声教保護者会2024-2025① 「反省」
出典:声教チャンネル(声の教育社)
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▼声教保護者会の目指すこと
声の教育社の石井と吉村です。私たちは声の教育社に勤める以前、中学受験専門塾で教室長を務めておりました。20年を超える中学受験の指導経験と、声の教育社にて得た幅広い情報を基に、受験生とそのご家族に寄り添ったサポートを行いたいと思っています。(プロフィール詳細は文末)
この声教保護者会を通じて、受験生と保護者の皆様が一年間を前向きに、そして元気に過ごせるような情報提供を心掛けて参ります。
入試に関する具体的な最新情報や詳細は同じく声の教育社の後藤と三谷がお話いたします。私たちの役割は、ご家庭が受験に向けてどのように準備を進めるべきか、また受験生がどのように学習を進めていくべきかといった、実践的なアドバイスを中心にお伝えさせていただきます。
▼動画のテーマについて
2024年度の入試シーズンも一区切りとなりました。
本日のテーマは・・・「反省」です!
声教保護者会として、今年の入試に関する反省点があります。
多くのご家庭がSNSで2024年度入試の経過や体験を共有していたり、私が塾の教室長をしていた頃に関わらせていただいた保護者の方々から、下の子の受験に関する様子を聞かせていただいたりする機会がありました。その際に受験生の気持ちの動きや、それに応じた戦略の立て方によって、乗り越えられたはずの困難やメンタルの落ち込みがあったのではないかと思いました。
声教保護社会として私たちの役割は、
☑受験生のメンタルサポート
☑快適に受験期間を過ごしていただくための方法をご提案
☑気持ちよく受験を進めていっていただく
このように、親子共に喜びを分かち合える春を迎えるための情報をお届けすることにありました。しかし、振り返ると、お役に立てることが十分でなかったかもしれませんと感じています。そこで、今回の動画ではその反省を踏まえて、「併願作戦」についてお話させていただきます。
▼併願作戦の立て方
①併願作戦の軸
目指すべき学校があり、最後の最後まで追い求めることは非常に大切なので、まずはこの時期に、第一志望校は決めておくべきです。皆さんもおそらく、いくつか候補を心に決めていることでしょう。これから6年生を迎えるにあたり、さまざまなテストに挑み、9月頃から本格的に併願校や受験校の選択肢を絞り込んでいくことになります。
ここで重要なのは・・・「チャレンジ校」を軸として持つことです。 この「チャレンジ」という表現は、単なる挑戦ではなく、家庭や本人から見て理想の学校、そこでの6年間を夢見ている場所を意味します。そのような学校を一つ持っておくことをお勧めします。優先度の高い学校。それが併願作戦の軸です。
②ひとつの特色だけで絞らない
学校選びにおいては、それぞれ独自の特色や魅力を持っているので、似ている学校を見つけることは一筋縄ではいかない場合があります。
そのため・・・
☑ひとつのコンセプトに沿って学校を選ばない
☑異なるコンセプトを持つ複数の学校を併願する
こともひとつの戦略です。類似した学校ばかりを探すと選択肢が限られてしまうこともあります。
③模試の偏差値は「定規」
模試の結果や偏差値は大切な指標です。いわば「定規」!!この定規の中で測っていくといことも大事です。
ただ、これはあくまで一つのガイドラインに過ぎません。実際には、塾の先生と相談しながら、入試問題の傾向や学校ごとの特徴を比較検討し、選択肢を広げることが必要です。
最重要なのは・・・
☑受験生が目指す学校の求める学力や主題に自分を合わせることができるかどうか!
現在の学力にとらわれることなく、志望校に向けて準備を進めていけばいいのです。
④模試で分かること
偏差値という基準について触れた通り、模試の結果で目指す学校の偏差値に現在届いていないからといって諦める必要は全くありません。特に、偏差値は日々のコンディションによって5前後は上下します。ある日は偏差値が大幅に跳ね上がり、別の日には落ちてしまうことも小学生にはよくあることです。そのため、偏差値という数字に一喜一憂するよりも、子どもの可能性の範囲を理解し、その上で賢く併願戦略を練ることが重要です。
<模試の結果を通じて分かること=「わが子の偏差値には大きな変動幅がある」>
そしてその特性を活かした受験準備を進めることが、成功につながる鍵となります。
⑤安全校の選び方
偏差値の変動幅について考える時、どのレベルまでの安全校を視野に入れるべきかが問題になりますが、「受験生のコンディションが非常に悪い状態でも確実に合格できる学校を1校は選択すること」が重要です。この「安全校」とされる学校は、受験生はもちろんのこと、保護者も「ここならきっと合格できる」と確信できる学校を指します。受験戦略の一環として、このような学校を適切に選ぶことが、受験成功への安心感を与える鍵となります。
⑥安全校の役割
ひとつの合格は受験生が受験期間を乗り越える上で非常に重要!!
通常、入試は2月1日から7日に行われ、特に2月1日、2日に集中して行われ、最初の2日間で多くの受験生が第一志望校に挑みます。仮に合格率が50%の場合、半数の受験生は初日から不合格と向き合わざるを得ません。特に、連日の不合格に直面すると、3日の朝の受験生は心理的な重圧を感じ、その後の試験で最高のパフォーマンスを発揮することが難しくなります。小学6年生、つまり12歳の子どもたちが、このような状況をすんなり乗り越えるのは容易ではありません。保護者も、1日や2日の落胆を目の当たりにし、その気持ちに共鳴することでしょう。そのため、2月3日や4日の第一志望校の2回目や3回目の試験などに再挑戦する際に安全校の合格があると、
☑モチベーションやパフォーマンスを引き上げることができる
ため、非常に重要な要素となります。
⑦午後入試は受けるべきか
人生初の挑戦となる入試で、安心して挑める併願校から合格通知を受け取る瞬間は、何にも代えがたい喜びです。この成功体験が、次の日への大きな活力になり得ます。
そのため・・・
☑第一志望の試験が初日の午前中に設定されている場合、
同日の午後に予定されている併願校入試にも挑戦するべき
確かに、午後の試験によって疲労が溜まる可能性はありますが、合格を取るためには挑戦すべきです。それによって得られる合格の喜びは、その疲れを上回る活力を与えてくれます。
夏期講習などで長時間の勉強を経験しているので、受験生としてのスタミナは養われているはずです。午後の試験が終わる頃は夕方から夜にかかり、翌日のパフォーマンスに影響を与えるかもしれませんが、即日合格発表が多いので、その日のうちに合格を知ることができれば、心理的なリフレッシュ効果は計り知れません。人生で初めての合格という経験は、受験生にとって計り知れない価値があり、その後の試験に臨む上での大きな支えとなるでしょう。
⑧受験に対する姿勢
併願校の偏差値の幅が少ないというのは、受験においては一種のリスクを伴います。「お守り校」と呼ばれるような、安全策とされる学校でさえ、SNSを見る限り、予想外に合格を逃すケースが散見されます。これを見ても明らかなように、受験の結果は予測不可能な要素が多いものです。
試験の成績は・・・
☑当日の周りの雰囲気
☑その日のコンディション
☑得意分野が出題されるかどうか
など、さまざまな要因に左右されます。それゆえに、受験は水物なので、計り知れない変動があると理解し、過信はせず、しかし同時にあまりにも自分を卑下することなく挑むことが重要です。
逆に予想外の問題が出題された時に、「これが解けるの?」と思われて意外な自信が湧くこともあります。そういうわずかなキッカケが、良いパフォーマンスへとつながることがあります。
だからこそ・・・
受験に対しては楽観し過ぎず、でも諦めずに全力で取り組む姿勢が大切なのです。
⑨志望校選びの偏差値帯
偏差値という定規を使って学校選びをする際には、よく「持ち偏差値のプラスマイナス5から6」という基準を耳にしますが、実はもっと広い視野で考えたほうが良いかもしれません。
特に保護者の方へ向けて申し上げたいのは・・・
偏差値だけで「このライン以下は…」と判断しがちな先入観を持つのではなく、その見方を一新していただきたいのです。
偏差値だけで判断せず、実際に学校訪問をして、生徒たちの活気や学びの姿勢を直接見ることで、意外な発見があるかもしれません。「予想外に生徒たちが活発で、熱心に学習に取り組んでいる、探究心旺盛な授業がある」という体験は、偏差値の数字だけでは得られない価値を提供してくれます。我が子がその環境でどう成長していくかを想像できるはずです。ですから、偏差値という一つの定規に囚われず、学校選びにあたってはより多角的な視点を持つことが大切です。
⑩中学受験で大切なこと
学校選びにおける偏差値とは・・・
実はその学校固有のものではなく、あくまでも受験する模試の母集団に対する相対的な数値に過ぎません。
中学に入学して母集団が変わると偏差値も変動するのです。中学受験をマラソンに例えるなら、すべてのランナーが同じゴールを目指していますが、それぞれのタイムが異なるだけ。タイムが偏差値に値します。マラソンで完走すること自体の価値を否定する人はいません。「よく頑張った」という肯定的な評価がふさわしいです。2時間10分を切ることだけが価値があるわけではありません。
重要なのは、
☑中学受験が人生の最終ゴールではない
☑受験を通じて次のステップへと進むかどうか
合格がとれて、次の一歩を踏み出すお子さんが多いかもしれませんが、合格が叶わなかった場合も次の一歩を踏み出さなくてはならないのです。それによって次のステップが自分の選択ではないかもしれません。しかし、公立中学校への進学が、必ずしも否定的な選択ではなく、それも一つの積極的な選択肢であるととてもよいです。
最終的には・・・
どの学校に進むかよりも、進んだ場所でどう自分を成長させていくかがもっと重要なのです。
▼「受験なんでも相談会」のご案内
これから学校見学や説明会、各種合同相談会など、志望校選びに役立つ機会が目白押しです。特に注目していただきたいのが「受験なんでも相談会」です。
□声の教育社主催「第43回受験なんでも相談会」
□6月22日(土)・23日(日)
□新宿住友三角ビル広場開催
中学受験に特化したセッションは22日の土曜日です。この相談会を、皆さんの志望校選択における一助としてぜひ利用してください。
▼まとめ
声の教育社からは、中学受験の作戦会議や情報収集のための有益な内容を今年もご提供していく予定です。今年も一緒に頑張りましょう。ありがとうございました。