【中学受験】速報!2024年度2月入試結果と繰り上げ状況※2024年2月9日時点
出典:声教チャンネル(声の教育社)
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▼今年の受験者総数
2024年の中学入試シーズンも、ほとんどの試験が終わりを迎えました。本日は2月9日、皆さん、本当にお疲れさまでした。今年の入試は特に厳しいものだったようです。首都圏模試センターからの速報によると、受験者総数は…
昨年52,600人→今年52,400人
微減でほぼ横ばいでした。
一方で、受験率は…
昨年17.86%→今年18.12%
わずかながら上昇しており、中学受験の熱は依然として高いままのようです。実際に、今年は例年にない全滅の話も耳にしています。そのような厳しい状況についてもお話します。
▼男子校の入試結果と繰り上げ状況
■開成中学校
・応募者数は少し減少
・合格者数は5名増加
昨年は繰り上げ合格者が特に多い印象でしたが、今年はそこまでではありませんでした。
■麻布中学校
・合格者数は少し減少
それに伴い、繰り上げ合格者が通常よりもやや多めだったように思います。
■海城中学校
・応募者数は少し減少
・合格者数は32人増加
応募者減・合格者増の状況でも繰り上げ合格が発生しているようです。昨年、開成が繰り上げ合格を多く出したことにより、「開成の繰り上げ合格の玉突き」が発生し、今年の海城の合格者数に影響していると思われます。しかし今年の開成は繰り上げ合格をあまり出していないにも関わらず、海城での繰り上げ合格が顕著に見られます。
その背景としては…
「海城の受験生が国際教育や新しい教育方針を重視する共学校との併願を多く行っているため」
かもしれません。例えば、渋谷教育学園渋谷や渋谷教育学園幕張、広尾学園、広尾学園小石川、三田国際学園などの学校があり、これらの学校は近年人気が非常に高まっています。
海城は、他の伝統的な男子校と比較して、グローバル教育や先進的な教育方針により積極的に取り組んでいることで知られています。このため、海城と上記の学校を併願する受験生が増えていると推測されます。もし海城に合格した受験生が、渋谷教育学園渋谷や渋谷教育学園幕張にも合格した場合、これまでならば海城に進学したかもしれませんが、今年は海城ではなくこれらの学校を選択した可能性があります。ですがやはり、海城の人気がグローバル教育や新しい教育取り組みによって高まっていることも事実です。今年の海城の入試問題が素晴らしいと評価されたことも、その人気を反映しています。
■巣鴨中学校
・合格者数が68人減少
現在の中学1年生の生徒数が非常に多いことが関係していると考えられます。一部の繰り上げ合格があるものの、合格者数が大幅に減少した背景に、新しい学年に新クラスを設けることができない事情から、今年は合格者数を意図的に絞り込んだと推測されます。
■立教新座中学校
・採点時の入力ミスが原因で1月の第1回入試後に46人の合格者を追加発表
この事態は全ての入試が終了する前に対応されたもので、入力ミス発覚以前に発表された合格者数は前年比で114人減少していました。しかし、追加された合格者は単にギリギリで合格したわけではなく、学校側のミスにより本来合格しているべき受験生たちでした。これにより、合格者数の減少は実質68人に留まっています。追加合格がこれ以上発生するかは不明ですが、既に46人が追加された後では、今後大きな変動は期待できないでしょう。
近年の立教新座は…
↓一昨年には100人程度の大量の繰り上げ合格を発表し、その影響で玉突きで他の男子校の繰り上げ合格が止まらないという事態を起こしています。
↓そのため、昨年には、多めに合格者を出したところ予想外に手続き率が高く、人数が超過してしま
い、補欠からの繰り上げ合格者が0人で、入学生も多数を数えました。
↓そのような経緯から、今年は合格者数を控えめに設定する方針を取ったと見られます。
▼男子校全体の動向
東京では…
繰り上げ合格の状況は、全体としてはそれほど多くないと言えます。特に上位校では、海城を除き大きな動きは見られません。ただし、海城は顕著に繰り上げ合格者を出しており、これが本郷など他の学校にも影響を及ぼしているかもしれませんが、現時点では大きな変化は確認されていません。
東京でも神奈川県に近い学校では…
繰り上げ合格の動きが活発なようです。
◇浅野中学校
◇東京都市大学付属中学校
◇世田谷学園中学校
◇サレジオ学院中学校
などが動いています。浅野はもともと合格者数を約13人減らしています。
受験率は全体としては上昇しているものの、東京23区内は人口減少の影響がそれほど見られず、23区外や多摩地区では人口が減少している傾向があります。このため、特に多摩地区や神奈川県方面では受験生の数がそれほど増えていないと思われ、地域間での受験生の競争が激化している可能性があります。これにより、神奈川県の男子校の入試は、昨年と比較してやや緩和されていると考えられます。その結果、今後さらに繰り上げ合格者が出る可能性があるという状況です。
神奈川は…
◇栄光学園中学校
◇聖光学院中学校
両校から大きな動きは観察されていません。しかし、今後どうなるかはまだ予測できません。
今日は2月9日で、東京都立の中高一貫校の合格発表があり、2月10日には神奈川県の中高一貫校の合格発表が控えています。2月11日は私立学校の招集日であり、難関校を含む多くの学校で合格者を迎える予定ですが、この招集日に欠席が確認されると繰り上げ合格が発生することがあります。近年、繰り上げ合格の日程が前倒しされてきましたが、実際には2月10日と11日を過ぎてからが繰り上げ合格の本格的なシーズンとなります。
▼女子校の入試結果と繰り上げ状況
全般的に、女子は難関校よりも少し易しい学校を志望する傾向にあり、それでも競争は厳しくなっているので、さらにその下のレベルの学校を志望する…という傾向になっています。
このような動向は国際教育を重視する難関共学校が厳しいため、類似した教育を提供する女子校に関心が高まっていることからも見受けられます。例えば、山脇学園はその代表例です。
繰り上げ合格の状況では、フェリスや横浜雙葉に動きが見られます。
◇横浜雙葉中学校
・2回入試を実施したことによって、合格者数を絞った
・繰り上げ合格が頻繁に行われている
神奈川やその周辺の女子校では、このような繰り上げ合格による玉突きが積極的に行われています。洗足学園などは異なる動きかもしれませんが、繰り上げ合格はここ数日間続いている状況が学校のホームページで公表されています。
一方で、
◇女子学院中学校
◇桜蔭中学校
現時点で大きな動きがないことが注目されます。去年は女子学院に大きな動きが見られましたが、今年はそうではありません。繰り上げ合格による玉突きは神奈川の女子校の方が、東京に比べて活発な動きがあるようです。ただし、女子学院については、慶應義塾の3校(中等部・普通部・湘南藤沢)が受験生を取り合う形なったときに、慶應中等部の合格発表後に繰り上げ合格が出ることから玉突きが起こる可能性があります。慶應普通部と併願が多いサレジオも同様の状況にあると言えるでしょう。
▼共学校の入試結果と繰り上げ状況
今年も昨年と似たような傾向が見られます。特に中堅の人気校がいよいよ人気が高まり、入試がより厳しくなっているようです。渋谷教育学園渋谷と広尾学園に関しては、現時点で目立った動きがないように見えます。これは手続き率が高く、予定通りの入学者を確保しているためと考えられます。渋谷教育学園幕張に至っては、計画的に今年の合格者数を調整し、1回目と2回目の試験で合格者を減らしましたが、入学手続きを行った人数はほぼ予定どおりで、僅か2、3人のズレしかないとのことです。
◇日本工業大学駒場中学校
◇桜ヶ丘中学校
ここ最近急に人気が出てきている、これまで比較的受験しやすかった学校の人気が安定して上昇していることが見受けられます。
一方で、長らく人気だった
◇青陵中学校
受験生の数が減少しています。この減少は、青陵の偏差値が上がり、受験生がその難易度を恐れて敬遠するようになったためかもしれません。
◇サレジアン国際世田谷中学校
以前よりも人気が増し、元々の偏差値では合格が難しくなった学校です。
◇東京電機大学中学校
人気が今年高まっており、去年なら合格できた受験生も、今年の競争率では合格できないという状況が生じています。
反対に、青陵のように、昨年であれば不合格だった受験生が今年は合格する場合もあります。これらの上下動は、受験界の一般的な現象であり、多くの関係者がこの変動を平らにしたいと願っていますが、受験の世界ではこうした変化が避けられないものと言えるでしょう。
▼入学辞退連絡の重要性
全ての志望校で不合格、つまり全滅という結果に直面している受験生は、現在も繰り上げ合格の可能性を待ち望んでいる状況かもしれません。多くの受験生の人気を集め、その学校に人気が集中する年があり、そうした学校ばかりを志望校に選び続けることは非常に危険になります。
たとえ全滅の結果に終わったとしても、昨年ならば合格していた可能性もあるのですから、それが受験生の努力不足だというわけでは決してありません。
1校でも合格することができれば望ましいです。ですから、
複数校から合格を得た方は、できるだけ早く1校に決定し、進学しない学校には入学辞退の意向を伝えることをお願いします。入学辞退の連絡は、受験過程のひとつと考えるべきです。
入学辞退の連絡をするまでが受験です!
この行動が繰り上げ合格待っている他の受験生に合格の機会をもたらし、1席が空くと他の学校の玉突きでさらなる繰り上げが生じて、結果的に複数の席が空く可能性があります。長い間頑張ってきた受験生が1校でも合格できるように、空いた席が大きな希望となるため、受験生同士が互いにサポートし合うことが大切です。
毎年指摘していますが、特に今年は入学辞退の連絡で救われる受験生が多いように感じます。これは、合格と不合格の間がほんのわずかな差であるために、残念な結果に終わる受験生が例年よりも増えているように感じます。多くの受験生の安全志向が強く、特定の学校に集中してしまったのです。それぞれが慎重に考え抜いた上で挑戦した結果が、こうした状況を生んでいると考えられます。
▼塾の合格実績について
塾の合格実績を追跡していますが、全体的に合格者数が減少している傾向にあるように感じます。確かに、前年比で合格者数を伸ばしている塾も存在しますが、減少している塾、減り方の大きい塾が目立つようです。これは、受験生による塾の掛け持ちが少なくなっているためではないかと考えられます。通常、塾が報告する合格者数と、学校が公表する合格者数を比較すると、塾側の数字の方が明らかに多いのです。これは、塾の掛け持ち等による合格者のダブルカウントによるもので、学校の公表数の約1.5倍にもなることがある現象です。例えば、開成などの学校がその例です。このことから、塾の掛け持ちをする方が減っている可能性があると思われます。
▼次回に向けて
次回のテーマは…
「国公立校入試結果と10日以降の繰り上げ合格状況」についてお話します。
2024年度入試に向けてのこれまでの動画のご視聴、誠にありがとうございました。受験生の皆さん、そして保護者の皆様、長い受験期間、本当にお疲れさまでした。皆様の努力に敬意を表します。ありがとうございました。