【中学受験】速報!2024年度1月入試結果と2月入試に向けて※2024年1月27日時点
出典:声教チャンネル(声の教育社)
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▼はじめに
2月1日の入試直前ということで、1月20日にスタートした千葉の入試状況を振り返りつつ、これを基に2月1日からの入試について話を進めていきます。2月1日の入試に向け、今年特有の状況が見られるかもしれません。市進教育グループの出願状況速報は、定点観察に基づく数値で提供されているため、必見です。
市進 出願状況
https://www.chu-jukennavi.net/sokuhou.html▼千葉入試について
1月に行われた千葉の入試は、20日、21日、22日の3日間に渡って実施されました。この中で特に注目すべき難易度の高い5校についてお話します。
■渋谷教育学園幕張中学校
受験者数が2,000人を超えたことは、最近では珍しい事態です。コロナ禍以前はより多くの受験生がいましたが、コロナの影響で受験者数が減少していた時期もありました。しかし、今年はコロナの影響が薄れ、受験者数が再び増加しています。昨年はまだコロナ感染のリスクを懸念する受験生が多かったようですが、今年はそのような受け控えはないように感じます。
受験者数は増加している一方で・・・
合格者数は約40人減少→第一志望の受験生が多いのでは??
これは、渋谷教育学園幕張が
◇合格者数を慎重に決定している
◇今年の受験生の中に第一志望で受験している生徒が多いと見込んでいる
可能性があります。第一志望校としての人気は高いと思われますが、実際に合格者が入学するかどうかは予測が難しい状況です。昨年は追加合格も発生しており、今年はそれを考慮して合格者数を増やすかと思いきや、実際にはそうではありませんでした。
2月2日にも入試がありますが、合格者数が増加するかどうかが注目されています。コロナ禍以前のある年には、受験者数が増加したにも関わらず、合格者数が大幅に絞られたことがありました。その際、2月の試験では合格者数が若干増加しましたが、全体としては合格者数が減少しているという状況でした。この時も、最終的には学校の想定通りの生徒数が入学したと聞いています。
渋幕は、このように合格者数と入学者数の見積もりにおいてとても優れています。合格者数と入学者数を適切に見積もるには、かなりの努力と分析が必要であると思われますが、渋幕はそれを見事に実行しています。
■市川中学校
倍率が多少緩和されているようです。
市川は・・・
◇男女別定員制を採用している
◇女子の定員が少ない
◇女子の倍率が高め
最近、東京の公立高校入試において男女別定員が廃止される動きが見られますが、公立中高一貫校も同様の変更が進行中です。このような背景から、今後の中学受験においても、男女別定員制度の継続についても話題になっていく可能性がありますが、市川の場合はもともと男子校なので、男女別定員を設けたという経緯があります。
■東邦大学付属東邦中学校
12月1日実施の入試については・・・
◇第一志望入試であり、合格した場合には必ず入学手続きが必要
◇今年は40人の合格者
◇応募者数と受験者数の増加により、倍率が少し上昇して15倍
大変な入試でありました。
さらに、1月21日の入試については・・・
◇受験者数が昨年とほぼ同じで微増
◇合格者数も若干増加しており、結果的に倍率はやや緩和
依然として2.2倍という高い倍率で、例年並みであると言えます。
■昭和学院秀英中学校
昭和学院秀英中学校は渋谷教育学園幕張の近くに位置する学校です。こちらでは、1月20日午後に特別入試が実施されました。この入試では・・・
◇受験者数が若干増加しているものの、合格者数を絞っている
◇午後入試にしては倍率としてはかなり高い4.51倍
1月22日の第1回入試も、やはり合格者数が絞られている傾向にあります。去年の入試が比較的緩かったとも言えますが、それほど極端に緩い倍率ではありませんでした。昨年の手続き率が予想以上に良かったため、今年は少し合格者数を絞る方針を取っている可能性があります。昭和学院グループは最近人気があり、名前を聞くことが多い学校です。その中でも昭和学院の方が受験者数の増加が特に目立っています。
■専修大学松戸中学校
◇応募者数は若干減少している
◇合格者数は多少増加
結果として倍率は2.5から2.29倍に若干の緩和が見られます。千葉県の受験者数はコロナ前の水準に回復してきてはいますが、全体としては大きな変動はないように感じられます。
▼埼玉入試追加情報
■立教新座中学校
昨年、補欠からの繰り上げ合格は無かったようですが、今年は補欠者数が大幅増加しています。
◇昨年111人→今年145人
繰り上げ合格が多いと他校の繰り上げにも影響があるので、動向について今後の声教チャンネルで追っていきます。
■開智所沢中等教育学校
開智所沢は、特に東京からの受験生も多く、約1,000人規模で受験しているようです。開智所沢と岩槻の開智中学校では、同一試験で双方の合格判定が可能ですが、受験生は出願時にどちらを第一志望校とするかを明確に記載する必要があります。
1月10日の入試では・・・
◇受験者数が大幅に増加
◇開智を第一志望とする受験者数は昨年とほぼ変わらず
◇開智で増えた受験生の多くは開智所沢を第一志望としていた
以前埼玉県入試について話した際、開智が合格者を出し過ぎているのではないかと懸念しましたが、実際は従来通りの入学手続き者数でした。手続き率もさほど変わらず、10人程度の増加とのことです。何千人もの受験者増加にもかかわらず倍率は大きく変化していないため、合格者数は大幅に増加していました。この増加した受験者数に対応するため、開智の先生方は何千枚もの試験用紙の採点に取り組まなければならず、大変な労力が必要になったとのことです。注目を集める中での試験運営は、嬉しい悲鳴だったに違いありません。
・・・余談
開智の入試問題は本当に素晴らしいものです。最近、NHKの番組に出演し、開智には触れませんでしたが、1月の埼玉入試に関する内容を早々に取り上げました。
【NHK 中学受験2024 変わる入試問題 問題に込めた学校の思いと いま問われる力とは?】https://www.nhk.or.jp/shutoken/wr/20240119d.html
▼東京・神奈川入試について■
応募状況を観察すると・・・
◇出願を最後まで控えている様子
◇一部の学校では応募者数が増加
埼玉の入試で感じたのと同様、全体の受験者数が増加するとは思えません。昨年の日本学園や芝国際のような爆発的に応募者が集中するような状況はなさそうですが、
◇より確実に合格しそうな学校に人気が集まっている傾向
にあるようです。
12月の模試の結果を見ると、人気が集中している学校では受験生の層が分散していないことがわかります。そういったある程度倍率が高く、中堅~上位クラスで人気がある学校は合格ラインが非常に接近しており、わずか1点や2点の差で合否が決まることが予想されます。
男子の最難関校は応募者が減少傾向にあり、その代わりに共学校の男子応募者が増加している学校が多数あります。例えば・・・
◇渋谷教育学園渋谷では、特に男子の応募者が急増
これまでの中学受験のトレンドとして、慶應義塾中等部を除く最難関校は男女別学の傾向がありましたが、
◇渋谷教育学園渋谷や広尾学園など比較的新しい学校が男子応募者を引き寄せている
状況が見られます。
市進の出願状況速報をチェックしてみると、現時点で最終倍率に対して男子の応募者が約1割増加していることがわかります。2月1日に渋谷教育学園渋谷を受験する受験生たちはかなりの実力を持っています。ですが、同じ日の男子御三家の応募が減少していることから・・・
◇最難関層の男子受験生たちが男女別学から共学校へと志向を変えている傾向
が見られます。以前は、都内の御三家に合格しても渋谷教育学園幕張を選ぶ受験生もいましたが、今では都内の共学校にその傾向が見られる可能性があります。
最近人気のある共学校は海外大学を視野に入れた国際的な教育を強調している動きがあります。そういった背景から共学校を熱望しているというよりも・・・
◇グローバル教育の強い学校を探していると、おのずと比較的新しい学校の共学校
という選択肢になってくるのかもしれません。時代の流れでこのような状況になっているということがあるかもしれません。
特に、東京都市大学等々力や淑徳巣鴨などの学校では、男子応募者数だけが急増しています。この現象は、従来の男子校の受験が厳しいと見なされ、より柔軟な考え方の動きとも解釈できるでしょう。
また、順天が前年度比5割増しと応募者数を増やし、急激な増加を見せています・・・
◇北里大学との法人合併により、卒業時には北里大学の附属校としての立場になること
◇医療や薬学分野に関心がある家庭からの注目が集まっている
ことがこの変動の一因かもしれません。順天の応募者数が急増している背景には、このような教育連携が影響している可能性があります。
このように近年、学校に関するニュースや変化がその年の応募者数に速やかに影響を与えている傾向があります。これは、保護者の方や受験生が積極的に情報を集め、教育のトピックに敏感に反応していることを示しています。
▼まとめ
2月1日直前の最後のメッセージです。
三谷より・・・お願いです
「複数の学校から合格を得た場合は、なるべく早く1校を選択し、進学しない学校へは速やかに辞退の意向を伝えてください」ということをお願いさせていただきます。
後藤より・・・言葉を送ります
私は、芝中学校の武藤校長先生が保護者へ向けて
「手を離して抱きしめる」
と表現されたメッセージに感銘を受けました。親としては、子どもが直面する苦しみや挑戦のすべてを身代わりになってあげたいと願うものですが、試験の時間だけは朝送り出したら何もしてあげられません。しかし、保護者のみなさんはこれまで愛情をかけてサポートし守り、たくさん話をして子どもが自信を持って挑戦できる「武器」をたくさん与えてきました。武藤校長先生の言葉は、保護者のみなさんに朝試験会場に送ったら・・・
「手を離しても心はいつも子どもと共にある」
という気持ちで待ちましょうという強いメッセージを伝えています。離れていても、決して一人ではないという安心感も子どもに与えることができます。武藤先生の深い洞察には、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
最後に・・・学校さん
余裕がある場合は、遅い日程の入試を検討していただけると幸いです。一人でも多くの受験生が合格の機会を得られるよう、何卒よろしくお願いいたします。