志願者数が分散することが予想されます。
□普連土学園
後半日程の倍率が5倍台と高くなりましたが、
昨年2023年度の2月4日の入試では倍率1.4倍
と比較的受けやすい状況でした。そのため、当時は受験をおすすめしていたのですが、今年は状況が変わり、難易度が上がりました。ただし、普連土学園は追加合格者が14人出ているため、実質的な倍率は3.6倍になります。これでも依然として高い倍率ではありますが、他の高実倍率校と比べると極端に厳しいわけではなく、最後の挑戦として考えるには良いかもしれません。
また、複数回受験した受験生が多くいると考えられ、
繰上げ合格では複数回受験者が優遇される傾向がある
との情報もあります。普連土学園は独自の魅力を持つ学校で、木製の椅子など個性的な校内設備も特徴的ですが、中にはそれを好まない受験生もいるようです。
▼2024年度女子校入試まとめ
今年は・・・
・御三家と呼ばれる学校が応募者数最多校や高実倍率校としては目立たなく、全体としては安全志向
・繰り上げ合格の数も少なめ
という状況でした。
御三家の倍率はそれほど目立たずに、その代わり・・・
・山脇学園
・昭和女子大学附属昭和
・恵泉女学園
などの中堅校の人気が高まり、これらの学校の倍率が上昇しています。注目度が増している様子が見て取れます。
繰り上げ合格の数も少なめで、女子御三家ではほとんど見られなかったようです。たとえば・・・
慶應義塾中等部の合格発表の後も、女子学院、桜蔭、雙葉などでは繰り上げ合格の動きはなかった
とされています。一方で・・・
豊島岡女子学園では繰り上げ合格が発生
しています。
男子校でも似たような傾向が見られますが、いわゆる御三家あるいは慶應義塾中等部、湘南藤沢といったところが最難関校だとすると、そこでの不合格者が次の学校に流れたあとに、繰り上げ合格が「玉突き式」に発生するというような予測不可能な動きが起こっているように思います。このような連動した動きが、志望校の選択や合格の行方に大きく影響を与えていると感じます。つまり、偏差値の高い学校から順に合格者が流れていくような「ドミノ倒し」ではなく、
たとえ上位の学校に合格していても、最初から特定の学校を選ぶ生徒もいます。
例えば、豊島岡女子学園の繰り上げ合格がどのように発生しているのかを考えると・・・
・渋谷教育学園渋谷
・渋谷教育学園幕張
に進学を選ぶ生徒が多いのではないかと思います。豊島岡女子学園に合格しても、より自分の志向に合う学校を選ぶ傾向があり、このような選択基準の違いは、男子校でも同様に見られる現象かもしれません。
しかし、女子の伝統校も、古いままの姿勢でいるわけではないようです。
・男子校と比べて女子校は数が多い
・競争が激しく、危機感を持っている学校が多い
と感じます。そのため、偏差値に関係なく、各校が工夫を凝らして改善や改革に取り組んでいると考えられます。
▼2025年度入試に向けて
来年度の入試では、
女子校に多くのチャンスがある!
とされています。それは・・・
・女子校の数が多い
・「国際系」とされていない学校でも、実際にはしっかりとしたグローバル教育やプログラムを提供している学校が多い
ため選択肢がたくさんあります。ただし、入試は短期間での勝負であるため、特に後半の日程になると難易度が上がりやすい点は毎年変わりません。そのため、昨年のように普連土学園の最終試験で1.4倍といったチャンスが再び訪れることを期待したいところです。
▼2025年度入試変更点
入試変更に関する注意点として、女子校の主な変更点をまとめます。以前、別の動画でもお伝えしましたが、今回も改めて解説します。
受験予定の学校に変更がなくても、同じエリアで併願を考えている受験生がいる場合、影響を受ける可能性がありますので、周辺校の変更点も把握しておくことが大切です。同じエリア内の学校での動向に注意し、柔軟に対応できる準備をしておきましょう。
□山脇学園
・アダプティブラーニング方式の入試を廃止
・理科探求入試を導入
その理由として、英語入試との重複受験者が多かった点が挙げられます。その代わりとして、新たに「理科探求入試」を導入し、算数と理科のみで受験できる形式の試験を2月3日午後に新設することになりました。
□豊島岡女子学園
・全3回の入試で英語資格入試を導入
どの程度の生徒がこの方式で合格できるのかは未知数ですが、かなり高い基準が求められることは確かでしょう。この取り組みを見ると、学校側が特に英語力の高い生徒を求めているのがわかります。ただし、難易度が高いと予想されるため、挑戦するには相応の準備が必要でしょう。
以前は塾側から「英語を入試科目に入れないでほしい」といった声が多く聞かれたかもしれませんが、最近ではそうした学校の流れを止めるのが難しくなっているようです。私も以前は、中学受験生の英語学習について相談を受けた際に「英検は中学に入ってからでも挑戦できるし、私立中学の英語教育はとても充実しているから、今は塾で4科目をしっかり勉強したら?」とアドバイスしていました。しかし、現在では、英検の資格を持っていることが入試において大きな強みとなってきています。
また、英検2級や準2級レベルの英語力を持っている生徒を歓迎する学校が増えている背景には、
・中学に入学時点で基礎的な英語の学習からではなく、すぐに応用的な学びに移行できる体制がある
・小学校での英語学習程度しか学んでいないという生徒がいたとしても、受け入れられる
という自信が学校側にあることが考えられます。こうした学校は、英語力にばらつきがあっても柔軟に対応できる環境を整えていると考えられます。
□吉祥女子
・算数の出題形式を変更し、途中式を確認する方式を廃止する
ことを発表しました。これまで記述問題が2問含まれていましたが、それを無くし、問題数を増やす方針です。この変更によりおそらくミスマッチが減少するのではと予想されます。また、試験中に時間が足りなくなる生徒や、記述に弱い生徒に対して、有利・不利どちらに働くのかはわかりませんが、部分点を考慮しないという形式になります。
この部分点を考慮しない形式に近づくことで、
・豊島岡女子学園の算数試験のスタイルに似てくる
・短時間で正確に解答を導き出す力が重視される
と言われています。実際、吉祥女子を2月1日に受験する生徒の多くが豊島岡女子学園と併願しており、この変更がその流れに影響するかもしれません。
一方で、新御三家と呼ばれる豊島岡女子学園、吉祥女子、鷗友学園の中で、
・鷗友学園は引き続き途中式を重視している
という点が対照的です。鷗友学園は全科目において書かせる形式をとっており、こうした方針が学校の特色をより際立たせるものとなっています。
□光塩女子 □日本女子大学附属
・算数1科目を2/1午後入試を新たに導入
特に、日本女子大学付属の「算数1科目入試」は注目されており、どれだけの受験生が集まるかが期待されています。光塩女子も最近その名前をよく耳にしますね。もともと両校とも評価の高い学校ですが、近年は人気がやや低下傾向にありました。新たな入試方式をきっかけに、注目を集め、再び評価が上がることを期待しています。
ここまでで女子校の紹介は終了です。次は多数ある共学校の紹介です。