【中学受験】速報!2024年度1月入試(前半)埼玉県応募1万人増の理由とは?※2024年1月15日時点
出典:声教チャンネル(声の教育社)
記事:metasc
ついに1月10日から埼玉入試がスタートしました。三谷が各校を回って先生方に聞いてきた話を交えつつ、注目校のここまでの結果を中心に見ていきます!
▼受験者数1万人増加の理由
Yahooニュースにて、
「埼玉県の中学入試受験者数が昨年に比べて約1万人増加した」
との報道がありました。これは予想外の数字で、今年は昨年とほぼ同数かもしくはわずかな減少を見込んでいました。しかし、報道によると受験者が5万人から6万人に膨れ上がったとのことです。
ここで、特に注目されるのは新設校である開智所沢の中間集計データです。1月4日時点での応募者数は約6,873人、つまり7,000人弱です。
この増加分の大部分が実は・・・
開智所沢の数字であり、開智と重複してカウントされているため、実際には7,000人は同一の応募者と考えることができます。
そして開智自体の応募者も4,600人から7,000人に増え、さらに開智未来も500人増加しました。
つまり・・・開智系列学校だけでも、合計で1万人近い増加です。
今回の埼玉県の発表では、去年の最終応募者数と今年1月4日現在を比較して9,709人の増加とされていますが、去年の1月4日の数字と比較するとさらに大きな差が出る可能性があります。結果として、埼玉県全体で1万人以上の増加は、主に開智系列の新設校の影響
新設校の開智所沢のように応募者数が増えた学校もありますが、他方で応募者数が減少している学校も存在しています。そのため、全体的に見ると、今年の応募者数は昨年と変わらないと言えそうです。
確かに、新設校の開智所沢は応募者数がかなり多いですが、埼玉県内からどの程度の受験生が受けに来ているかもポイントです。東所沢駅から徒歩圏内という東京からのアクセスの良さから、東京の受験生も多く応募している可能性が高いです。ただし、これにより受験生全体が過酷な競争にさらされるというわけではありません。実際には、応募者数が減っている学校も多く、これらの学校では定員割れのリスクも懸念されます。
よって、今年の中学受験が特別に厳しい状況になっているという見方は、実際のところ、やや誇張された表現のように感じます。受験生や保護者の方々は、こうした市場全体の動向を冷静に受け止め、自身の受験戦略を練る際に適切に考慮していただくことが重要です。
▼動向1:栄東
毎年話題となる栄東ですが、今年も応募者数が増加しています。現時点で、応募者数は約1万4,000人に達しており、昨年の1万3,842人からわずかながら増加して1万3,944人となっています。(1月15日時点)
注目すべき点は、1月10日に実施された第1回目の試験での応募者数が増えている一方で、同じA日程の1月11日には減少傾向にあることです。これは・・・
「埼玉県内の受験生が1月10日に開智や大宮開成を受験し、翌11日に栄東を受験する」
パターンが多いためかもしれません。つまり、1月11日に栄東を受験する子たちは地元の子が多いと推測されます。
1月12日に栄東を訪れた際、田中理事長兼校長先生が今年の応募者数を受けてのお話をしてくださり、現状に対する危機感を感じられていたことが印象的でした。「大宮開成や開智が力を入れている中、栄東も遅れを取ることなく進化し続けなければ」という意識が強く、学校のトップとしての責任感を感じました。長年の経験を持つベテラン校長先生が、今の時代のニーズに応じて変革を迫られているということに、深い感銘を受けました。
▼動向2:開智
今年、特に注目されている開智ですが、開智本体が昨年と比べて約1.5倍の応募者数増を見せています。ただし、1月10日の入試においては倍率が昨年とほぼ同じで、難易度に大きな変化は見られません。一般的に埼玉県の学校では、合格者の約10%が実際に入学手続きを行うと言われています。これに基づくと、昨年の開智の合格者数954人から見ると、約95人が入学手続きをした可能性があります。しかし、今年は合格者数が1,456人に増えているため、入学手続きする人数も約145人に上ることが予想されます。これは、実際に入学する人数が昨年の1.5倍になることを意味しています。
開智は現在定員割れの状況にあり、今年は特に定員を満たすことに注力していると考えられます。また、開智所沢への志望変更が生じる場合もあり得ますが、その逆が多いと予想されます。1月10日の入試が終わると、翌11日の特待入試では倍率が3.39倍となり、前年の倍率約3倍に匹敵する水準を維持しています。これは、開智を高く志望する生徒が多く、その結果、合格者数を若干絞った可能性があります。
▼動向3:開智所沢
開智所沢の入試倍率が1.32倍というのは、この規模の入試にしては比較的低めです。個人的には多くの受験生が合格して喜ばしい一方で、新設校であるため、6学年分の校舎容量はありますが、定員を超過してしまうのではないかという懸念もあります。倍率が低い理由を考えると・・・
―前受けの受験生が多いと判断?
居住地データを見ると東京からの受験生が予想以上に多い可能性があり、それにより前受けの受験生が多いと学校側が判断し、倍率を低く設定したのかもしれません。
―併願した受験生が開智への進学を優先すると判断?
開智と開智所沢の両方を受ける受験生
が多く、開智への進学を優先すると想定していたのかもしれません。
―ダブルカウントを考慮して倍率を下げた?
開智の1月10日の合格者1,456名と開智所沢の合格者1,628名は、同一人物のダブルカウントの可能性があるため、倍率が低くなったのかもしれません。
一方で、応募者の増えた大妻嵐山を除いた所沢周辺の他の学校では、応募者数は減少している傾向が見られます。開智所沢への生徒の流れにより、周辺の学校は苦しい状況になっている可能性が高いです。ただし、この状況は逆に今後の入試において他の学校が狙い目になるということにもなり得ます。ただし、開智所沢が多くの生徒を受け入れた場合、翌年以降の動向も変わってくるかもしれません。
▼動向4:淑徳与野
1月11日に新たに設立したコースは、医進コースです。このコースでは、より高いレベルの受験生を求めており、そのため難易度を下げることはせず、スライド合格も採用していません。その結果、倍率は2.44倍になりました。
▼動向5:大宮開成
大宮開成の受験者数も増加し、それに伴い倍率も若干上昇しています。大宮開成や栄東のような学校では、志望順位が高い受験生が増えている傾向があるようです。なお、大宮開成の特待生の倍率は2.03倍と報告されていますが、これにはスライド合格による一般合格者も含まれています。そのため、特待生のみで倍率を計算すると、実際はさらに高い数値になることが予想されます。
▼まとめ
―応募総数は増加
埼玉県の応募総数は増加傾向にあり、1万人の増加が見られますが、実際の数はそれほど多くはないと考えられます。
―増加校数<減少校数
全体的に見ると、受験者数が減少している学校の方が多いのが現状です。一方で、人気校はさらに人気を集めており、受験生の数が増え続けています。ピークアウトという雰囲気も少し感じられます。
―受験生が増えたのは東京主体?
埼玉県内で受験者数が増加している学校としては、他に埼玉栄や春日部共栄などが挙げられますが、これらの学校は駅に近くアクセスが良いため、東京からの受験生も多いようです。
この状況は埼玉県に限らず、東京、神奈川、千葉でも同様であり、人気校への志向が強まっています。しかも、東京23区では受験生の人数が増加傾向にあり、やはりピークアウトの可能性は低いとも考えられます。受験率の上昇も見られ、東京の人数は神奈川などの近隣地域にも影響を及ぼしています。ただし、東京周辺部では人口が減少しており、受験率も上がってはいないように見られるので、東京23区から通いやすい、または魅力的な学校でなければ選ばれない傾向があります。
―深追いするケースも増加?
埼玉栄に関して聞いた話によると、3回目や4回目の入試でも東京から多くの受験生が挑戦しており、その中には学力の高い生徒も多数いるようです。これらの様子は初回の入試で合格を得られなかったため、たとえ前受けだとしても合格を目指して何度もチャレンジしているということです。
―2月の結果次第で追加募集の可能性も
一方で、受験生の数が減少する傾向にある学校も存在し、そのような学校が2月の入試で新たな受験生を募ることは、特に男子生徒にとって救いとなる可能性があります。このように、異なるタイミングでの入試を実施し、新たなチャンスが生まれるとよいと思います。
▼次回に向けて
今後は…
◆1月20日以降の千葉入試
◆1月入試で出た時事問題
◆2月入試
についてお話する予定です。