声教保護者会2023-2024⑤ ここがオトナの頑張りどころ‼模試・過去問 結果のとらえ方~後編~
出典:声教チャンネル(声の教育社)
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保護者会前編では…
①チャレンジ校のレベルは下げない
②全滅回避のための併願校をしっかり組み込もう
というお話をしました。後編ではその続きをお話していきます。
合格の可能性を知る模試
例えば入試本番で併願校を受験して合格したとしても、実際に進学にするかどうかについてはその後検討すればよいのです。模試のエントリーも同様です。ご家庭で「第一志望として考えているチャレンジ校しか受験予定がないので、模試もその学校しかエントリーしない」というのは、非常にもったいないです。1校しかエントリーしないとなると、実際、どのあたりの学校であれば合格の可能性があったのかが見えないまま終わってしまうのです。
ですので、受験本番でも同じように「チャレンジ校しか受験しない」ことを選び、その結果「合格しなかった」となった場合、この受験生の学力が実際にどのレベルに達していたのかをしっかりと見てから、次の進路を選択して欲しいですね。
そもそも模試は、合格の可能性や打率(確率)を把握する手段です。合格の確率に基づいてどのように判断するか、それが問題ですね。
模試のエントリーの際に、第一志望の学校だけを選択すると、どの学校に実際にチャンスがあったのかの視点が失われてしまいますのでご注意ください。
どのような模試を受ければよいか
現在の成績、いわゆる「打率」を考えると、色々な模試を受験すべきなのか、それとも特定の模試を繰り返して受ける方が良いのか、どちらでしょうか?
それは…
同じ母集団を持つ模試を継続的に受ける方がおすすめです。
母集団が同じなので学習の進捗や成長の度合いが見えやすくなります。9月・10月・11月・12月と偏差値の基準が月ごとに変わらないことで比較がしやすいのです。例えば9月にSを受け、10月にNを受け、11月にYを受けると、それぞれの偏差値の基準が異なり、比較が難しくなってしまいます。
▼模試結果の見方
模試を受けると、その結果が返ってきますね。合格可能性の判定ごとに対応が異なります。
<第一志望校の合格可能性80%の場合>
この数値を取った場合、塾の先生は現在の学習進度を考慮して、もう少し上のランクの学校も視野に入れてみることを提案することもあると思います。模試の段階で、同じ志望校の子たちとの競争を意識するのも重要です。この母集団の中で、よりもう1ランク上の学校を目指している子たちが他にもいて、そこに食い込むことができるかもしれない、わが子が他の受験生と戦えるレベルにいるかを確認するのは必要です。実際に受験するかは別として、より上の学校を目指す選択も検討する価値があると思います。ただ、模試はあくまで一つの基準で、各学校の実際の入試の傾向を加味しているわけではないので、その学校の入試と相性が合うかどうかはまた別の話になります。
<第一志望校の合格可能性50%の場合>
50%と聞くと少し心配になるかもしれませんね。しかし、実際にはそれは良い勝負をしているとも言えます。半分の確率ということですから。多くの学校の倍率を考えると、男子校が3倍、共学校が2.5倍〜3倍、女子校が2倍前後というデータが見られます。この観点からすると、2倍の倍率の学校に対して50%の合格判定は、いい勝負をしていると捉えることができます。同じ50%でも、天気予報で「50%の確率で雨」と言われれば傘を持ちますよね。そのように、50%は結果としてどう捉えるか次第だと思います。
<第一志望校の合格可能性30%の場合>
第一志望校であることを考えれば、問題なく挑戦してよいと思います。実際、大きなチャレンジとなりますが、30%の可能性があるならば、取り組む価値があると感じます。しかし、10月に30%、11月にも30%と、結果が一定している場合、その期間に何らかの改善策や対策が取られているのかをしっかりと見極めることが重要です。具体的な数値や、それに関連する学校の特性なども考慮する必要がありますね。
▼模試受験後にやること
受験する学校や対象となる母集団の位置によって異なりますが、この合格率30%を50%に引き上げるためには、何をすることが重要でしょうか。それは、模試の結果を元に原因を探求し、反省・改善を行うことです。
① 試験中に多くのミスをしてしまう場合、時間管理のスキルを見直す必要がある
② 特定の科目に大きな課題である場合、その科目の対策を強化することが必要となる
これらをきちんと見て補正していかないと合格率も改善されません。模試でミスが多いというのは、過去問でも同じようなミスをしている可能性は高いです。ミスは本当に入試当日までなくならないのです。
「まだ本気出してないから大丈夫。当日はちゃんとやれる」と言う人もいますけど、本当に本番で完璧にできるなら、今すぐそれができているはずです。逆に今の段階でミスをしていることが多いなら、本番の入試でもミスをする可能性が非常に高いのです。得意科目に関しては、あと伸ばせる部分はミスをなくすことだけであればそこに焦点を当てれば良いです。一方、苦手科目は、ミスがあっても特定の単元での改善や追加の学習が可能な部分を見極めて取り組むのが適しています。
このように合格判定模試の結果を通じて…
どの単元が出題されたのかの確認
どこでミスをしたのかの確認
をその後の復習のために整理しておくべきです。なるべく模試が終わった当日に、しっかりと内容を確認することをおすすめします。
▼模試と過去問の違い
「模試」というのは、確かに「模擬試験」という意味で使われますが、実際には、それがどの試験を模倣しているのか、どれに擬態しているのかが明確ではない場合が多いですよね。
そのため、模試だけではなく過去問もきちんと取り組まなければなりません。
実際、過去問は何がでるのか、ある程度の傾向があって予測が立てられます。その年の傾向を掴む上で大変重要です。過去問を解くことを大切にし、過去問で点数が取れないと感じても、去年の平均点や合格最低点と比べてどうなのか、それがどのような意味を持つのか、どのように取り組むべきなのかを理解することが大切です。
▼模試と過去問の使い方
最初、過去問はなかなか点数が取れません。9月に過去問を開始しても、すぐに点数が取れるような楽なことは滅多にありません。たまたま点数が「取れちゃった」場合は何か理由があるように思えます。真剣に取り組んでも過去問は最初30~40%程度しかできないのが普通です。偏差値の高い・低いと実際の入試問題の難しい・易しいはあまり一致しない部分があります。ですので、合格判定模試で合格率80%が取れていても、過去問が全くできないというパターンも多々あります。
ですので、過去問は点数が伸び悩んでも焦らず、冷静に取り組むことが大切です。模試と過去問のそれぞれの役割を理解して、両方をうまく組み合わせて、入試に備えることが求められます。
■模試:来春を戦う母集団の中での位置を見る
■過去問:学校の傾向に合わせていくためのトレーニング教材
模試と過去問のそれぞれの役割を理解して、両方をうまく組み合わせて、入試に備えることが求められます。
今回は、模試と過去問の違いや、その活用方法についてお話ししました。次回も役立つ情報をお届けしますので、お楽しみに。