【中学受験】2024年度入試「中学過去問出庫状況の前年比較(男子校編)」過去問が売れてる人気校、そしてねらい目校はどこ?※2023年11月時点
出典:声教チャンネル(声の教育社)
記事:metasc
▼この動画について
今年もついに到来しました。
声教チャンネル一番の目玉!皆さんが待ち望んでいた…
中学校の過去問出庫状況の前年比較です。
11月中旬現在のデータを基に、過去問の出庫率を定点観測しています。この出庫率、つまり高い出庫率はその過去問がどれだけ人気があるか、売れ行きが良いかの指標となります。過去3年間のデータを比較しながら、どの学校の過去問が特に注目されているのかを見ていきましょう。
▼出庫率の全体状況について
今回取り上げるのは男子校ですが、やはり数字が減少傾向にあるようです。中学受験生の数は大きく変わっていないはずなのです。11月の現時点で減っていますが、12月に再調査を行い、減少幅が縮まっていれば、ただの購入時期の遅れだったと見ることができますが、今の全体出庫率が97.6%というのは、少し気になるところです。
受験生の数は多くても昨年と同じくらいかと予想していました。四大模擬試験の人数全体でみると横ばいという感じです。コロナ禍の影響で人々が疲れていて、熱が冷めた感じがあります。
以前は積極的に受験関連の情報を求めたり過去問を購入したりと急いでいました。
しかし今年は…
・合同相談会や学校説明会に申し込んでも実際には参加しないケースが多い
・声教のなんでも相談会にもドタキャンが発生
受験の熱も少し冷め、さほど急がなくなった雰囲気があります。これが過去問の売れ行きの数字に反映されているのかもしれません。
▼昨年よりも出庫率が増加した学校
昨年のこの時期に配信した動画では、過去問の販売数が前年を上回った学校が
2023年17校→2024年8校
半分以下になってしまいました。
トップ10すら作れない状況です。これは少し悲しい状況ですね。ただし、だからと言って男子校の人気が薄れたわけではありません。
【昨年よりも出庫率が増えた学校トップ8】
1.駒場東邦 107.2%
1.日本学園 107.2%
3.足立学園 106.9%
4.京華 105.6%
5.早稲田 103.5%
6.筑波大附駒場 103.1%
7.桐朋 102.8%
8.佼成学園 101.6%
◆8位 佼成学園
8位は佼成学園です。昨年は本当に注目され、14%以上の伸びを見せ、今年101%を保っているので現状維持という感じです。この学校は最近、学校の先生方が多く集まるセミナーでも頻繁に取り上げられていましたね。登壇された塾の先生方が佼成学園の名前を何度も出したのですが、その人気の高さを物語っています。
この学校は、男子校の中でも比較的難易度が高くない学校のひとつでしたが、最近では生徒数も増えてきています。特に英語教育に力を入れている点が、人気につながっていると思われます。このような動きは、将来的に偏差値の上昇にもつながるかもしれませんね。
◆7位 桐朋
第7位は桐朋です。昨年に引き続き、その人気は増え続け、7%の増加を見せています。ただ、それが出口成績の大幅な向上を意味しているわけではありません。広報部長の先生が交代され、桐朋の魅力を正しく理解し、ミスマッチを防ぎながら志望する生徒を迎え入れたいという姿勢を貫いています。このようなアプローチは非常に好印象を受けます。
◆6位 筑波大附駒場
第6位は筑波大附駒場です。筑駒は通学圏が広がっており、それに伴って過去問の購入者数が増えています。購入者の中には受験生もいるでしょうが、実は通学圏を拡大したことで、地域の塾の先生方が購入を増やしているのではないかとも思われます。
◆5位 早稲田
第5位は早稲田です。人気が強いですね。早稲田に進学する生徒はもちろん多いのですが、興味深いのは、早稲田から東京大学に推薦入学するケースもある点です。この学校が強力な付属校であり、同時に優れた進学校であることが、現代の教育環境に非常にマッチしているのかもしれません。
◆4位 京華
第4位は京華です。その成長は注目すべきものです。以前の姿とは一変し、今やまったく別の学校のようですね。京華女子も人気を集めており、いわば京華ブームが起こっているようです。声の教育社の「なんでも相談会」用動画で取材をさせていただいた際、女子校の落ち着いた雰囲気と、男子校のわいわいと活気ある様子が非常に対照的でした。男子がわいわい幼いのでは?と少し心配になったこともあり、校長先生に確認したところ、「うちの男の子はあの自然体が実情で問題ない」とのことでした。実際に昨年訪問したときも元気でかわいらしいと思いました。
◆3位 足立学園
第3位は足立学園です。ここの学校は試験回数が増加し、併願を組みやすい体制が整っているのが大きなポイントです。今の中学1年生の時に急増したものの、その前の年はそれほどでもありませんでした。この試験回数の増加は今年の入試から実施されており、今回がその新制度2年目にあたります。また、男子中学校フェスタの会場ともなり、これが良い影響を与えているのではないかと思います。
◆1位 日本学園
日本学園と駒場東邦が同率第1位です。日本学園は昨年、驚異の178.4%の売上を記録し完売しました。そして今年は前年度の売上からさらに107.2%に達し、前年度の180%近辺から更に伸びを見せているのですから、その人気ぶりは本当にすごいことです。
◆1位 駒場東邦
駒場東邦と言えば東京大学への進学、特に理科三類への合格者が目を惹きます。今年の春に駒場東邦を訪れた際、いつも親切に対応してくださる元教頭先生に、その年の成果についてうかがったところ、謙虚な反応が返ってきました。先生は、「うちでは東大合格や理科三類への進学を目指した特別な指導はしていません。生徒が6年間で見つけたやりたいことを選択して、たまたまそうなっただけで、私たちはその選択を応援しているだけです。」とおっしゃっていて、その姿勢には敬服しました。さらに、その立地が駒場東大前で東京大学にも近く、クイズ研究会などの部活も人気のようです。
以上8校が昨年度よりも売れ行きが良いので、受験生が増える可能性が高いのではないかという学校です。
▼昨年よりも出庫率が減少した学校
狙い目になるかも知れない、出庫率が減少した学校です。これは、昨年に比べて受験生が減少する可能性があることを示唆しています。学校側にとっては望ましい状況ではないかもしれませんが、受験生にとっては有利に働く可能性があります。ただし、これはあくまで参考情報としてご理解ください。
【昨年よりも出庫率が減少した学校下位10】
- 早稲田大学院 92.9%
- 浅野 92.2%
- 栄光学園 91.9%
- 武蔵 91.9%
- 学習院中等科 91.7%
- ラサール 91.3%
- 暁星 90.7%
- 日本大学豊山 90.3%
- 開成 90.2%
- 立教池袋 85.3%
出庫率減少の下位10校は難しい学校が多いです。開成・浅野・栄光・武蔵・早稲田など、人気の難関校が並んでいます。
◆立教池袋
立教池袋が前年度比85.3%というのは注目すべき数字です。これまで一貫して高い割合を保っていたため、少し一息ついているのかもしれません。しかし、それにしても数字の減少の仕方がかなり大きいように思えます。そう考えると、応募数が減少する可能性があると見ていいかもしれませんね。これは、そう解釈しても良さそうです。
◆開成
開成は新しい校舎が完成しました。そのため昨年は人気があり、トップ校としての地位もありましたが、その勢いが今年も続くかと思いきや、現状はそうでもないようです。
・開成よりも駒場東邦などの学校に注目が移っている
・難関校を目指す割合が少し減少している
のではないかと思える状況です。
模擬試験の結果を見ると、男子の減少が目立ちますが、2科目受験は増加が見られます。これは、最難関校よりも2科目受験や少し合格しやすい学校に人気が集中しており、それにより受験生が増加傾向にあると言えるかもしれません。チャレンジすることへの恐れがあるのかもしれず、この傾向は続いているようです。
◆日本大豊山
日本大豊山に関しては、昨年に引き続き、ほとんど変わらないと言われていたものが、今年になってさらに10%の減少を見せています。これには触れておかなければなりません。
以前から「日大豊山現象」と言っているように…
・一度人気が集中すると、それが継続すれば偏差値は大きく上昇
・これまでチャレンジしていた層が挑戦を諦めて離れてしまい、受験生の数は減る
・難関校レベルの併願校として選択され、学力レベルは同じか、あるいは上昇する傾向
そう考えると、最近同じように人気が出てきた獨協はどうかと思い調べてみると、一昨年には134.9%と大幅に増え、その後も100%、98%と安定しています。どうやら獨協は受験生が減っていないようです。
こうしてみると出庫率が減少して下位10校にランクインしている学校がすべて「穴場」と言えるわけではないですね。確かに受験生の数は多少減るかもしれませんが、それだけで狙い目と断言するのは難しいです。ただ立教池袋のような学校については、もしかすると少し期待が持てるかもしれませんね。
▼まとめ
男子校に目を向けてみましたが、昨年とはまるで異なる風景が広がっているように感じますね。
今後…
・現時点での過去問出庫状況の女子校編と共学校編
・入試直前の出庫率データ(12月)
を公開予定です。ぜひご注目いただければと思います。